第17話 一難、二難...三難あり?
魔王城から北に進むこと約数時間...森の中で何度か魔物の襲撃はあったものの私達一行は日が沈む前に目的地である魔物の街フェルクの入り口に到着した。
「そうじゃ!お前様よ!忘れておったわ。ほれ!」
「ん?何これ...巾着?」
「カミラから渡されていてな。万が一にお前様が自身を守れる道具やら何やとほざいておったな。」
護身用のアイテム...?紐を解いてみると中に入っていたのは。瓶に入った謎の液体、黒い護符?のような物、刃渡り18cm程のナイフ、それと解説書が入っていた。...とりあえず解説書を読んでみよう。
『親愛なる雫様へ
以下は魔法道具の説明となる。万能では無いので心してくれたまえ。
1つ目...瓶に入った液体は魔除けの香。身体に塗れば魔物にたいして認識阻害の効果を発揮する。上手く使えば1日は持つ。
2つ目...黒いカードは
3つ目...最後にナイフだが私の強力な魔力を練ってある。
以上だ。武運を祈る。』
とのことらしい。説明で分かるけど凄い道具だなぁ。と言うか魔除けの香があれば襲われなかったのでは?...まぁ、過ぎたことを言っても仕方ないか。
「とりあえず今から魔物の街に入るわけだし、この液体は付けた方が良いよね?シャーロット達にも効果があったりする?」
「カミラの錬成した道具ならば問題ないであろう。恐らく低級の奴らにしか効果は出ないだろう。」
「なるほど!ならば問題ないかな。」
ペタペタ...。っと塗った感想は普通のボディオイルみたいな感じ。変なベタつきとかはなくスッと肌に馴染んだ。これで本当に効果あるのかな?
「なるほど...大した効力じゃのう。お前様の人間臭さが無くなったぞ。これならば奴らから同類と認識されるじゃろう。」
「あはは...何だか嬉しいような、悲しいような複雑な気分だねぇ。」
「仕方なかろう。お前様は魔物だけでもなく人間共からも狙われてる身であるゆえ警戒はしておいて損はない筈じゃ。」
カラカラと笑うシャーロットを横目に見ながら私は深くフードを被り直した。まったく他人事だと思って...。
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「今日は良い肉が入ってるよ~!一つどうだい~!!」
「そこのお兄さん!♡どうかしらワタシと遊んでいかな~い?♡」
「さぁさぁ!!この宝飾品!今なら買い時だ~!持ってけ泥棒ぉ!!」
街をしばらく歩いて分かったことがある。魔物とは言え人間と変わらない生活をして、真似事ではない独自の文化を築いているのだ。
(まぁ...それは売り物に人間って単語が無いことを除いた場合だけどねぇ...。)
「店主よ!妾に
「ボクは...!
「ちょっと...!?」
目的を忘れてないよね?さっきから楽しんで食事をしてる2人に堪らずツッコミを入れる。...いや、頭に?を浮かべないでよ。
グイッ!
「むぐぅ!?」
「お前様。まぁ落ち着いて食うが良い、気を張り過ぎても疲れるだけじゃろう?」
「うん...うん。」
モグモグ。モグモグ。ゴクッ!
確かに一理あって食べ物も美味しいけどさ...何か言いくるめられたみたいで納得出来ないよなぁ。無知な私は従うけどさ。
「にしても珍しいもんだなぁ~!まさか魔王城の幹部様が街に出てくるとは嵐の前触れかい?」
「どうじゃろうな。ある意味では外出したことで
「はっはっは!こりゃあ1本取られたなぁ!!」
大声で会話する。店主とシャーロット...盛り上がるのは良いんだけど、身内としては恥ずかしいんだよねぇ。
もぞもぞ...もぞもぞ...。
ん?背中で動く違和感が...リビィちゃんのお目覚めかな?随分と長く寝ていたんだね。
「
「え?人間臭いって?私は魔除けの香を付けてるんだけど。」
「違う!別の方向から人間の匂いを感じる!!...多分、上から!」
言われて直ぐに空を見る。...異世界ならではの光景か。今日の天気は晴れのち巨大鉄球と言うわけか。変わった天気もあったもんだ。
「って落ち着いてる場合じゃない!!流石にあんなの直撃したら一溜りも無いよ?」
「まかせて...しずく様に...ぜったい触らせない!」
ヒュンッ!ドッゴォッン...!!
タンッ!と地面から飛び上がったシュリカが空中で巨大鉄球を殴って弾き飛ばした。そのお陰で誰かの家は壊れた訳だけど、後で謝っておこう。
「きゃあぁぁ~!!」
「うわぁぁ~!!」
逃げる魔物達の絶叫が響く。いきなり物騒すぎない?でも確実に私を狙ってきたって事は恐らくだけど犯人は...。
「見つけたぞぉ~!!虚偽なる魔王の名を冠する雨宮雫とやら、我輩の正義の元に鉄槌を下してやるぞぉぉ~!」
ズドォォン!!!
今度も空から聞こえた声...と思えば目の前に何かが着地した。何だろう直近で同じような体験をした気がする。でも今度は私が標的か。
「さぁ!!雨宮雫よ!尋常に力比べと...いこうじゃないかぁ~!!」
輝く金色は正義の証とは特撮ヒーローが言っていた気がする。筋骨隆々の無精髭を蓄えた歴史の武人に居そうな目前の男性はマッスルポーズ?を取りながら言った。
いや、何だこのむさ苦しい人は...。
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