第3話 放課後

 放課後の教室、この学校の図書室の内容が気になり向かう準備をしていた。この様子であれば、俺の休み時間の話し相手はこの先しばらくは本になるだろう。


「斑目くん?だっけ、ちょっといい〜」

 筆箱から鉛筆と消しゴムだけを取り出し教室から出ようとすると、先程まで考えていた目論見は外れて女子に呼び止められた。声をかけてきた黒い長髪の娘の後ろに、女子がもう二人並んでいる。

 黒髪に茶髪、金髪と見事に三色揃っている。転校初日にカツアゲなんてことはないと考えながらも警戒心が強まる。

「…なに?なにか用?」

「いやさ〜このあと二十分ぐらいかしたら、この教室に戻ってきてほしいんだよね」

 後ろに控えていた娘が長い金髪を指先でくるくると遊ばせながら無遠慮に聞いてきた。

 今日来たばかりの俺に用、それも20分ほど準備がかかるもの。用件が思い浮かばず小首をかしげる。

「それはいいけど、用って何?」

「それ聞いちゃうのは野暮じゃ〜ん」

 いつの間にか俺の後ろに回り込んだ茶髪の子がニヤニヤとしながら回答を濁す。

 こういう時の女子は強い。男の側からすれば理解の難しい理屈を自分たちの間で周知し、こちらに否応なく適応させてくる。

「わかったよ。じゃあ二十分後に」

 断る理由の別件も思いつかず、了承することにした。

「マジ?ありがと〜」

「てか斑目くんちゃんとレスポンスできるんじゃん。もっとキョドると思ってた」

「わかる、なんか安心した〜」

 女子三人による甲高い笑い声を聞きながら教室を出る。要件に対しての疑問もあるが、朝のアレのせいであの三人組から見て俺はまともに受け答えのできない人間に写っているようで、今後の学校生活が余計不安になっていく。

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