第59話 久々の家

オーガの村が有った地点でキャンプをして朝を迎えた家族。

そこから森に道を作る事2日目やっと家につながる道へと出る事が出来た、拠点となる家の南側に出た様だった、道に出ると石壁が見えている。


おと 「やっと帰って来れたね~」

さき 「久々にベットで寝たいよ」

ママ 「そうね~ゆっくり休む事にしましょうか」

ほし 「甘いおやつ食べたいな~」

パパ 「暫くは家でゆっくりすれば良いか、かなりの数の銀狼族を助ける事が出来たと思うしな」


おと 「これで全部で250人位に成ったんだよね?」

パパ 「村の正確な人数は分からないけどそれ位には成ったのかな?」

ママ 「ここで話してないでさっさと帰りましょう!」


皆が跳ね橋の前に付くと橋がユックリと降りて来てジョンが顔を出す。 

ジョン 「御帰りなさい!」

パパ  「ただいまジョン!どうして帰って来るのが分かったんだ?」

ジョン 「門には見張りを立てるようにしたんだ、森の様子が少し変だったんで様子を見て居たらパパ達が顔を出したって訳さ」


パパ  「様子が変と言うのは?」

ジョン 「道を作って居たんだろ?森が少しざわついて居たんだよ」

パパ  「また氾濫起きたらやばいな…」

ジョン 「ここらの魔物はまりもが退治してくれるから問題なかったよ」

パパ  「銀狼族の隠れ村を見つけたんだ、其処に200人位は生活している、此処と繋げてしまえばジョンやリキ王なんかも気楽に行けるように成ると思ってな」

ジョン 「本当か!200人もか!その者達は無事なのか?」

パパ  「出来る限りの支援はしてきたし治療もしてきた暫くは大丈夫だろう、こっちの方はどんな様子なんだ?」

ジョン 「ここは全く問題ない、むしろ元の生活より良い暮らしをさせてっ貰ってる位だ、みなパパ達に感謝している」

ママ  「こんな所で話してないで家に向かいましょうよ?」

パパ  「そうだな家で少し休んで話をしようか」


門から家に向かう途中に銀狼族とすれ違うが皆笑顔で「お帰りなさい」と言って来る大分体つきも良く成って来た様だ、ジョンに後でリキ王を呼んでもらう様に言って家で休む事にした。


さき 「あ~なんか久々の家だね~」

おと 「やっぱり落ち着くよね~」

ママ 「そうね我が家が一番よね~」

ほし 「お泊り楽しかったよ?」

パパ 「そうだね~色々あって旅も楽しかったが少し家でゆっくりしようか」


久しぶりの我が家に帰って来た、咲に久々にお風呂で温玉をして貰い寛いでいるとドワーフのボブが家に訪ねて来た。


ボブ 「パパさん色々酒を造って見たんだが味見をしてくれんか?パパさん達が帰ってくるまで禁酒をして居たんでな味見もしておらんのだ」


パパ 「そっか我慢して居たんだな、リキ王との話が終わったら宴会でもするか?」

ボブ 「おおそれは楽しみだな!外で出来るように準備しておこう!」


ボブはそう言って喜んで出て行った。


おと 「お酒ばっかりじゃん!ジュースも作ってよ!」

ママ 「リンゴ、オレンジ、桃、ブドウのジュースなら直ぐに出来そうよね?」

さき 「ほんとに?じゃあ取って来れば良いよね?」

ママ 「ええそうね果物色々取って来てくれる?一様ハナさんに確認してから取って来てね」


ジュースの為に子供たちはハナの元に駆けて行った、ママは子供たちの為にお菓子でも作ろうかしらと準備をしだした、チョコレートケーキを作るようだ、パパも外に様子を見に行こうとした所にジョンとリキ王が訪ねて来た。


外の家の前の広場に机と椅子が置いて有るのでそこで話すことにする。


リキ王 「パパさんお帰りなさい!無事で何よりだ」

パパ  「ああただいま、あれから変わりは無いか?」

ジョン 「戦えるものは一緒に狩りに出るようにしてるんだよ、今では私が居なくても皆でだったら何とかデスグリズリーを倒せるようには成って居る」

パパ  「それはかなりLv上がったようだな」

リキ王 「Lvは良く分からんがここの食べ物の御かげか、すでに私は全盛期を超えて力がみなぎって居る気がするんだ!」


確かにパパから見てもリキ王は力が漲り体が一回り大きく成って居る気がする、此れなら獣王に返り咲く事も出来るだろう。


パパ  「そうかそれは良かった!他の皆は此処の生活に成れたのか?」

リキ王 「皆前の生活に戻れと言われても戻りたくないだろうな、それ位の贅沢をここではさせて貰って居る」

パパ  「なら心配は要らないな、それで今回シャルバンの町に行く事に成って居たのだがな、その前に稲荷さんに森の中であってな予定が変わってしまったんだ」


パパは稲荷さんの村の事や銀狼族の隠れた村の事、そこと道でこの拠点を繋いだことを話をした。


リキ王 「そうか稲荷も豆吉も無事だったか!二人には苦労を掛けたようだな」

ジョン 「向こうの村の状態はそこ迄良く無いです、リキ王此処から何人か向かわせた方が良くは無いでしょうか?」

リキ王 「もちろんだ向こうには私が行く他にも何人か有志を募ろうか」

パパ  「村の状態が安定するまでは定期的に此処から食料を送ったらどうだ?」

ジョン 「それは助かるのだがハナに此処の食料の事は聞かないと分からないな」

パパ  「ここの余裕は無さそうなのか?」


丁度ハナとタマがお茶を入れて持って来てくれたので此処の食料状況を聞くことに


パパ  「今ここの食料は足りているのか?」

ハナ  「全く問題ないです!刈り取っても次の日にはまた実って居るのです、やろうと思えば毎日収穫出来るんです、余ってしまうほどですよ?」

パパ  「それは凄いな初めはそんな事なかったはずだが、ハナさんのスキルの御かげかな?」

ハナ  「私のスキルでは多少の収穫量と品質が上がる程度ですね、世界樹の木が成長していくとこの様に毎日取れるようになりました」


パパは世界樹を見上げる、そこにはいつの間にか立派に成長した大木があった。


パパ  「世界樹は繁栄と豊潤をもたらすんだったかな、世界樹のおかげだな」


リキ王 「ここは平和で豊かでいい所だ!パパさん達には感謝しかない、私は銀狼族の同胞の元に向かうつもりだ、今まで世話に成って何も返せていないがこの恩はいつかきっとお返しする」


パパ  「此方が勝手にした事だから気にしなくていいんだぞ?」

リキ王 「そんなわけには行かないしお願いも有るんだ、此処に残りたいと言うものが居ると思うんだ、その者達を此処に置いて貰えないだろうか?」

パパ  「乗りかかった船と言うじゃないか残りたい者は残れば良いし援助も惜しまない、リキ王が復位するまで協力しよう!」


リキ王はしばらく考え込むと「王位の事だが今回の戦いにはジョンに出て貰おうかと思って居るんだ」と言いだした、ジョンはその言葉に驚いている様子だった。


パパ  「ジョンが王位に就くと言う事か?」

ジョン 「リキ王様そのような大役私には務まりません!」

リキ王 「今回の騒動は私の甘さと油断が招いた事態だ、死んで行った者やいまだに苦しんでいる者も多数いる事だろう!どの面下げて王位につけよう…」

パパ  「死んだ者や苦しんでいる者は皆リキ王を信じて居たと思うが?その信頼に答えなくては行けないのではないか?今王位をジョンに任せると言う事は皆の信頼や期待をジョンが代わりに背負わなければ行けなくなる、皆を助けリキ王がその信頼に答えてこそ死んで行った者達が報われると思うのだがそれで良いのか?」


