第24話 やられっぱなしは癪でしょう?
「待ちなさい!クソガキィ!!ぶっ殺してやりますからぁ!!」
「「「ギャアアア~!!」」」
「おぉ~!!」
魔王城の天気は雷雨...唐突な落雷に気を付けましょう。私とペペ、ルルはミリーと名乗った少女を担ぎながら必死で逃げていた。
背後からは悪魔の形相をした。リリュスさんが迫っている。ヤバい捕まったら本当に私も殺されそうだ。まさか味方からも逃げなきゃなんて。
「ご、ご主人様...私達は何処まで逃げれば...良いのかしら?」
「とりあえず...リリュスさんの怒りが収まるまでかな?」
「ですが、そろそろ体力も限界ですわ...。」
「じゃあ、ルルがリリュスさんを足止めしてくれる?」
私の言葉でルルはチラッと後ろを見た。そして視線を戻すとフルフル...と首を横に振る。うん、まぁ当然か。
でも、ルルの発言が理解できない訳じゃない。勿論、私の体力も限界が近くなっている。極論で言うと担いだミリーを離せば解決はするんだろうな。
(でも、流石にそこまで酷いことは出来ないよね。)
それに担がれた
「おぉ~!!タノシイなぁ!ミリー知らなかった!ソトがこんなタノシイなんて。ハカセ教えてくれなかった!」
「楽しんでる場合かしら!下手すれば走馬灯になるかしら。」
「そうですわ!!ご主人様の命令でなければ捨てたいのですわよ?」
まだ会話できる余裕があるなら大丈夫そうだな。ん?やり取りを聞いていた私は1つ気になったことがあった。
「ねぇ。ミリー...さっきも博士って言ってたけど。それは魔王軍の人なの?」
「マオーグン?...おぉ!そうだぞハカセはとってもエライんだぞ!テンサイだぞ!」
「天才...そっかぁ博士は天才なんだね!」
「ご主人様?」
私とミリーの会話を聞いてペペが怪訝そうな表情を浮かべている。大丈夫...謎は解けたから。後は博士が解決してくれるよ。
私はゴニョゴニョ...とペペ達にこれから向かうべきルートを伝える。2人は感心した様子で頷くと走るスピードを徐々に上げてくれた。
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「おかしい!一体何処に消えてしまった!」
場所は変わり、魔王城の研究室。部屋の中では落ち着かないカミラがウロウロと歩き回っていた。その理由は視線の先にある培養カプセルだ。
「昨日の時点で蓋が空いていて、何らかの誤作動で彼女が目覚めて...夜中に抜け出したと言うわけか。くそ...宛もなく探すのは骨が折れるぞ。」
少し悩んだ仕草をした末に面倒だが探しに行くと言う結論を出したカミラは幾つかの薬品等を白衣の内ポケットに仕舞って部屋を出ようとした...のだが。
バタンッ!
「カミラさん!失礼します!」
「お邪魔するかしら!」
「申し訳ありませんわ!」
扉に触れる直前、逆に扉を開けて飛び込んで来た人物。驚いたカミラは来客達に視線を向けた。
「魔王様?それにペペとルルまで...一体何の騒ぎだ?」
「細かいことは後回しです!カミラさん。単刀直入に聞きますけど、ミリーちゃんを作ったのは貴女ですか?」
「ミリー...どうしてその名前を?」
「確定ですね。」
私は朝から起きた事の顛末を一部省略して説明をした。まぁ一部と言うのは内緒なのだけど。
「なるほど...それは災難だったね。私の発明が迷惑を掛けたよ。」
「いえ、それは問題ないですよ。ミリーちゃんはいい娘でしたし、それで一つお聞きしたい事がありまして。ミリーちゃんの言葉遣いはカミラさんが決めたんですか?」
「うん?...あぁ。なるべく対話しやすい形にしたかったからね。私の思考ベースを元に構築したよ?」
「そうですか。つまりミリーちゃんの発言はカミラさんの思考に近いんですね。」
若干、声のボリュームを上げながら確認する私にカミラさんは首を傾げながら頷いた。子供の責任は親が取るのが妥当だし。ここは任せよう。
ギィィ...。
再び研究室の扉がゆっくりと開き、隙間からリリュスさんが顔を覗かせる。その表情は...あぁ、綺麗な笑顔だねぇ。
「リリュスまで来たのか。すまない、お前にも迷惑を掛けただろう。」
「いえいえ...気にしないで下さい。ミリーちゃんは可愛らしいじゃないですか。雫様!それにペペとルルもこれからの話し合いがあるので玉座の間に向かっておいてください。」
「「「はーい!!」」」
私達は声を揃えて研究室を後にする。内心に申し訳無さこそはあるものの、我が身が可愛いと思うわけですので。
その後、玉座の間でこれからの指針についての話し合いと改めて
ベルカさんが私に何回か質問をしてきたので軽い事情を説明すると納得した様子でした。
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帝国王城 謁見の間
「時は来た!帝国の同胞達よ!今こそ魔物との戦を終結させるのだ。」
帝国の国王と思われる人物がそう言いながら立ち上がると目の前に座っている人物達が深々と頭を下げる。
「アレイン...レミアス。この度の失態を咎めるつもりは無い!帝国民なら次で取り返せ!良いな?」
「「はっ!!」」
紅の騎士アレインと金色の豪将レミアスは更に深く頭を下げた。
「異界の勇者も揃った。我らは万全である!行くぞぉ~!!」
オォォ~!!
王の号令に数多の騎士、将...そして勇者達が声をあげた。大きな戦いの準備は着々と進んでいた。
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