第68話 パパの死
次の日を迎え出発の準備を済ませる家族、もしもの為にエリクサーをハナに10本渡しておいた、もしも時は迷わず使う様にと念を押す、ジョン達には会えなかったがハナが居れば問題無いだろう、完全にハナに頼りっきりになっるパパだった。
食事の用意も起きた頃には終わっていた。
ママ 「ハナさんが居たら私はダメになるわね…」
おと 「なんで?楽で良いんじゃないの?」
ママ 「全部私より完璧にこなしてしまうから家事のやる気が起きないのよね」
さき 「ハナさん居なくなったら何もできなくなっちゃうね」
ほし 「ママのご飯はおいしいよ?」
ほしはハナが用意してくれた朝ご飯をママが作ってくれたのだと勘違いをして褒めながら食べていた、「あらそう?ほしちゃんありがとうね」と微妙な顔をしてお礼を言って居るママ、ハナが作ってくれたとは言わない様だった…
パパ 「まあ出来る事を出来る人がやれば良いさ!皆準備は良いかな?」
さき 「何にも用意はしてません!」
おと 「同じく何も用意はしてません!」
ほし 「私も何もしてないよ?」
ママ 「着替えや装備の事を聞いて居るのよ?」
おと 「それは大丈夫です!」
さき 「着替えは見ればわかるじゃん!」
ほし 「お着替えはしました!」
パパ 「…準備は良さそうだな、では行こうか!」
ママ 「何だか気が抜けるわよね、出発しましょうか」
「「「はーい」」」
村の皆に出かけてくる、帰りの予定は分からないと告げて拠点を出発する家族。
何事もなければ半日も有れば作った道の終点まで行けるだろう、ヒュドラと戦ったので道づくりは途中だが案外早くタルト帝国まで行けるだろう。
小川沿いに作って居た道を進んでいく、ヒュドラとの戦闘で荒れた森を抜けて牛頭と馬頭を倒した場所まで来た、ここから先は道が出来上がってはいない。
此処までの道のりは半日掛かって居ない音が切り飛ばした道はまだ先に続いて居る、パパが倒木と切り株を収納をして咲が道を作っていくもう慣れた作業だ、どんどんと道を作り進んでいく、この作業も初めに比べれば作業スピードがかなり速くなっただろう、そこから半日ほど進んだ所で切り倒されて木が無くなった。
おと 「丸一日分の距離位斬撃が飛んだかな?」
パパ 「初めの方はかなりのスピードで来たからなもっと飛んでそうだけどな?」
さき 「あとどれ位で森を抜けれるかな?」
ママ 「今3時位ね~もう少し進めそうよね?」
パパ 「すずちゃんに森が後どれ位で切れるか見てもらえないか?」
本来なら2日ほど森の中を歩かなければいけないのだが、森に道を引いて歩いてきたので結構な距離を来た気がする、ママがすずちゃんにお願いをしすずちゃんに見てもらう事に、すずちゃんはその場で「ピヨピヨ」とママに話しかけている様だ。
ママ 「すずちゃんが真っ直ぐ森を飛んで3時間ほどで森を抜けるみたいよ」
パパ 「じゃあこのまま歩いたら夜には森を抜けれるかな?」
おと 「暗くなっても歩くの?」
さき 「それ危なくない?」
パパ 「森さえ抜けちゃえばそんなに危険は無いんじゃないか?氾濫したからか魔物も出て来ないし案外早く抜けれそうだがな」
ママ 「まだ早いから行ける所まで行きましょうか」
ママの一言で行ける所まで歩く事に成った、多少は歩きにくくなったがすずちゃんが方向を教えてくれるので迷う事は無く順調に進んでいった。
夕日が沈みかけ辺りが段々と暗く成って来た頃少し開けた岩場に出た。
パパ 「無理する必要も無いか丁度良さそうな場所だからここで夜営しようか」
ママ 「そうね森の中でもゴンが居れば安心して休めるから今日はこの辺にしましょうか」
パパは夜営の準備をしママは晩御飯の準備をする、子供達はパパが出したテントに入り込みキャッキャと騒いでいた。
その時「キキー!」ゴンが警戒の鳴き声を出した、ゴンは森の南を見ている。
パパ 「何か来るよテントから出て警戒しといて」
パパは弓を構える、ママはハルバートを構え様子を伺う、子供たちが外に出て来たと同時に森の暗がりから羊の頭をし手に大きな鉈を持った魔物が現れた!
