家族の休日

面倒になった家族が早々に自衛隊のヘリに乗って家に帰って来た。

もう買い物を楽しむ気分では無いし見る店も無いだろうと帰宅したのだった。


コーダ 「おや?お早いお帰りで?」と首を傾げていた。


明らかに機嫌が悪い子供達を見て何かあったと察するコーダ


「世間がユックリさせてくれないようですね」と家族を労うが「違うの!せっかく買い物楽しもうと思ったのに観光地でお土産屋さん位しかなくって何も買えなかったの!」と音が腹を立てていた。

久々に買い物に行けると思って居たので時間が経つにつれて怒りがこみ上げて来たのだった!


コーダ 「それはまた残念でしたね!次は何が有るか調べてから行かねばなりませんね!幸い此方の世界では調べ物が楽に出来るみたいですので」


エルフの三人は最近ネットに嵌まっていた、操作の仕方をおとが教えたらあっと言う間に使いこなして世界情勢やら世界遺産を見て楽しんでいる様だった。


ボブ達ドワーフ組は工房で地球の技術者と熱い議論や意見交換を連日繰り返し何か説明しながら分解したり組み立てたりと作業に夢中の様だ。


獣人の銀狼族の男共は自衛隊との模擬戦に明け暮れていた、女性陣は畑やポーションの製造を手伝ったり家事を積極的にしてくれている。


獣人と人族の子供達はポーションを作った後の午前中に最近作ったアトラクションで誰が一番早いかと腕試しがブームの様だった、タイムはポチに競り合う活躍をした狩人のマイロがなんと一位の成績を見せるのだった。

ポーション作りの為に勉強は夕食後に一時間と変更されたのだ。


異世界の住人達はなんだかんだで今の生活の中に楽しみを見つけて居たのだがうちの子供達は刺激が無くなり暇そうにしている。


佐々木さんが「折角の楽しみを邪魔されてお子さん達が気の毒ですな少しお待ちください!何処か思いっきり買い物も楽しめる様な所を探してみます」と足早に駐屯地に帰って行った。

コーダはいつの間にか気配を消して此処から去った様だ、触らぬ神に祟りなしと言わんばかりだ。


パパ 「あれ?佐々木さん少し勘違いをしているか?」

ママ 「まあ邪魔されたのは間違いないので良いじゃない?」

何だかウキウキと期待している感を出している。


荒井 「この近辺での大型施設ですと、フシQなんかですかね」

パパ 「確かに遊べそうだが買い物は出来ないよな?」

おと 「行ったこと無いよね!何が有名なの?」

荒井 「やはりお化け屋敷ですかね?」

さき 「それは行きたくないかも!」

パパ 「咲なんてダンジョンでゴキに囲まれたじゃないかそれ以上の恐怖はもう無いだろう?」


さき 「忘れてたんだから思い出させないでよ!」

ママ 「あの巨大なゴキの群れは思い出したくなかったわね…」

荒井 「異世界ではそれほどのゴキブリが居るのですか?」

パパ 「1m位のゴキの群れが100匹以上は居たかな…」

荒井 「それは恐ろしいですね…想像したくないですね」

おと 「フシQは無しで!咲がまた暴走したら辺りが吹き飛ぶ」

パパ 「そうだな…ほしも乗れる乗り物少なそうだしな」

ほし 「ええーほし怖くないよ?」

ママ 「身長が130cm以上居るのが多いんじゃないかしらね?」

おと 「咲も130なら怪しくない?」

さき 「もう130cmあるし!前計った時132cmあったし余裕だしね!」

おと 「ギリギリセーフだね…」


不毛な言い争いをして居る子供達、遊びたいか買い物したいかだけど佐々木さんに任せるしかない、皆でワイワイ騒いで居ると直ぐに佐々木さんが戻って来たのだ。


「皆さん御殿場にある大型ショッピングモールはご存じですか?そこを明日一日貸切る事が出来ました、不満は有るでしょうがそこで思う存分楽しんでください!もちろん買い物は渡したカードで結構ですので」


