第8話 懐かしい記憶 (後半)
たくさん動いたし外も暖かく日が差しこめていたからなのか小梅ちゃんや稲見ちゃんがうとうとしていた。
「眠いなら寝た方がいいよ無理に起きなかっていいからね」
『うん、少し寝る…』
「2人を場室に寝かせてくるよ」
「わかった」
2人を抱えて部屋を出た、その間遊んだものを片付けをした。しまってあった棚を開けるとカルタ以外にもお弾きやお人形さんや聞いたことある遊びが入っていた、ほんとあの子達は遊ぶのが好きなんだな。
『ごめんね付き合わせちゃって』
「いえ、僕も楽しかったですよ」
『よかった』
「久しぶりに体を動かせましたし子供達も楽しそうでよかったです」
『ふふ、やっぱり玄楽君僕の弟ににてる』
「弟?流華さん弟いるんですか」
てっきり一人っ子か末っ子感が強かった。
僕によく似ているのか弟さんは。
『僕の弟も昔近所の子達とよく遊んでて子供達からも好かれてたんだ、でも幕府軍に行ってから子供達と接することがなくなったんだ』
「幕府軍…すごいとこに行ったんですね」
『そうなんだ、最初はね2人で行こうとしたんだけど僕は弟よりも体は強くないし病気が悪化するかもしれなかったんだ。』
「病気…?」
『不治の病だったし弟も差別されるのが怖くってね。悪化するって嘘ついて本当は怖かったんだろうな、あの頃の僕は』
「弟さんとは会ってないんですか?」
『うん、先に死んじゃったから。あの後どこに行ったのか幸せになったのかわからない』
弟さんのことを本当に大切に思っていたとすごく伝わった、弟を残して死んだのは確かに心配だ。
『だから玄楽くんを見てるとなんだか弟を思い出すんだ』
「優しいお兄さんですね、流華さん」
『もし会えたらたくさん話したいよ』
僕も弟さんが見つかることを祈っておいた。
優しい流華さんの願いを聞き入れて欲しいよ神様。
『こんな時間だけど大丈夫?』
「そろそろ帰りますね、ありがとうございます」
『うん、気をつけてね』
夜の町も提灯が灯りを灯していてとても綺麗だった、人の往来もすこし多くなっていた。
人力車で途中まで送ってもらい徒歩で帰っていると、放浪人さんがいた。本当名前を教えてほしい。
『おお、あの時の子か』
「こんばんわ、ここで何してるんですか」
『これから街に行くんだ、お前もさっきいたんだな』
「はい、子供達と遊んでました。それと着物屋の人とも」
『はは、やっぱりお前は俺に似てるな。子供に好かれるのも』
「似てますかね」
『俺は似てると思ったよ、じゃ気をつけて帰れよ』
といって帰って行った。
次こそ名前をちゃんと教えてもらお、流石に呼びずらいからね。
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