第73話 ゴンの活躍

翌朝町の方が騒がしい、家族が夜営をしている場所は町の門が確認出来るギリギリの距離で夜営をしていた。


辺りが明るくなってくる頃にゴンがママの元に帰って来た。

ママ 「あらゴンちゃん何だか疲れてるわね?」

パパ 「魔物がまだ結構いたのかもしれないな、ありがとうなゴン!」

「キーキー」とゴンが答えほしの肩に止まり眠りについた。

ママ 「町はもう大丈夫だって、森からまだたまに出てくるらしいわ」

ほし 「ゴンちゃん一杯働いたんだね~今度何かお礼しなきゃ!」

おと 「ゴンの好物って何?血かな?」

さき 「ええ~じゃあお礼に血をあげるの?」

パパ 「前に聞いたらたまにくれれば良いって言ってたよな?」

ママ 「じゃあ起きた時にでも聞いてみるわね」

おと 「いっぱい頂戴って言われたらどうしようね?」

パパ 「皆でちょっとずつ上げようか」

さき 「首からチューチュー吸われるのかな?」

ママ 「前はオークの血をあげたわよね?私達のあげ無くても良いんじゃないかしら?」

パパ 「確かにそうだな今なら魔物倒すついでに血吸ってそうだよな」

おと 「じゃあ欲しいもの聞かないと分からないよね?」


朝ご飯を食べながらそんな話をしていると町の方から人が此方に来るのが分かった。


パパ 「兵士っぽいのが来るけどどうする?」

ママ 「どうするってどうゆう事?」

おと 「逃げるか?ってこと?」

パパ 「逃げる必要は無いかな、まあ何しに来たのか話を聞けば良いか」


家族の元に兵士が来て話しかけて来た。


兵士 「こんな所で何をして居るんだ?」

パパ 「見ての通り夜営をして居たんだが、町の方は泊まれ無さそうだったんでな」


兵士たちは顔を見合わせコソコソと話し出すが内容が全部聞こえてくる、家族のステータスが上がりすぎていて聞きたくなくても聞こえてきてしまうのだ。


パパ 「ここで夜営して居たらいけなかったのか?」

兵士 「行けない事は無いんだが森から氾濫がおきて町が魔物の群れに襲われて居たんだ、その魔物は昨日の夜に皆消えてしまったんだ、こんな所に居たら魔物に襲われて居て当然だが襲われた感じも無かったからな」

パパ 「昨日の夜から此処に居るが魔物に襲われてはいないな」

兵士 「それが不思議でならないんだ、魔物が森に帰ったんなら襲われて居るだろう?」

パパ 「他の門から他の町に向かったのか?」

兵士 「いや西の門以外は破られて居ないんだ、なので他の町に行っているにしても西の門から出た事に成るな」

パパ 「そりゃ不思議な事も有るもんだな!町はもう平気なんだな?」

兵士 「ああ魔物の姿は確認して居ないな今は西の門の復旧作業中だ、魔物が何処に行ったか分からないからまだ警戒は解いて居ないんだ」

パパ 「こっちには来ていないからな誰かが倒したんじゃないのか?」

兵士 「冒険者ギルドマスターの話では娘を2人連れた男性が助けてくれたと言って居たんだが、あんた達ではないのか?」


ギルドマスターから話を聞いて居たんではとぼける事は出来そうに無いとあきらめる


パパ 「ああそれは私達だな町の魔物を追い出して中に行かない様にここで見張ってたんだよ」

兵士 「追い出しただと⁉あの魔物の群れをか!話が聞きたいんだが来てもらえないか?」

パパ 「なぜ行かないといけないんだ?ここで話せばいいだろう、また森から魔物が出てきたらどうするんだ?」


兵士達は何か相談して居ると一人の兵士が町に向かって走って帰って行った。

兵士 「上に確認を取るので暫く待っててくれないか?」

パパ 「何の確認をするんだ?」

兵士 「町に来てもらうかどうかだな?」

パパ 「さっきも言ったが此処で魔物が来ないか見張って居たんだぞ?まだ門も復旧出来ていないのに町に連れて行って魔物がまた来たらどうするんだ?」

兵士 「…それを上に確認するために暫く待っていて欲しいんだよ」


この兵士に何を言ってもダメだろう事が分かったので子供達がご飯を食べおわったので夜営の後片付けをして兵士を待つことにした。

ママに何かあったらワイバーンのワイ子とグリフォンのグリとフォンを呼んで来てもらう様に言っておく、あの3匹が来たらこの兵士達には相手が出来ず逃げるしか無いだろう。

そうして居ると兵士がギルドマスターを連れて戻って来た。


マイク 「やはりあなた達でしたか!中々見つからずに探していたのです!」

パパ  「何で探して居たんだ?」

マイク 「町を魔物から解放してくれたんですよね?町を救った功労者をそのまま放置など出来るはずも有りません!」

パパ  「いや~放置してくれて良いんだがな…」

マイク 「ここでは何なんで取り敢えずギルド迄移動していただけませんか?」


ギルドマスターのマイクに言われては嫌とは言いにくいので嫌々ながらも街の冒険者ギルド迄移動する、門はまだ治ってはいないが土と木で壁を門の外側に作り中に簡単に入れなくしている、これで門を修理するまでの時間を稼ぐのだろう。


