第56話 銀狼族の隠れ村2

村の外周に近づくとすずちゃんが「ピッ」と鳴いてママに何かを話して居るママが「囲まれているみたいよ」と注意を促すとお萩が「銀狼族の戦士だと思います、入り口の方に向かえば姿を現すでしょう、危害を加えなければ攻撃はされませんので大丈夫です!」と先頭に立ち歩いていく、その後について行くと人が出て来た。

「お萩さんその者たちをなぜ村に連れて来たんだ?」と少し凄んでいる様だった、今まで迫害されてきたのだ、警戒して当然だろう。


お萩 「これは豆吉さん丁度良かった、ぱぱさんこの村の代表の豆吉さんです」

豆吉 「お萩さん紹介は後にしてくれどうして部外者を連れて来たんだ?」

お萩 「部外者と言う訳ではないようでして、私達の村も救って頂きましたし、何よりリキ王様からの依頼で来られたと伺っておりますよ?」


お萩はそう言ってパパ達の方を見る。

豆吉 「何⁉リキ様からの依頼だと?王は!王は無事なのか⁉」


そう言うとパパに詰め寄って来た鬼気迫る様子である!


パパ 「まあそう焦るな、リキ王様は無事だ今頃は安全な場所に居るだろう」

豆吉 「それは本当なのか?お萩さん騙されて居る事は無いのか?」


お萩 「稲荷様も信じている御方達です、何より私達の村を壊滅の危機から救って下さり飢えている村人にこの先生活が困らない様にと食料も恵んで下さいました、私も信じております、この方達は信用に値する方達です」


豆吉 「稲荷さんとお萩さんがそこまで信用しているならまあ良いだろう…、それとここ迄来れたと言う事はコブリンの群は居なくなったと言う事か?」


お萩 「居なくなったのでは無く、この方達が村に攻め込んできたコブリンの群れを殲滅してくださいました、コカトリスの群れからも村を守っていただいたんです、私共の村では彼らは使徒様と言われ敬われております!」


豆吉 「コカトリスの群れを殲滅…それ程の強者なのだな」

パパ 「ただ魔物を狩っただけだ、使徒様はやめてくれ!」

お萩 「いつまでここで話すんです?そろそろ村の中に案内をしていただけませんか?」

豆吉 「そうだったな済まない」


そう言って何か合図を送ると警戒が解かれた様だった、豆吉に案内されて村に中に入る、入り口には警備は2名立っていた個々の出入り口は一か所だけで裏に隠れた脱出口が有るとだけ教えてくれた。

簡単にパパ達を信用してしまった豆吉、今少し話しただけで重要な情報を話してしまって居る、一度心を許してしまうと疑う事を忘れてしまうらしいな…


パパ 「ここも食料が不足している様だな、畑の作物も何だか元気が無い様だな」

豆吉 「狩りで何とか食い繋いでいたんだがな、ゴブリン共のせいでこの辺りの獲物が逃げてしまった様で狩が出来なく食料が不足しているんだ、畑は水が不足している今までは川まで汲みに行って居たがそれもコブリンのせいで出来なく成って居てな」


パパ 「水の事は後で何とかしよう、まずは食料からだな何処かに炊き出しが出来るような場所はあるか?」

豆吉 「有るには有るが良いのか?」

パパ 「今持って居る手持ちの食料を提供しよう、リキ王との約束も有るしな」


村の広場に着き豆吉に頼み調理できるメンバーと道具を用意させる、食材を出し皆にふるまって貰う事にした。


家族はお萩と豆吉を連れて村を見て回る、畑の作物はどれも元気が無さそうだ。

パパはほしにお願いをして作物を元気に成長させてくれるように頼む、星と咲が楽しそうに踊りだす、恒例の(うーぱっ)を笑いながら、咲と星が水を作物に与えると見る見ると成長をはじめ実をつけだした。

その光景を見ていた豆吉が「これは奇跡か…なるほど使徒様と言うのも頷けるな…」

と呟いている、これで咲に水路と石壁を作らせたら使徒様と認定されそうだが今更だな、まずは安全と食料を確保しなければいけないだろう。


パパが村の外周に塀を作っても良いか豆吉に聞くと木の壁の外側なら問題ないとの事だ、咲に今までと同じように作って貰おうとしたが「川の場所が分からないから旨く出来ない」と言われた、豆吉に川の場所まで案内してもらう事に。

30分も掛からずに村の裏手方面に山方面から5mほどの幅の川が流れてきているのを確認する。

「これでイメージが出来る」と咲が杖を掲げて目をつむり集中する、イメージが出来た様で「えい!」の掛け声と共に道が出来上がって行きその横を水路が出来上がっていく、豆吉もお萩もその光景を見て固まってしまった。

