第23話 サイキョー!ムテキ!ミリーちゃん?

魔王城 カミラの研究室


「遂に...遂に完成した。これぞ研究の最高到達点!人工精霊ホムンクルス等とは格が違う。」


ハーハッハッハ!と高らかな笑い声が魔王城に響く。声の主である魔王軍参謀のカミラは満足げに目の前の培養カプセルを眺めている。


どうやら何かの発明が上手く行ったのだろう。


「お披露目が楽しみだ...明日は皆、驚くだろうな。おやすみ。ミリー...。」


研究室の電気を消して、カミラは部屋を後にする。この時は気付いて無かった。培養カプセルの蓋が空いていたことに...。


そして、ゴボゴボ...とカプセルの中にいる生物?が音を立て動き出していたことに...。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


3方向に別れての調査任務を終えてから数日後、とある日の出来事である。爽やかとは言い難い日差しに私は目を開けた。


「ふぁぁ~。もう朝か...。そろそろ起きないと、ペペ達が起こしに来る時間だな。よいしょ!」


ムニュ...!


起き上がる為、布団に手を置こうとしたのだけれど...触れた場所はいつもの感触とは違う柔らかさを感じ私は一瞬、思考が止まった。


「ムニュ...?」


「んむぅ...。」


数秒後、普段の思考に戻った私は恐る恐る。感触の正体を確かめようと手の置いてある場所に視線を向けた。


「ふへへ...。」


「...誰?」


恋愛的な漫画なら良くあるハプニング的な展開?なのかな?目覚めたら横に知らない裸の少女が寝ていましたって頭に浮かんだ?マークが引っ込まないんだけど。


コンコンッ!!ガチャ!


「ご主人様!朝ですので、そろそろお目覚めになってくー」


ドンッ!


「うぷっ!ちょっとルル?入り口で止まったら私が入れないかしら?一体、なにー」


あぁ...これも良く見る展開。誤解を生みまくって言い訳出来なくなっちゃうやつね。とりあえず何かは言わないと。


「あの、違うからね?これはー」


「ご主人様!心配しなくても分かってるかしら!」


弁解しようとした私の言葉を力強く制したペペ。横ではルルがウンウン...と頷いている。あぁ...そうか。2人は優秀なメイドだもんね。分かってくれてるか。


次の言葉を待つ私に2人のメイドは口を揃えて同じ言葉を言った。


「「昨夜はお楽しみだったかしら!(ございましたね!)」」


「違うから!!」


信じた私が馬鹿だった。


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「ーと言う訳なの。わかった?」


「なるほど!ペペの思った通りかしら!」


「ルルの考えた通りでございますわ!」


数分後、頭にタンコブを作って正座をしたメイド2人はやはり。そうでしたか。等と言って頷いている。こうゆう所は都合いいんだよねぇ。


「それじゃあペペとルルもこの娘には見覚えが無いってこと?魔王城に居た記憶も無い?」


私は未だに素っ裸で寝ている。女の子を示しながら言ったのだが、2人は首を傾げていた。


「1度見たなら忘れないと思うかしら。そうそう露出狂の魔物なんて、居ないのかしら。」


「確かに露出狂は覚えがございませんわね。」


そんな単語どこで覚えて来たの?ってゆうか普段から裸って決まった訳じゃないでしょ。


「んぅ?ふぁぁ~良く寝たぞぉ~。」


「あ、起きた?」


そんなこんなを話していたら女の子がパチッと目を覚ました。まぁこんな近くで話してたら起きるよね普通...。


「ん~?オマエはマオーか?マオーだよな?」


寝ぼけ眼の女の子はまだ眠いのか目を擦りながら私の姿を確認してくる。マオー...魔王と言いたいなら私なのかな?


「えっと...そうだね。魔王なら私で合ってると思うけど...君はー」


「マオー!!」


「へっ!?」


軽い返答をして彼女の正体を確認しようとした訳だけど、言葉の途中で目をカッと開いた女の子がバッと立ち上がると、私に向かって素っ裸で飛びついて来た。


コンコンッ!!ガチャ!


何だろう。二度あることは三度あるって不運な場合に限るよね。絶妙過ぎるタイミングだもん。


「雫様。おはようございます!朝早くに申し訳ありませんが先日のフェルクでの件でおはー」


扉を開けたリリュスさんの瞳がこちらを捉えて止まる。それはそうだよね。彼女の視界に写ってるのは私の顔に素っ裸でしがみついてる女の子だもの。


「な、何をやってるんですかぁ!!この無礼者ぉ!!」


その日の彼女リリュスさんの叫びはまだ寝ていた者達の目覚まし代わりになったらしいです。


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「...?」


「はぁ~。」


「完全にとばっちりかしら。」


「クソ女...。」


再び数分後、今度は私と女の子...何故か双子も一緒に正座をさせられていた。あれ?何で私もなんだろう?そんな口答えはしないけどさ。


「雫様の性欲が溢れてしまった。それは生理現象ですので仕方ありません!ですが時と場合を選んで下さい!(まぁわたくしはいつでも歓迎ですが...。)」


性欲が溢れたって何ですか?ちょっと誤解が取りきれて無いかな?それと後半何かゴニョゴニョ言ってたけど。


「リリュス様。ご主人様の性欲は一先ず置いておくとして...その娘に見覚えがあるかしら?」


「そうですわ。リリュス様なら何か知ってますでしょう?」


いや、置いておかれても困るんだけどね。それだと誤解を生んだままだし。さっきから魔王の扱いが酷い!


「ふむ...そうですね。この少女は確かに見覚えがありませんね。貴女、何者ですか?」


素っ裸の少女は少し頭に?を浮かべた後、自分に聞かれてると言うことを理解して返答をした。


「ワタシか?ワタシはミリー!ハカセが作った。サイコーケッサクだ!逆にテメーは誰ですかオバサン!」


ピシャァァン!!


空は晴天...だけど少女ミリーの発言で城内の雲行きは怪しくなりましたとさ。

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