3話 騒ぎを聞いて

 テイマーになってから一ヶ月くらい経っただろうか。僕はFランクに昇格した。理由は単純で、依頼をたくさんこなしたからだ。ちなみに、テイムしているスモールレッサースライムはLv.1からLv.2になった。ここまで順調に歩んでいると思う。


 しかし、Fランクからは実績を挙げなければランクの昇格が起こらない。


 早速Fランクの依頼に手を付ける。




 Fランク『ゴブリン討伐』




 Fランクで最も簡単と言われている依頼だ。


 早速指定された森まで行く…前に、なんだかギルドの前が騒がしくなっている事に気づいた。耳を澄ますとこんな声が聞こえてきた。


「我々がゴブリン共を根絶やしにする!」


 急いでギルドを出ると、人混みができていた。


 その中心には、先ほど、声高らかに宣言していた、Aランクパーティーの…名前は忘れた


 けれど実力は確かなので覚えていた。Aランクともなるとパンフレットに掲載されるのである。羨ましい…


 けれど、僕はあのパーティーを超えなければならないので臆しているようでは…


 待てよ、ゴブリンを根絶やし?


 今日の依頼ができなくなってしまうではないか⁉️失敗すれば罰金を払わなければならず、さらに前科がつく。


 僕はスモールレッサースライムをつれて、急いで今回依頼された場所の森に向かった。










 森に入り1時間ほどで3匹のゴブリンを倒した。人形ひとがたなので手惑うかと思ったが、相手からいきなり襲いかかって来たので、遠慮なく刃を振うことができた。


…まあ致命傷が与えられないから最後はテイムしたスライムが全部倒してもらったんだけどね。


そろそろ森に入ってから2時間が経つ頃。近くで大きな爆発音が聞こえた。


音のした方へこっそり近づくと…さっきのAランクパーティーがいた。


『気の毒だけどよ、このゴブリン集落も消さないとだもんな』


『まぁ、上からの命令だし仕方がないでしょう』


『そうですよ~、ゴブリンが魔物がいじゅうではなく精霊ヒトと対等だということがバレないためにやってるのですから。ほら、次の爆弾はどれですか?』


 僕は瞬時に理解してしまった。


 ゴブリンは精霊だけれど何らかの理由で人類の上層部によって魔物とされていること。


 その方法がゴブリンの集落を潰して森を彷徨いているように見せること。


 ゴブリンが攻撃するのは、集落を守るためであることが。




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