第6話 SS5 撲滅インバウンド悪徳業者
コロナ禍があけ、またもやC国人を中心とする悪徳業者が日本国内に現れるようになった。そこでSSJから悪徳業者を撲滅するようにと指令がきた。
成田空港で大型ミニバンを使った白タク営業に始まり、C国人経営の店へ連れていき、無許可民泊、そして無許可免税店へ案内するのである。全てC国人の利益になり、日本の業者を一切使わない。しいていえば観光地の入場料ぐらいなものである。そして、そのC国人は税金を一切日本に納めず、利益はすべてC国に送金してしまう。日本にとっては、何のメリットがなく、むしろ日本の業者の妨害をしているといっても過言ではない。
利用するC国人にとっては、出発前から予約ができるし、全て言葉が通じる。それに格安ということで利用しない手はない。ということだ。
まずは、成田空港で白タク営業をしているミニバンに目をつけた。後から後からそれらしきミニバンがやってきて、ほぼ満員状態でC国人を乗せていく。当局が取り調べをしようとしても、
「白タクじゃない。友人を迎えに来た」
というだけだ。白タクだからメーターがついているわけではない。C国人に聞くとアプリを見せて予約をしている。明らかに白タク営業なのだが、その場でお金のやり取りをするわけではない。ドライバーが
「頼まれたから迎えにきた」
と言えば、それまでなのだ。
そこで、雄一はそれらしきミニバンのバンパー下部にGPSを取り付けた。それで、そのクルマの動きをチェックするのだ。
成田空港を午後3時に出ると、まずは都内をめざして走る。まずは下町の民家に入る。お客はそこに荷物を入れている。民泊のようだ。出迎えているのは明らかにC国人だ。30分ほどで、クルマにもどってきた。そして、浅草近くの日本料理店に行く。雄一も客を装って入ってみる。だが、店の中ではC国語がとびかっている。お客も従業員もC国語を話している。日本人には見えない。出てくる日本料理もちょっと変わっている。刺身も板前が造ったものとは到底思えない素人の包丁の使い方だ。
クルマは、成田空港に向かっている。おそらく別の客を迎えに行ったのだろう。
店からお客がでると、別のクルマが迎えにきてくれていた。おそらくC国人の旅行代理店が手配しているのであろう。先ほどの民泊施設に案内していった。
GPSを付けたミニバンは別のホテルにいた。以前はモーテルだったところで、今は安宿になっている。C国人はモーテルと言うと、モーターリストホテルの略だと思っている。ラブホテルとは思っていない。もちろん内装はリノベーションされている。
翌日、そのミニバンは別の民泊施設からC国人を乗せて、ある建物の前で止まった。貸し事務所の看板がある古いビルである。旅行代理店の者らしき人間が出迎え、中に招きいれている。30分ほどで、C国人たちは大きな袋をもって出てきた。どうやら中はお土産屋になっているようだ。おそらく免税店と偽って、偽物ブランドを売りつけていることは明らかだ。そして成田空港へ向かう。空港でそのC国人たちを下ろす。お金のやりとりは一切ない。アプリ決済なのでドライバー自身が料金を受け取ることはないのである。これでは取り締まり当局はお手上げである。
そこで、雄一は頭を使った。白タクのドライバーをしめあげても、トカゲのしっぽをきるだけだ。ねらいは偽免税店のオーナーだ。おそらくこのオーナーが組織をしきっていると考えたからである。C国人のツアーで一番儲かっているのは偽免税店だからだ。
夜中に忍びこみ、監視カメラを数台設置してきた。そして、自分のバンでそのモニターを観察する。入れ替わり立ち替わり、C国人がやってくる。そして偽ブランドを半額程度の金額で購入していく。クレジットカードは使えないようだ。現金決済だが、C国の通貨でもOKのようだ。おそらく格安なので、カードは使えないと言っているのだろう。偽ブランド品は原価が1割程度だ。となると4割は儲けとなる。定価10万円の物が4万円のもうけとなる。ぼろ儲けだ。
午後に宅配業者が大きな箱で品物を搬入してきた。海外宅配便だ。双眼鏡で確かめるとC国から送られてきたものだ。よくぞ税関をすり抜けたものだ。おそらく一部は本物で、ほとんどが偽物なのだろう。後で当局に言っておかなければと思った。
夕方になり、売り上げを回収に来た男がいた。店員に指図をしている。
(こいつがオーナーか)
と思い、そいつが出てくるのを待ち、その男の後を追った。そいつは六本木のある事務所に入っていった。看板には〇〇公社と書いてある。だが、そこに出入りするのはうさんくさい連中ばかりだ。それで、地元らしき人間に聞くと、
「あそこには近寄らない方がいい。C国マフィアだよ」
と言う。
(あそこが悪の巣窟か、さて、どうやって料理すべきか)
と雄一は頭を悩ませた。そこで思いついたのが、「目には目を、歯には歯を」作戦である。六本木のヤクザ組織を動かせば簡単なことだ。
そこで、六本木のあるクラブに知り合いのC国人を連れて行った。SSの協力者である。そこで、偽のケンカを始めた。そして最後に
「文句があるなら〇〇公社に来い!」
とC国語で言わせた。そこにいた地元のヤクザはそれを理解したのだろう。シマ荒らしということで、次の日には六本木のC国事務所が襲われていた。事前に襲撃のことを警察当局に垂れ込んでいたので、両方の組織のメンバーが一網打尽となった。
大元が壊滅状態になったので、末端である偽免税店や料理店はシャッターを閉めている。白タクもいなくなった。右往左往するC国人だけが増えたのである。
また悪徳業者が出てくるかもしれないが、まずはこれにて任務終了。
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