24話 …は意外な人

「『え?』って言われてもなぁ、…あの人も老けたとはいえ、顔見りゃわかんだろ。」


 SSランクは人間には世界で二人しかいない。だからこそ、冒険者ならば一目見ればわかるのだ。

 僕は、よほど焦っていたのだろうか全く分からなかった。


…ずいぶん前に見たパンフレットでは最初の見開き1ページを二人の紹介に使っていたな。


「そうですよね…確かに【剣神】さんだったと思います。」


 SSランクの二人にはそれぞれ【大賢者】と【剣神】という二つ名がついている。そのため冒険者の間では本名ではなく二つ名で彼らのことを話す。褒めるためだとかいう理由だった気がするが、詳しくは覚えていない。


「おいお前大丈夫か?杖持ってったんだから【大賢者】様に決まってんだろ。早く休んだ方がいいんじゃねーか?別にお前が心配したところでこれ以上状況が変わる訳でもねーしな。」


「そうですよね…失礼しました。」


「おうよ。」


 初対面の人との対話で緊張していたのか、はたまた疲れが溜まっていたからなのかはわからないが。頭が働かないので、このまま宿までまっすぐ帰ろう。


「(トミイクさん、明日の朝にお時間よろしいでしょうか。)」


「ん?別にいいけど、急に改まってどうしたんだ?」


「(伝えなければならないことがあるので。)」


 ラミィはいつも、丁寧だがどこか親しい雰囲気の出る言葉を選んでいる。しかし今回はどこか無機質だ。

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