大魔導士再臨

ショッピングモールでの買い物を終えた一行は休憩がてらフードコーナーで寛いでいた、パパが外での魔物の事を皆に伝えるとこんな街中でBランク相当の魔物が出るんだと驚いていた、異世界では人里離れた森や山の中に立ち入らなければまず遭遇はしない相手だからだ。


弱い魔物しか出ない所を人が開拓していったと言った方が良いのかもしれない、過去に何回か強い魔物の生息域を荒らして氾濫を引き起こし甚大な被害を出した、その事があって魔物との住み分けの均衡が保たれて居たのだった。


異世界との融合で強い魔物がいきなり街中に出現する事が度々あり自衛隊員の被害が出始めていた今はポーションの提供の御かげで持ち堪えている状況だった。


「佐々木さん自衛隊でさっき出た魔物は対処出来ているのか?」


パパが佐々木さんに疑問を投げかけると「今は何とか罠にはめて対処出来ておりますね、けが人は続出しておりますがポーションの御かげで何とかなっております」


「今後もっと強い魔物が出て来る事に成る、守る範囲を決めて置かないと今までの様には行かなくなるぞ?」


今急ピッチで避難場所の周りをコンクリートの壁で覆う様に各地で工事が進められているが守り切れるものでは無いだろう、各地の町を全部覆う塀など出来るわけが無いのだ、学校や大型施設を避難場所に指定して工事を行って居る様だがどれだけの人が助けられるのかは分からないのだ。


「それは分かって居るのですが中々難しいですね、避難を嫌がる者や反対運動を起こす者達もいて協力を中々得られない地域も有る状況ですね」


依然として状況を把握して受け入れる事が出来ずにいる者達が各地で反発や抗議をしていて協力を得られない地域が多いのが現状だった。


「人間都合が悪いと素直に言う事は聞かないだろうな、結界に入れない者でも協力的で言う事を素直に聞く者達は救っても良いと思うがそれ以外は切り捨てなければ全滅するかもしれん、結界に入れた者はうちで限界まで受け入れよう」


「それは非常に助かりますね!あの拠点では何人位を受け入れらますか?」


佐々木さんには拠点を股広げて行き今の自衛隊が駐屯して居る場所も巻き込んで塀と堀で多い千人規模で自給自足が出来るようになる拠点にする事を提案した。


今いる樹海を開拓していけば食料と住居は十分確保できると思われた、あと4日で咲きに出来るだけ大きく開拓をして貰って場所が確保出来たらほしに結界を新たに広げて貰えばいいだろう。

塀の外の警備をまりもとゴンに任せればまず間違いは無い、まあドラゴンのユキがいる時点で他の魔物は近くには来ないだろうが世が混乱すれば魔物よりも人の方が怖い存在に成る。


今は反対や批判して協力しない者達が、準備して備えて居た者達に群がり襲い掛かる未来が目に見えている、魔物に襲われるよりも人に襲われて命を落とす者の方が増えてしまうかも知れない、異世界の住人との衝突も懸念される、此方の方は実際にどのように融合するのか見当もつかないので対処出来ないのだが、町の中に町が何て事には成らない事を願うばかりだ。


「自衛隊も最終的には結界に入れる者と入れない者に分けて行動させた方が良い」


職を持って居る者が持って居ない物を助け命を落とす、それだけで戦闘力が下がってしまう、職を持って居ない者が命を懸けて職持ちを助ける事が出来れば良いが現実では難しいだろう、そう言った行動が出来る人間なら結界に入れると思われるからだ。


佐々木は考え込み悩んでいる、残酷な決断をしなければ行けない時がきっと訪れる。

その事を覚悟させて選別を済ませて置くようにパパは忠告するのだった。


「難し話は終わった?佐々木さん今日はありがとうございました!久しぶりに買い物を楽しめたわ」


ニコニコ顔のママと子供達が佐々木さんにお礼をしていた、何かあれば力に成る事を約束して居るが佐々木さんは喜んで入るが微妙な心境のようだ、女子供を魔物と戦わせる事に抵抗が有るのだろうが、実際に魔物と戦う所を見ればそんな心配は無用だと分かる事だろう。