子供達がその話を聞き家の中に走って行った。


佐々木さんが「お気に召さなかったでしょうか?」と心配そうだった。

「いやあれは何が有るか検索しに行ったな」とパパが言う。

ママ 「そこなら何でもあるでしょうね!」ニコニコして嬉しそうに言って居る。

家に中から「わー!」と子供達の歓声が上がった。

パパ  「どうやら不満は無いみたいだ、ありがとう佐々木さん!」

佐々木 「喜んで頂けそうで何よりです!現場は今日の夜から自衛隊が厳戒態勢で関係者以外はおりませんので気のすむまでお楽しみください!」


パパ  「これはお返しする物が大変だな!ママ何が良いと思う?」

ママ  「そうねえ?伝説の武器とか?エリクサーとか?」

パパ  「伝説の武器って何が有ったっけ?」

ママ  「デュラハンが持って居た剣と盾無かった?」

パパ  「あれ伝説なのか?確か持ってたはずだが」


パパが収納から真っ黒な剣と盾をだす、見た目は非常にカッコイイ剣と盾だ。


佐々木 「それが伝説の剣と盾なのですか?」

パパ  「伝説なのかは分からんがダンジョンの奥のボスが装備していた装備だな、剣は魔法を切り裂き盾も魔法を無効化するんでかなり手強い敵だったな!」


荒井 「魔法を無効かですか!それは貴重な品では?」

パパ 「貴重かもしれないが使わないからな荒井さんは剣と盾持ってなかったか?使ってみるか?」


荒井 「貴重な品をよろしいのですか?」と言いながらパパから受け取ると『ぶん!』と剣を振り盾を構える荒井さん妙に様に成って居る。


ママ 「何だかあって居そうだわ!」

パパ 「そうだな!それは荒井さんが使ってくれれば良いぞ!」

荒井 「ありがとうございます!何だか体の一部の様な感覚で妙に手に馴染みます」

パパ 「それが合ってる証拠だ!良かったな荒井さん!」


荒井さんに渡してしまったので手配してくれた佐々木さんとエリクサーを手渡すパパ


佐々木 「このポーションがエリクサーでしょうか?」とあまり分かって居無さそうだった。


パパ  「異世界ではそのエリクサーを巡って戦争まで起きる位貴重な品だ部位の欠損はもちろんどんな病も直し死者も蘇生すると言い伝えがあるポーションだな」


佐々木 「死者も生き返るですか⁉そのような秘薬があるのですね!頂いてしまって良いのですか?」


パパ  「今回手を尽くしてくれたんだろう?誰を動かしたかは聞かないが上に報告する分には説得しやすい物だろう?」


ママ  「それじゃあ佐々木さんの手には残らないわねきっと」

パパ  「ママじゃあ佐々木さんには仙神桃を食べさして上げてよ」

ママ  「あら!それならきっと満足して暮れそうね!」と桃を一つ取り出すと佐々木さんにこれ食べて見てきっと驚くわと言って手渡した。


佐々木 「何だか怖いですな」と言いながらも皮もそのままに齧り付いた佐々木さんは驚きながら「これはまた旨い桃ですな!」と言って平らげてしまった。


パパ  「異世界ではその桃は神の桃と言われて居るんだ、神が人間へのご褒美にごく稀に下界へ落とす桃なんだ、それを食べた者は若さを取り戻し体調が回復すると言われている」


佐々木 「食べてしまいました!そのような貴重な桃を!」と言って絶句していた。

パパ  「その桃を巡っても争いが起きる位だから食べてしまった方が身のためだ」パパはそう言って笑っていた「どうだい体調は?」と聞くと。


あちこち体を確認する佐々木「そう言われれば体が軽くなった気がしますね、持病の腰痛も気に成りません!」そう言って体を動かしている。


パパ  「喜んで頂けたようだな!お返しはこれで良さそうだ!」

佐々木 「十分すぎる物を頂きましたよ!話は変わりますが今回の公安の件は4人の議員達に既に報告されて居るので何らかの対策が練られる事でしょう」


パパ  「対策できるのか?どんな対策するんだろうな?」

佐々木 「すでに話は出て居たのですが結界に入れない者は国の重要な役職には付けなく成る様にするとの事です、今回の事を受けて其れが早まるでしょうな」


パパ  「そんな簡単に変えれる物なのか?」

佐々木 「国会で焦げてしまった者達は軒並み議員を辞職して居ます、選挙を行うまでは残った4人で運営するしかない状況ですので話がサクサク進むと議員達は喜んでいましたよ」


パパ  「選挙何て今後出来なく成ると思うがどうするんだろうな?」

佐々木 「議員選挙しようとしても皆恐ろしくて集まらないでしょうな!役人もイカズチが怖くてとても素直に言う事を聞くらしいので」

ガハハハハ!と笑い出した。


今頑張って居る議員と佐々木さんにはこれから定期的に仙神桃を食べさせようと心に決めたパパだった。


その夜はウキウキで中々寝付けない子供達よほど嬉しい様子だった、ママも久々のショッピングを楽しめるのが嬉しいのか鼻歌が聞こえてくる、パパもそんな家族の姿を見て嬉しく成ったのだった、佐々木さんには頭が上がらなくなりそうだなとこれからも力に成ろうと思うパパだった。

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