第19話 新たな勇者...さては量産型ですか?
「勇者...ってよっちゃん1人じゃないの?何人も居るの?」
私は驚きリーナと名乗った少女に尋ねる。帝国って一体どれだけの戦力なのだろうか。
「敵に情報を漏らすバカが居ると思う?でもアンタが新型を弱らせたお陰でアタシが動ける訳だけ...ッ!!」
ビシュンッ!
言葉の途中でリビィが放った攻撃をリーナは軽く交わしてキッと睨みを効かせた。
「主...どうでもいいよ。余がソイツを倒すから。後で尋問でもしよう。少し下がってて。」
「リビィ...。」
「ハッ!生意気なチビだこと。やれるもんならやってみなさい!外装起動!!」
ブゥゥゥン...!
機械的な駆動音を上げながら、
「アイツらの技術がどれほどか気になるから、試し撃ちの的ぐらいにはなって貰うわよ!
「...くだらない。」
カッ!!ビシュゥゥゥン!!
放たれた極太の光線が真っ直ぐレビィに向かって...直撃をした。強いのは知ってるけど、こんな強力なのは。
「リビィ~!!」
「呆気ないわね。まぁ魔物ごときアタシにかかればこんなもんよ。さっさと魔王とやらも始末させて貰うわよ!」
ガチャッ!!
「...ッ!!」
リビィの心配する暇なく砲塔がこちらに向き直り。先程同様に光が収縮を始めた。どんな仕組みかも分からないけど連射は可能って訳か。
「ごめんね~。魔王もとい異世界の人...アナタには恨みは無いけどさ。これも
収縮する光が小さくなっていき発射まで残り数秒...という所で背中を凍てつかせる様な冷気を感じた。
「随分と余裕だな。
「良かった。無事なんだね!」
「何だよ?この強い殺気は!まさか...あのチビの仕業なのか?」
ヒュウゥゥ...
冷風が砂ぼこりを吹き飛ばし、そこに立っていたのは無傷で退屈そうなリビィだった。纏った水は赤く染まっている。
「馬鹿なっ!!無傷だと..?只の魔物相手なのに?」
「何を驚いている?虫に刺された人間が大袈裟に痛がるのか...?そんな脆弱ではないだろう。余にはその程度に過ぎん。」
「認めないっ!魔物相手にそんなー」
「もういいだろう。余は飽いたぞ。」
タッ...ビュンッ!!
最後まで言葉を紡がせず。地面を蹴ったリビィは瞬く間にリーナとの距離を詰めた。そして身に付けた砲塔を掴んだ。
「潰れろ...龍の
グググッ...バキィィィン!!
砲塔が大きな音を立てて木っ端微塵に砕け散る。連動して纏った装甲もゆっくりボロボロと崩れていった。
「嘘ッ...私の外装がっ!!」
「飽いた...と言っただろう虫ケラ。それに2度と主の前で勇者の名を語るな。」
ガシッ!!
武装を壊され驚きを隠せないリーナに関せず。リビィは彼女の顔を掴んだ。
「むぐぅ!?うぅむ...。はにゃせぇ!」
リーナが慌てて踠いているけど、リビィの握力が強すぎるのか一向に抜け出せそうにない。それどころか段々と掴む力が強くなっているようだ。
「死にたくなければ命を乞うてみろ。台詞次第では離してやるぞ?さぁ...乞え!」
「ふじゃけるなぁ!だれがぁ!まもにょなんかにぃ!わたしはまげないっ!」
「...虫ケラに相応しい節句だな。ならば帰せ!龍の...
ゴギンッ!!
鈍い音を立て、骨格と言う概念を失った
「ふんっ!汚らわしい。実に無様な最後だな。人間というのは。」
「リビィ...流石に殺すまではしなくても。」
「主よ。同じ種族に同情するのは仕方ない。でも余達は人間を狩るのが仕事であり、これが戦争なんだ。」
「...。」
何も言えない。確かに人間は魔物にとっての敵であり、この街では思想がしっかりと表れていた。そして何よりも私が今の魔王だから...出来るのは争いを終わらせること。
「シャーロット達と合流しよう。人間に街を汚させない為にも。一刻も早く...。」
「承知したぞ。主よ...。」
ベシャ!!
リビィは地面に死体を捨てて私の後ろから着いてくる。心の中で静かに黙祷を捧げた私は轟音が響く音の元に向かうのだった。
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