第9話 雫と禁書と霊将と...?
書庫の扉を開くと、待っていたのは地下広くに建設をされた幻想的な本の街だった。
「凄い!!地下がこんな風に広がっていたなんて。映画でしか見たことないよ!」
「あらあら~?ご主人様は本がお好きなのかしら?まぁ、ここには数万を越える書物があるから無理は無いかしら。」
「姉様!違いますわよ。ご主人様はこのような景色に焦がれたのでしょう。城内でもここは1番ですから。」
結論で言うと両方的を得ている。私は読書が友達であったし、本の世界での冒険の景色に憧れもあった。故に童心を擽る
『お気に召したようで何よりだよ。魔王様!気の許す限り、ゆっくりしていってくれたまえ。』
「え?今、何か言った?」
「私達では無いかしら。書庫で何かが聞こえたら恐らくはノワール様の魔法による言葉がご主人様に届いた感じかしら。」
凄いな魔法...流石、異世界は何でもありか...あれ?自分の考えを伝えられるなら私の脳内も読まれてたり?
『まぁ...出来なくは無いが、疲れるので滅多にはやらないな。』
「いや、出来るのかよ!ってか私の脳内を勝手に読まないでください!」
「ご主人様...何をしてるのかしら?」
『あははッ!話に聞いていた通り。面白い魔王様みたいだね。』
その言葉を合図に辺りが目映い光りに包まれたと思えば、目の前には私の背丈程はある巨大な本が現れた。
「うわぁ...こんなに大きな本って私、初めて見たかも。これも魔法なの?」
「ご主人様、違いますわよ。この方こそ書庫の番人にして魔王城の守りも務めてます。
「へぇ~そっか!これがノワール...え?これが?いやいや~ルルってば冗談は駄目だよ?どう見てもただの本だよ?」
「冗談では無いのかしら...ご主人様。それにノワール様を怒らせると恐ろしいのかしら...。」
そう言ったペペの表情が青ざめている。違う、ルルも段々と青くなっている。その視線の先にあるのは...。
「流石に魔王様には怒ったりしないけど、こんな屈辱は初めてだよ。まさか私が只の本呼ばわりされるとはね...。」
「え?本から声が?これはどういう謎ーッ!?」
言いかけた途中で慌てて口を紡ぐ、ノワールは
確かフランス語で黒を現す。確かにさっきまで本の表紙は黒かった筈、でも今の表紙の色は真っ赤...同じように言えばルージュ!いや、考えるなッ!一先ず私がすべき行動は1つだ。
「気分を悪くさせてごめんなさい!本当に悪気はなくて...てっきり他の配下さんと同じで人型だと思ってました。」
慌てて頭を下げる。魔王らしくないな...とか余計な考えは捨てよう。初日で配下に嫌われるよりマシだ。ノワールさんの次の言葉をジッと待つ。こう言う時の沈黙って長く感じるのは何故だろう。
「ふぅ...頭を上げてよ魔王様。キミにそんな格好をさせたら僕がリリュスに燃やされちゃうよ。別に本気で怒ったりはしてないから。」
そう言われ頭を上げると、黒色の表紙が私を迎えた。心の中で胸をホッと撫で下ろす。どうやら危機は回避できたらしい。
「ノワール様!貴方も少し悪いかしら?いつもは人型なのに今日に限っては何故、本なのかしら?」
「そうですわ!ご主人様が不思議に思うのも当然です!」
「いやぁ~今日は力を使ってしまってね。申し訳なかったよ。」
ペペさん、ルルさん...?先程はあなた達も怯えてませんでしたか?どうやら相手が下手に出てると強いタイプだな。
シュウンッ!!
「あらあら雫様!まさか書庫にいらっしゃるとは偶然ですね!やはり
「白々しい台詞だな。いっそ役者か道化にでもなったらどうだ?人達には喜ばれるぞ?」
「...ッ!!....。」
背後からそんな会話が聞こえ振り返ると最早、何処から来たのか?と言う突っ込みすらも無意味に思えてしまう。リリュスとカミラ...それと鎧?が居た。
「あれ?リリュスさん達も書庫に用事があったんですか?」
「そこのノワールに野暮用を頼まれてまして。そんなことより雫様!
「えぇ...それは流石に難しいかな?」
「魔王様...無視していいよ?そんなことよりリリュス。成果はどうだったのさ?」
失敬な!とか怒りつつもリリュスさんはキチンとノワールさんに報告をしている。うん...仕事とプライベートの両立が出来る人ではあるのか。良いことだ。さて...それよりも。
「カミラさん、野暮用って何してたんですか?...もし言えないなら大丈夫ですけど...。」
「いや、大したことは無いよ。ただノワールの結界に反応があってね。それを調べてただけさ...。」
「なるほど!その鎧は戦利品みたいな物ですか?それとも何か魔法が掛かってたり?」
「あぁ...これはだなぁ~。なんと言おうか?」
むぅ...と唸るカミラさん。何か危険な物なのかな?興味本位に近付いても大丈夫だろうか。そんなことを思いつつも軽~く鎧に触れてみようとした瞬間、ヘルムの部分がガチャッ!と開き...。
「へ...?開いた?」
「貴殿が...我の新たなる主人であるか?」
「ぎゃあぁぁぁ~!!」
あぁ...今日1番の驚きだ。
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