音声通話記録①

 音声通話記録。

 ――再生時間4分23秒。


『……もしもし、セイジさんですか』

「ああ。久しぶりだなキョウヤ。いつ以来だ? 今年の新年会以来くらいじゃないか?」

『そうですね。活躍は耳にしていましたが、直接のやり取りは随分久しぶりです』


「……で、どうした」

『どうしたもこうしたも……わかっているでしょう。あの申請の件ですよ!』

「不備でもあったか?」


『あの見た目に、ルカという名前! あなた自身が誰よりわかってるはずだ!

 彼女は一体何なんですか! 一緒に行動してるんですか!?』

「……ああ。ちょっとした成り行きでな」


『……委員会に報告すべき事案です。だって、彼女は――』

「あんな老人連中に正しい判断ができるわけないだろ。変わりに俺が判断したまでだ」

『だからといって……!』


「頼むよキョウヤ。ダンジョン解体に関して無茶が通せるのはお前だけなんだ」

『……後で突かれても、俺は知りませんからね。それに……』


『処分すべきです。あくまで、俺の見解では』

「……ああ。そう言う奴らもいるだろうとは思ってる。だが……」

『わかってるつもりです……セイジさんの気持ちは。だから、一応の協力はします。

 ……ただ。後悔しないでくださいね』

「ああ」


『……あ、それとは別に……解体人免許を渡すなら苗字が必要ですよ』

「苗字? ……名前だけじゃだめか?」

『そうですね。仮名なら神凪でいいんじゃないですか?』


「……あ!? 何言ってんだ! やめろやめろ、何言われるかわかったもんじゃねぇぞ!」

『ふっ。なんだか仲良さそうですね。何よりです……じゃ』

「あっ、おい! ……おい!?」


 ――再生終了。

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