第3話 魔屍骸は新鮮な肉がお好き?

「キャー!可愛らしいですわ。流石、ご主人様!!」

「映像を残す手段が無い時代‥せめて記憶の底に鮮明に焼き付けるのが正解かしら。カミラ!じゃんじゃん作りなさい!!」

「ふふっ。お任せあれ!久しぶりの創作クリエイトに腕がなります!」


テンションが爆上がりの3人を他所に私のテンションは底辺を彷徨う。このファッションショーはいつまで続くのか...。


「何だコレ‥。」


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ことの発端は玉座の間でのことだった。


「じゃあ話して貰えるんだよね?私がここに居る理由やよっちゃんのこととかを...。」

「えぇ...構いませんよ。その為に配下の者達を全員召集を掛けたわけですから、何から聞きたいでしょうか?」


それから自らを悪夢ナイトメアのリリュスと名乗った彼女は宣言の通り、私の投げ掛ける疑問に全て解答をくれた。


要約すると此処はエルメキアと言う名前の大陸で人間と彼女リリュス達のような魔物?もとい人ならざるもの?が毎日、争っているらしい。(まぁ、お決まりってやつ?)それで膠着に嫌気がさしたのか終着への一手を打つことにしたらしい。


そう、他の世界から力を持った存在を呼ぶ...つまりは異世界転生だ。リリュスは長い間、曰く何十年と探していて、ようやく雨宮雫わたしを見つけたらしい。それで召喚魔法を使ったと..うん。超便利。


「でも...期待を折るようで悪いけど、私は只の人間でキミ達の敵対してる存在と一緒だよ?それこそ戦況が悪くなるかも...。」

「何を仰いますか。雫様...貴方様を見つけた時、わたくしは強大な魔力を感じました。雫様は特別な力をお持ちなのです。ですから...」


我らの王になってください。とリリュスは深く頭を下げた。...どうしたものか、と返答に困る。しかし...ある人物が頭を過った。


「ごめん!リリュス...もう一つだけ聞きたいことがあって。よっちゃん...いや、紬愛香って人のことなんだけど。」

「あの時、雫様と一緒に居られた方ですね?大丈夫です。生きておられます...あれは雫様の意識を離すためにわたくしが見せた幻ですから、今は日本と言う国に居る筈ですが...」


そこまで言って、彼女リリュスが言葉を詰まらせる。


「えっと...手違いで傷つけちゃったとか?」

「そうではありません。わたくしが雫様に接触した時、別の歪みを感じたのです。微細な魔力反応、何者かが干渉したと言えば良いでしょうか。」

「ん~?えっと、つまり真意的に言うと?」

「紬様を求めた者が居り、わたくしの召喚を利用されたかと。憶測ですが...。」


ッ!!よっちゃんも異世界こっちに来てるかもしれない!もし居るなら会いたい!


「リリュス!私...!」

「お待ちください。雫様...わたくしも利用されるだけは癪でしたので既に捜索行動はしております。早ければ数日以内に音沙汰があるでしょう。ですので...」


パンッパンッ!とリリュスが両手を叩くと、双子ペペとルルが姿を現した。一体、何をするつもり?


「先ずは見た目から変えましょう。制服ソレだと舐められるかも知れませんので、着替えたら城内の案内と改めて配下達への挨拶をしてください。」


やっぱり人間ってのは駄目なんじゃ?と思いながら引きずられていく。これが既に舐められてるでしょ。


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そして現在進行形でファッションショーは続いてる訳で、一体案内等はいつになるのやら。


「や~ん!///ご主人様!!その服も素敵ですわぁ~。///」

「ふむふむ...ご主人様。私と同格、或いはそれ以上かしら。///カミラ!次かしら!」

「はぁ~い。お任せを!どんなのが良いですかねぇ~。」


てか、ずっと気になってて流してたけど...と呼ばれている貴方は何者なんだ!恐らく配下の1人ではあるんだろうけど。


「あの~カミラさんで良いのかな?そろそろ決めて欲しいんですけど。」

「ハッ!?大変申し訳ありません。反応が可愛くてイジ...じゃない。久しぶりの仕事で張り切ってしまいました。お召し物はこちらです!」


今、絶対に弄りがいがあるって言おうとしたよね。確実にメインで楽しんでたのはこの人だよ。まぁ、確かに服はしっかりしてるけど。


「ご挨拶が遅れました。私は魔屍骸リッチのカミラと申します。得意なのは魔法、趣味は錬金や実験です。魔王様、何かあれば是非とも...ジュル。失礼、頼ってくださいね。」

「あ、はい。よろしくお願いします。その時は頼りにします。」


この人、目線が危なすぎるでしょ!絶対私を対象として見てるよね?魔法使いじゃなくてマッドサイエンティストでしょ。腕は確かだけどさ。


「ふぅ...眼福でしたわ。ではご主人様!案内に移りましょうか?」

「有意義な時間だったかしら。カミラは映像を残す手段を検討して欲しいかしら。」


双子ペペとルルにはカメラと言う技術があるのを絶対に教えまいと誓って、私達は研究室を後にするのだった。

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