リキ王 「逃げているか…そうかも知れんが今現在私よりジョンの方が強い!パパ達とジョンが合わなければ今のこの状態にはならず王位決定戦にも出れなかっただろうその事を考えればジョンの方が王位にふさわしい気がしてな」


ジョン 「私たちがパパさん達家族に救われたのは偶然です!それに力を完全に取り戻し今でも力が上がって居るでは在りませんか!私との差など合って無い様な物ではないですか!」


リキ王 「その偶然の出会いに銀狼族は救われたのだ!パパ達一家にジョン達が出会って居なければ未だに私は洞窟で死を待つだけだっただろうな、その偶然の力こそが今回の様な逆境に必要な力なのだと思うのだ」


パパ  「リキ王人の上に立つのは生まれ持った才能が必要だと思うんだ、それを支える者もまた才能が必要だジョンには支える方が有っている様に思うんだがな、もう一度王に成ってみて其れでも駄目なら譲れば良い、自分で蒔いた種ならば責任をもって自分で刈り取れ!それが誇りに繋がるんじゃないかな…偉そうなことを言って済まないな」


リキ王 「そうか自分の尻は自分で拭かなければと言う事か…確かにパパの言うとおりだな!もう一度挑戦してみるか、皆には迷惑をかけると思うがな」


そういって覚悟を決めたリキ王の姿はまた一段と大きく見える気がした、今まで何処か自信が無かったようで弱気に成って居た様だった。


ジョン 「元々白虎族が卑怯な手を使って来なければリキ王が負ける事は無かったんです!あの時よりも強く成って居るリキ王に勝てる白虎族などおりません!」


パパ  「その王位決定戦は何処でどうやって行われるんだ?」


リキ王 「4年に1度王都で行われるんだ、各部族の代表者が皆の前で戦い王を決めるんだ、代表には部族長が持つメダルが渡される、そのメダルを持ち王都に行けば良いんだ」


パパ  「今回の決定戦に王都迄行かねばならんのか、それに妨害が無いと良いがなそれは考えているのか?」


リキ王 「白虎族には敵が多いんだ金獅子族も今はしたがっている様だが私が王の時には諍いが絶えて居なかったからな、今では金獅子族の者達も迫害を受けて居る事だろう、赤猿族に使者を出そう協力してくれるはずだ」


赤猿族はいつも王座決定戦は棄権すると言う、戦闘はあまりと得意ではなく斥候や情報収集、裏工作などが得意と言うことだった、獣人族の中では頭がよく悪知恵も働くそうだ、銀狼族が迫害を受けだした時には、事前に情報を流してくれ多くの者が逃げ出しまた匿ってくれているだろうと言う話だった。


パパ  「考えが有るなら良いんだ、それに今のジョンとポチが居れば少しくらいの妨害など気に成らんかもしれないしな」


ジョン 「御かげでポチはかなり強く成ったな!私は今ではリキ王と互角位には成っているかな?」


リキ王 「謙遜はよせジョンとは10敗5勝だ私が負け越している、ポチには歯が立たんのが悔やまれるところだ、4年後の王位はポチで決まりだろうな」


ジョン 「私が8勝上げられたのは初めの頃の事です、最近では2勝5敗ですからね、もう少し立てば私も歯が立たなくなりますよ」


パパ  「ジョン相手にその強さなら大丈夫だな!他の者達も鍛えて居るのだろう?油断さえしなければ大丈夫そうだな」


子供たちが帰って来る、ハナやタマが料理を用意してくれた、ドワーフ3人衆が樽るをパパ達の前に次々とだす。


パパ 「どんだけつくったんだ?」

ボブ 「水がわく樽が一日一個出来るからなその水使うと直ぐに旨そうな酒が出来るんだ!楽しく成って作り過ぎてしまったわ!アハハハハー」


そんなドワーフ達の笑い声が響き銀狼族の者達が食事を持ち寄り宴会が始まった、銀狼族の者達も久しぶりにお酒を飲みつかの間の平和を噛みしめながらお祭り騒を楽しむのだった。

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