佐々木の後ろの自衛隊員が無線のやり取りで忙しそうにしていた、各地で強力な魔物が出始めて対処に追われている様だ。


「皆満足したか?あまり長居すると佐々木さんの仕事の邪魔に成るから早々に帰ろうか!帰ったら咲にやって貰いたい事も有るしな」


皆は爆買いに満足した様で異論は無さそうだ、素直に変える事に納得する。


おと 「帰ったら早速皆に服着せよう!」

ほし 「私も新しいの着たいな~」

ママ 「皆でファッションショーしましょうか!」

さき 「それいいね~家で待ってるみんな美男美女だからきっとメッチャ可愛く成るよね!」


おと 「じゃあ動画上げて紹介しながらやろう!」

パパ 「盛り上がってる所悪いが咲はお手伝いしてからだぞ?」

さき 「ええ~!嘘でしょ~下がるわ~」

パパ 「下がる?何が下がるんだ?」

おと 「テンション駄々下がりって事だね」

さき 「何するの?」

パパ 「拠点をもっと広げて行こうと思ってな」

さき 「え⁉またやるの?この前したばっかりじゃない!」

パパ 「広げて行けば助けられる人も増えるだろう?結界に入れる人は成るべく助けたいんだよ」

さき 「木抜いて塀と堀作れば良いんだよね?」

パパ 「そうだな今日はそれで良いかな」

さき 「じゃあヘリで上から見える所でやって良い?」


佐々木さんに確認を取りokをもらった、さっそくヘリに乗り込み拠点の上空に来る


「パパ杖頂戴!」気合が入って居る様でやる気満々だ。

ちょっとやり過ぎないか心配になるパパだったがやる気をなくさない様に見守る事にしたのだった。


おと 「さき~さっさと終わらせて着替えしよ~」

さき 「分かった!待ってね~」


さきは上から拠点を見下ろした状態で集中している。

「そ~お~れ~!」と杖を振り上げると拠点の周りの木がメリメリと音を立てながらゴゴゴゴゴ~と盛り上がって来た。

「ほれパパさっさと収納して!」さきにせかされて慌てて収納していくパパ。

佐々木さんも周りの自衛隊員も口をあんぐりと開けて呆然としている、何度見ても信じられない状況だ、驚くのも無理はない特に今回の規模は半端ない規模だった。


今の拠点が直径で一キロ位の広さだがその5倍の距離は有るだろうか。森ほとんどのの木が無く成ってしまった。


「じゃあ次いくね~!」


地面が蠢き整地されて行き堀が掘られがり塀が出来上がっていく、森だった場所が整地されて堀の外側にわずかに残すのみとなってしまった、広大な平地が出来上がったのだった。

さき 「パパこれで文句はないでしょ?」

パパ 「ああ文句の付けようがないな…明日に農地にする所をママとハナと話し合って作ってくれれば良いぞ」


ママ 「これはどれ位の人が暮らせるのかしらね?規模が大きすぎて畑の規模もどれ位にすればいいか分からないわ…」


パパ 「ハナと相談して決めちゃってくれ多くて困る事は無いんだ半分畑にしても結構な広さが残るからな…」


おと 「ねえさきこれだけ派手にやって魔力は大丈夫なの?」

さき 「ん~どうだろう半分位は無く成った気がするけどまだ大丈夫かな?」

パパ 「こっちの神様が新しい能力くれたって言ってたから関係してそうだな」


異世界でもここ迄は出来なかっただろう、戻って来てから戦闘はしていないが魔法の扱いが格段に良く成って居る気がする咲、これが神様が暮れた能力だろうか?


ママやおとにほしにどんな能力が授かっているかはまだ分からないがこの感じだと規格外の能力だろう。


おと 「私も貰ってるのかな?分からないけど何かな?」

ママ 「きっと素晴らしい能力なんじゃ無い?得意な事がもっと得意に成ってるかもね?」


おと 「え!ママやばいじゃん!脳筋筋肉ゴリラが脳筋筋肉キングコングに成っちゃうよ!」


さっと目を逸らすパパとさき、ママのこめかみがピクピクしていた。

ヘリが駐屯地に着陸すると同時にパパと咲はヘリから逃げる様に降り立った、ほしを抱っこしヘリから降ろす、おともヘリから降り立ち歩き出した所ママに首根っこを掴まれてしまった。


「え!なに?ママ恐いよ?パパ助けて!」と音が言って居るが全面的にさっきのは音が悪いので気が付かない振りをして咲と話しながらさっさと歩いて行ってし舞う事に、背後からは音の悲鳴が響き渡った…


その頃各地の上空ではこれから起こるであろう混乱を知らせるかのような積乱雲が無数に出現しだしていくのだった。





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