おと 「何あいつ何だか怖いんだけど…」
さき 「何だか姿見たら寒気がするね」
ほし 「顔が怖いよね」
パパ 「あれはサテュロスなのか?おと名前だけでも見れないか?」
おと 「見てみるね」
サテュロス 羊の悪魔
おと 「サテュロスだって羊の悪魔って成ってるよ!」
パパ 「凄く動きが早いんだママは咲と星を守っておと援護する大技は当たらないと思って戦え!さきとほしは動きを止めるか鈍らせれればやってくれ攻撃魔法はまず当たらない位素早いぞ!」
パパが矢を放つが軽く躱してしまう、躱された矢を転移で目の前に出すが驚いた様だがそれすらも躱してしまった。
パパ 「やはり見える範囲の攻撃はかわされそうだな」
パパがまた矢を放つ音が駆け寄り切りつけるが余裕で紙一重で躱す、矢をパパが頭の真後ろの死角に転移させるがヒョイっと躱してしまった。
矢はダメだとパパも剣に持ち替え挟み込むように切りかかるが2人掛りでもまだ余裕がありそうだ、咲がサテュロスの足元から包み込む様に水の玉で飲み込もうとするがピョント躱してしまう、羊の様な足が異様な脚力を生み出している様だった。
何度か咲が水の攻撃を繰り返す、ピョンピョンと音とパパの攻撃も躱して時より此方に向かって来る、ボクシングで言うヒットアンドアウェイの様に攻撃してくるが力も強く素早いので防ぐのがやっとで体制を崩されてしまう。
咲の水魔法の影響で辺りは水でぬかるみ段々と動きずらくなるがサテュロスは足はヒズメで出来ている様で影響は無さそうだった、サテュロスがパパに攻撃を仕掛け鍔迫り合いに成って居る「よけて!」と同時に稲妻が頭上から落ちて来た!
『鍔迫り合い中にそれは無いだろう咲!』と思いながらも力を抜くと差し込まれてしまう為動けないパパとサテュロス、横目では音がジャンプしたのが見えた!(バリバリバリー!)と稲妻が辺りを包む、パパも必死になり跳び避けようとするが地面が水でドロドロに成っていてスベッテこけた、パパがサテュロスを巻き込みもつれ合い転んでいる所に稲妻の魔法が落ちてしまった…
辺りは水浸しで感電するパパとサテュロス(プスプス)と体から煙を出している動けなく成って居るサテュロスに音が駆け寄りサテュロスの首を(スパーン)と刎ね飛ばした。「さき!危ないじゃない!何考えてるの!」怒っているおと。
ピロン! Lvが上がりました。ピロン! Lvが上がりました。ピロン! Lvが上がりました。ピロン! Lvが上がりました。
地面に横たわり動かないパパにママが駆け寄りパパを抱き起すポーションを飲ませ体にもぶちまける、が変化が無い様だ。
「ほし!おねがい!パパを直して!」と叫ぶママ
ほし 「パパ元気になって!」とステッキを振る
キラキラとパパの体を光が包み込む体の傷はいえた様だがパパの意識がまだ戻らない息もして居ない、ママはハット気が付きエリクサーを飲ませた、するとパパの体を光が包む心臓付近が特に光って居た、ほしの回復魔法の強化版をみている様だった。
パパが息を吹き返し意識を取り戻す「ママどうかしたのか?」と記憶が飛んでいる様だった。
ママ 「気が付いたのね良かったわ!」とパパを泣きながら抱きしめている
(メキメキ)と音がしてパパがまた気を失ってしまった。
おと 「ママ強くしすぎ!パパ死んじゃうよ!」
ママはハットしてまたエリクサーを飲ませるのだった…
おと 「エリクサーって伝説だったよね?気軽に使っちゃって…」
ママ 「道具は使うの躊躇ったら駄目よ?」
パパが意識を取り戻して「変な夢を見ていたよ、初めはじいちゃんが次はばあちゃんが川の向こうでひろ~!って手招きして呼んでいる夢を見たよ」
おと 「二度も見たんだね…夢でよかったよ、その川渡ったら死んじゃうよ?」
ママ 「まだ渡っちゃだめよ?ウフフ」と笑ってごまかしている
さき 「パパごめんなさい!」と泣きながら謝っている
パパ 「何だか記憶が曖昧でな?皆無事ならそれで良いじゃないか」
ほし 「パパ痛い所有ったら言ってね?ほしが直してあげるから!」
パパ 「ん?どこも痛いところは無いかな?大丈夫だよ!」
良く分かって居なかったパパだがふと横を見たときにサテュロスを見つけた、『ハッ』としたようで「皆は怪我は無いのか?」と聞いてくる、「パパの御かげで皆無事よ」とママが言うとホッとした様で「そうか良かった…腹が減ったな、ご飯にしようか」とサテュロスを収納するパパだった。
妙に優しい家族にパパは少し混乱して居た様だが終始ニコニコとしていた。
こんなにも皆に優しくされたのは初めての体験だったのだ。
パパが外で音と星とご飯を食べている頃、テントの中では咲がママに怒られていた。
ママ「足止めしろって言われてたでしょ!近くに音やパパが居るのに強力な攻撃魔法使ってダメじゃない!一歩間違って居たら死んじゃってたかもしれないのよ!勝手に行動して協力しなくなったらこれから強い魔物に出会ったら皆死んでしまう事に成るわ」と怒られていた。
今回も相手がまだ動けてたり魔法が効かない魔物だったら音まで稲妻に巻き込まれて居たら二人が戦闘不能になり全滅していたかもしれないのだ。
この世界に来てから強力な魔法が使えるようになり、いつの間にか魔法の力に溺れ調子に乗って居た様だ、パパの事を知らず知らずのうちに軽く見て指示を破りとどめ刺してやろうと思ってた咲。
今回の出来事で反省して状況に合わせた魔法を慎重に使う様に心がけ魔法使いとして大きく成長する切っ掛けとなる、ただでさえ大きすぎる魔力で制御が甘い咲には慎重すぎる位が丁度いいのだ。
その後は何事もなく静かに夜が更けていくのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます