第7話 触りすぎにはご注意を...!

場所は戻り食堂...雫達はリヴィを鎮める為の作戦を実行していた。それは無謀であるが確実性のある希望の案...異世界の神話を知る雫だからこその策である。


「なるほどのぉ...雫の世界では龍の首筋にある鱗の内の1枚、通称に触れると龍は大人しくなるのか。不思議な話じゃ。」


「かなり無謀だけど、リヴィが龍と付く種族だから試せる作戦かしら。本当に無茶だけど。」


「でも、リヴィの魔力が尽きるのを待つよりかは突破口が見えそうですわね。やってみましょう。」


「皆...ありがとう!」


ザッ!


未だ殺気の落ち着きが見えないリヴィの正面に立ち、覚悟を決める。ここで駄目なら私はそこまでの人...でも、よっちゃんに会うまで私は倒れられないから。絶対に成功させる。


「覚悟は決まったようだな。人の子よ...余から逃げぬことだけは褒めてやろう。故に苦痛も与えぬぞ喜べ。」


「あはは...ありがとう!でも倒れるのはリヴィちゃんだよ。だって私は魔王だからね。」


ピクッ!.....スッ!


とりあえず走れるだけの体力があればいい。今は冷静になれないほど怒らせるのが必要である。


「消し飛べっ!激流砲ハイドロブレス!!」


「無駄じゃ!!炎壁ブレイズウォール!」


バシュウッ!!


遠距離の砲撃はシャーロットの炎で相殺できるけど多分、これだとジリ貧...勝負はリヴィが痺れを切らしてくれた時だけだ。私はそこに賭けている。


「ほらっ!どうしたの?そんな攻撃じゃ私は倒せないよ?それとも限界なのかな?」


「調子に...乗るなよ?人間ごときがぁぁ!!赤龍炎舞ドラゴンオーラァァ!!」


リヴィの纏っている水流が青色から真っ赤な血のような色に変わる。さっきペペに聞いた通り、リヴィは纏う水の色によって戦闘方法が変わる。青色ならば遠距離型、赤色ならば近距離型...もう一つあるらしいけど、それは覚醒状態のみで充分な睡眠を取れた時に使えるらしい。


「今度はチンケな炎じゃあ止まらねぇぜ?龍のアギト。」


身体能力に特化した姿らしいから、発言とかも攻撃的になるのか等と考えてる一瞬で目前まで距離を詰められた。普通なら大ピンチだろうけど、私は僅かに口角を上げる。


「何を笑ってる?」


「確かに凄いね。でも私はリヴィの近距離型を待ってたんだよ!!シュリカ!」


「何ッ!?」


「まかせてぇ!!せ~のぉ!どすこぉ~い!!」


ズドォォン...!!


私を捉えようとしたリヴィの両手はシュリカによってガッチリと固定された。流石、魔獣ベヒモスだ。力だけならリヴィは適わないだろう。でも万全じゃないのはシュリカも同じなのだ。


「うぅ...やっぱり力が全然でない。しずく様ぁ...いそいでぇ!」


「任せて!すぐに終わらせるからね!」


「てめぇ...何を!?」


逆鱗の位置は確か顎の下の逆さになった鱗...だから人間で言うなら喉仏付近?とりあえず一か八かでやるしかない!必死でリヴィの顎付近に手を伸ばす。


「届けぇぇ!!」


プニュン!!


(や、柔らかい!!)


「ふぁ..あぁぁん///!!な、にゃにこれぇぇ///?」


かろうじて触れられたのだろうか?嬌声のような叫び声を出しながら、リヴィはペタンッ!と床に座り込んでしまう。これは成功した?


「雫...上手く行ったのか?何やらリヴィから可笑しな声が聞こえたのじゃが...」


「どうだろうね?実感が無いんだけど。」


「ですが成功したのではありませんか?リヴィの様子が変ですし、あの水流の色は見たことがありませんわ。」


まぁ...確かに変ではある。座り込んで動かないし、目は虚ろになってるし。ルルの言うように纏う水流はピンク色で何か少しだけ卑猥に感じる。と言うか忘れてたけど裸だし。


「えっと...リヴィちゃん?そのぉ~大丈夫かな?痛いところとか無い?」


「ん~?あならはられぇ?リヴィのしららい人らよねぇ~?あれぇ~?でもぉ~あならの匂いはァ~おぼえてうかもぉ~。えへへぇ~///」


「これって酔っぱらってるの?もしかして、この世界の逆鱗はそうゆう効果なのかな?リヴィちゃん。理解出来るか分からないけど、私は雨宮雫!新しい魔王です。よろしくね。」


「まおうさまぁ~?そうかぁ!まおうさまなんだぁ~。リヴィだよぉ~。よろしくねぇ~。」


さっきまで余とか言ってた娘とは思えない。これはこれで有りかもね。ギャップ萌えってこう言うことを言うんだろう...うん、悪くない。


こうして、私の魔王としてのハプニング的な仕事は無事に解決したのであった。

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