村の方に戻って行くと騒ぎになってしまって居た…

慌てて豆吉が説明のために走っていく。


おと 「パパまたやっちゃったね…」

パパ 「ええ!ぱぱのせいなのか?」

さき 「パパがやってって言うから私はやったんだからね?」

おと 「パパダメだよ?ちゃんと説明してからしないとね?」

ママ 「ダメよ?パパ虐めたら!」


村の周りには立派な要塞と言っても過言では無いだろう水路と石壁が出来上がっている、見張りの二人が恐る恐る石の壁を触って居た。

村の畑にも水路が繋がり水にも困らなくなるだろう、まだ水は溜まって居ないが川から流れて来ていたので暫くすれば水が流れてくるだろう。


パパ 「そう言えば咲は体は何ともないんだよな?」

さき 「もう慣れたのかな?何ともないよ?」


三度目の要塞化で慣れたのかLvアップの御かげなのか魔力切れは起こして居ない様だった、咲の魔力は異常だからな…


村の中に入ると豆吉の説明で何とか落ち着いたようで皆食事を再開して様だ、一時は地響きに襲撃か天変地異かと騒然となったようだが今は笑顔を見せて食事を楽しんでいた、入り口の見張りにも食事を持って行っている様でこの村の人たちは仲が良く助け合って生活して居るのが良く分かった。


怪我をしている者がチョクチョクいる様だった、今ほしに治療をさせるとまた騒ぎに成りそうだったので豆吉に頼んでポーションを作る事にした、飲ませながらほしにこっそり治療させるつもりなのだ。


豆吉に作業小屋に案内される中を覗くと色々な物をここで作っている様でポーション用の道具は有りそうだ、皆で協力しながらポーションを作っていく、ケガをしている人を呼んでもらい軽いけがの人はコップにポーションを入れて飲んでもらう、重傷者は中に入って貰いポーションで様子見、ダメそうならポーションを塗りながらほしにこっそり回復させて貰う。


治療をし終わる頃にはすっかり辺りは暗く成って居た、治ったもの達はよほど嬉しいのだろう尻尾が取れそうなほどに振れている。

寝る所決め手なかったな…勝手に作業場の横にテントを張り休む事にした。

広場では怪我や後遺症からの痛みから解放された者達が村人とお祭り騒ぎに成っている様だった。

次の日にの朝に成りテントを出て広場に向かうと何故か銀狼族の者たちが正座をして家族を待っていた…

パパ 「この状況は如何したと言うんだ?」

豆吉 「本当に済まない!村の為に色々して貰いけが人の治療までして貰ったのに私たちは浮かれて騒ぎ恩人のあなた達をの事をすっかり忘れて朝まで騒いでしまって居た!お萩さんに言われるまで気が付かなかったんだ、本当に申し訳ない!」


そう言って村人たちが正座しながら家族に頭を下げている、尻尾も巻かれて反省をしている様だった…


顔を見合わせる家族

中にはお腹を見せている者迄いるのだ叱られている犬の様で何だか皆笑えて来てしまった、「「「わはっはははははは」」」と笑う家族を見てキョトンとしている犬たち…

違った銀狼族の狼たち、その様子を見て尻尾が戻ってゆっくり振られて来ていた、皆に気にして無いからと立ってもらい、ここまで来たらもう良いかと思い豆吉に体を欠損して居る者を集めてもらう。

激しい戦闘が有ったのだろう指が無い者、片や足が無い者、目がつぶれてしまった者見るのも痛々しい、治療の仕方も焼いただけの様だった。


パパ 「他には重傷者は居ないか?」

豆吉「動かせないもの達が居る小屋が有るがそこの者たちは手の施しようがないんだ静かに死を待つだけのもの達だ」

パパ 「そこに案内をしてくれ、試させてくれるか?直せるかもしれないんだ」


そう言って小屋迄案内してもらい中に入る事に、欠損している者達も中に入って貰う、中には切られて内臓が見えている者や頭を包帯でぐるグル蒔きにされてぐったり横たわって居る者、まさに死を待つだけの者達が居た。


ママ 「ほしちゃんこの人達ケガで苦しんで居るの、直してあげれないかな?」

ほし 「うん!良いよ~ちょっと待ってね」


ステッキを構え踊りだして集中して居るのだろう…多分…

「痛いの痛いの飛んでイケー!みんな元気に成って~」とステッキ振り上げを頭の上でクルクル回す、ケガ人達をキラキラと光が包みだす、欠損箇所が再生して行くのを呆然と見ている者、涙を流し「足が!」と足をさする者、死を待つだけだった者が体を起こし「あれ?私は何をして居るんだ?」と訳が分からない様だ。

けが人が元気になった様子を見てほしが崩れ落ちる。

マナポーションをほしに飲ませパパが抱っこするとスヤスヤと眠りについた様だった。ほしをテントまで運び眠らせる、ママに星の事を頼み広場まで戻る。


おと 「また聖女様だってほしちゃん拝まれちゃうね」

さき 「実際聖女だしね?」

パパ 「救えるものが目の前に居たら救ってあげたいからな、家族に害が及ばない様なら助けて行こう、朝の時点ですでに信仰されて居そうだったしな」

おと 「正座してお腹迄見せてたからね…犬が叱れている動画思い出しちゃったよ」

さき 「許すと尻尾ふって口の周り舐めてくる動画あったね」

パパ 「犬は最大の侮辱らしいがあの光景は犬そのものだったな」

おと 「これからどうするの?」

パパ 「この村と家を道で繋いでしまおうかと思って居るんだよそうすればリキ王やジョン達も此処の村まで来れるしシャルバンの町までも行きやすいだろう?」

さき 「王決める大会までもう少しなんでしょ?どうやって参加するんだろうね?」

パパ 「まあ此処と繋いでリキ達と合流出来てから色々今後の話をしていこうか」


そう言って広場にもどり豆吉を探すのだった。




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