第15話 初仕事ははじめてのお使い?
魔王の城 玉座の間
「ふわぁ~...眠い。」
瞼が重い...強い眠気が私を襲う。検査後の朝食を終えた私とリリュスさんを除く他の幹部は玉座の間に呼び出されていた。
「ペペ~。リリュスさんは何の用で呼んだのか分かる?」
「あのクソ女様の呼び出しは日常的ですから内容までは難しいかしら。」
「そうですわ!くだらない用件だったり、私達をこき使うだけだったり。本当に良い迷惑でございます!」
プンプンッ!と擬音が聞こえそうな程に頬を膨らませた双子、メイドと言うのは雑務をこなすのが仕事だが不満は貯まってるんだろうな。
ガシッ!ガシッ!
「くだらない用件で申し訳ありませんでした。であれば雫様のメイドを解雇しても良いのですよ?」
「「ひぃぃ!?」」
「あ、リリュスさん。来てたんですか。」
背後から聞こえた声...と同時に伸びてきた腕が私の両隣を陣取る双子の頭を掴んだ。気のせいだろうか...ミシミシッと音が聞こえてくるような。
「あ゛ぁぁぁ~!!痛いぃ!!脳が潰れるかしらぁ~!!」
「さ、さっさと離しなさい!この野蛮なクソ女!ルル達の顔が不細工になったらどうするんですのぉ!」
「あらあら...まだ軽口を叩ける内は大丈夫ですねぇ~。雫様の手前、しっかりと躾をし直さなくては。」
あ゛ぁぁぁ~!!と双子の絶叫が木霊する。彼女らが解放されたのは数分後であった。
「はぁ~。酷い目にあったかしら。冗談も通じないなんて頭の固いことかしら。」
「まったく融通の効かない上官と言うのは人も魔物も同じですこと。」
ぐにぐに...と握られた頭部をマッサージしながら文句を口にする双子のメイドさん。まぁ...不満を言い合える関係ぐらいが逆に合ってるんだろう。リリュスさんもお仕置きをして満足そうだし。
「さてと本日、召集を掛けたのは昨晩の人間による襲撃についてです。我々も次なる一手を打つ時が来たのです。」
「ふむ...具体的には?こちらも帝国に襲撃でも掛けるのか?」
「それでは人間と変わらぬでは無いか!もう少し騎士らしい策をだな...主に我を主軸にー」
「馬鹿は黙ってろ。」
今度はベルカさんとカミラさんの口論が始まってしまった。しかし、口撃ではなく攻撃にステータスを全振りしてしまった将軍さんは真逆のステータスを持つ参謀さんに弱いわけで結果は目に見える。
パンッ!パンッ!
「静粛になさい!悲しくも予想通りです。召集をしたところで理想的な一手が出ないだろうと思ってました。...が」
くるッと向き直り何か期待した眼差しを私に向けるリリュスさん。何だろう。転生前にも時々あったなぁ...あんな視線。
「...もしかして私が考えろってことですか?」
「ッ~!!流石は雫様です!
「あはは...。」
いや、がっつり視線を向けてたじゃん...どんな鈍感でも気付けると思うよ。と言うか気付いたら他の皆さんも私を見てるのですけど...。何か言わないと駄目な雰囲気だなぁ。
「う~ん。意見が必要と言われても私自身がこの
「なるほど!雫様の仰ることは分かりました!世界の情勢を知る...つまりは見聞を改めて広げれば見える景色もある!行き詰まりを打開する案ですね。」
「いや...違ー」
否定しようとしたけど既に遅く。流石は魔王様~。と言う声は拍手が聞こえる。君達は私の言葉が響くフィルターでも付けてるの?まぁ...纏まったなら良しとしよう。
「では、この場にいる者を3部隊に編成し、城より3方向に別れての進軍調査と致します。カミラ参謀?均等な割振り且つ雫様の安全を確保できる様にお願いします。」
「ん。心得たよ。」
あ、私も行く流れですか。カミラさんは手元の書類に名前を書き出していく。話の流れでこうなる結果を予測していたんだろうな。実に早かった。
ちなみに第1部隊...リリュス、ペペ、ルル。第2部隊...カミラ、ベルカ。第3部隊...私、シャーロット、シュリカ、リビィ。とのこと、ちなみにノワールさんは諸事情で城を出れないためにお留守番らしい。
「ちょっと待つかしら!何でペペ達はご主人様と離されたうえにクソ女と一緒なのかしら?」
「君達の実力は知ってるが...魔王様の護衛がメイド2人は些か不安でね。消去法と言うわけだ。」
「ならば...ルル達と誰かにすれば良いのでは?せめてクソ女とだけは勘弁でございます。」
「はい、駄々をごねないでください。さぁ行きますよ。」
リリュスさんが嫌がるペペとルルの襟首を掴んで引っ張っていく。頑張れと心の中で応援する。さてと私も向かわないと...。
「3人ともよろしくね。」
「うむ、妾に任せておくがよい!妾にだけな」
「シュリカ...お腹空いたの...」
「まかせ...zzZ~。」
うん!凄く不安!無事に帰れるかな?
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