冒険者ギルドの部屋にマイクと入るパパ以外の家族はギルドの食堂で休憩中だ。

部屋の中には2人すでに待ち構えていた、商業ギルドのマスターと教会の神父さんらしい。

商業ギルドのマスターは藤吉、神父さんはエルと挨拶を受けた。


パパ  「町のお偉いさんが集まってどんな御話なんだ?」

藤吉  「今回の魔物の氾濫は今までに類がない程で今までは町の中に迄入られた事など無かったのです」

エル  「今回は見た事も無い魔物が多数いました、門が破られる前に住民は避難させて居たので住民の人的被害は無かったのです」

マイク 「兵士や冒険者は結構な被害が出たが、今回の氾濫はこの程度の被害で済んで良かったと思って居います、ご主人の今のランクは?」 

パパ  「ランクはBだなそれがなにか?」

マイク 「Bですか?では今回の氾濫討伐をもってAランクにランクアップですね、ご家族の方もランクアップさせておきますのでタグをお願いします」

パパ  「待ってくれつい最近Bランクに上がったばかりなんだそんなにすぐに上げて良い物なのか?」

マイク 「今回は大丈夫でしょう!町を未知の魔物から救ったのです誰にも文句は言わせませんよ!あのままだったら皆死を待つのみでしたからね」


ヒュドラ、ケルベロス、ヘルハウンド、アラクネ、キラースパイダーは名前すら知らない初めて見る魔物だったらしい、キラースパイダーの攻撃で壁の上の兵士が次々と麻痺させられその隙をつきヒュドラが門に突っ込んで破壊し町に侵入されたようだ。


マイク 「冒険者は町の中を担当してたんです、兵士が門や壁を守り飛んで中に入ったり壁を乗り越えて来た魔物を処理する為、門が破られて冒険者ギルドに逃げ込んで耐えていてもう駄目だ!と言う時に助けられたと言う訳なんですよ」


商業ギルドも教会もいつに成ったら助けが来るのか分からない状況で2日間耐えていて住民は精神的に限界に達して居て中で住民同士の諍いなども起きていたらしく今回の救援はギリギリのラインだった、もう一日遅ければ内部から崩壊して行っていたかもしれない状況だったらしい。


パパ  「話は分かったがその話をする為に呼んだのか?」

マイク 「今回の町を救った英雄に冒険者ギルド、商業ギルド、教会から報奨金として白金貨が其々100枚ずつ出されます」

パパ  「報奨金は辞退するよ、ケガや亡くなった冒険者も居るだろう?その人たちの支援に使ってくれれば良い」

エル  「ありがたい提案ですが貢献したものに褒美を渡さないと此れから誰も命を懸けて町を救おうとしなくなってしまいます、けが人や死亡した者達の保証は責任をもって行うので安心しいて収めてください!」

藤吉  「そうですね今回の褒賞は領主が威信をかけて行う事でしょう!もし褒賞が要らないと思うのであれば町で盛大に使って頂ければ良いのです!町にお金を落として頂ければ町が潤い住民達にも還元される事でしょう!」

マイク 「あなたが提供してくれたポーションで命を救われた者達の代金と思えば安い位です!貰っておいてください」


三人に押し切られる形で受け取ったが全く使い道が無い、ママと娘に町で派手に買い物をさせる事にしたパパだった。

(コンコン)とノックをする音がして扉が開く。

報奨金の白金貨100枚の入った革袋3つととパパの冒険者のタグが新しくなって戻って来た、家族にはすでに返却済みらしい。

「領主様が皆で館に来るようにとの事です」と受付嬢がマイクに伝える。

マイク 「領主様がお呼びです皆出来るようにとの事です」

パパ  「じゃあ私はここで失礼させてもらうよ」と言って立ち上がるが3人が見つめてくる。

エル  「もちろんあなたも呼ばれているのだが?」

藤吉  「逃げようとしていますよね?」

パパ  「そりゃ行きたくないに決まって居る!堅苦しいのはごめんだ家族も待たせているからな、今日はこれ以上は付き合えん!」

マイク 「それは困りましたね~来ていただけないと私たちが怒られてしまいます」

パパ  「それはそっちの都合だろ?これ以上は無理だな失礼させてもらうよ」


パパはサッサと部屋を出て家族の待っている所迄戻ってしまった。


ママ 「話は終わったのかしら?」

パパ 「領主の所に呼ばれたから逃げて来たんだこれ以上は付き合いきれん!」

おと 「大丈夫なの?お偉いさんなんでしょ?」

パパ 「だから嫌なんだよ!どこぞの男爵みたいに配下にしてこき使おうとして来るかも知れないんだぞ」

さき 「それは嫌だよね~逃げようか?」

パパ 「そうだな逃げてしまうか!」


家族は町から逃げる事にするのだった。

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