第53話 逃げ出した獣人達の村
助けた獣人達は種族がバラバラの様だ、尻尾がフサフサのや細長いの太く短いのと様々だった。
パパ 「私たちはこの森の奥に住んで居る者なんだがシャルバンの町に買い出しに行く途中だったんだが、あんた達は?」
獣人達は何か相談している様だった森の奥で生活だと?なんて会話が聞こえてくる、どうするか悩んでいる様だ。
おと 「まあケガも無さそうだし大丈夫そうだから行こうか?」
音が何かを察しパパにそう言ってきたのでパパも「ああそうだな!また縁が有れば会う事も有るだろう」と答え獣人達が住んで居るだろう村方面に向かい歩き出した。
そちらに向かえば村を経由してシャルバンの町に向かう方面なので怪しくは無いはずだ、慌てている獣人達を置いて歩き出す家族、そのまま行けば村にたどり着いてしう、さっきの戦闘の様子を見るとかなりの腕の持ち主たちだ、しかも危険な森の奥に住んで居ると言う家族と、争っても勝ち目はないと悩んだ末に村に案内することに決めた様だ。
「まってくれそちらに向かうと私達の村が有る、よそ者は警戒するだろう案内するので付いてきてくれ」と一人が先頭に立ち歩き出す、残りの獣人達は後ろに付いてくるようだ。
後ろに4人は一見守っている様に見えるが家族を警戒しているのだろう、パパが先頭でさき、ほし、おと、ママの順番で襲われても対処出来るようにしていたが、先ほどからほしがニコニコしている様子を見ると悪い相手では無さそうだ、ほしは相手が悪意を持って居ると直ぐに嫌な顔をする。
相手は警戒はしている様だが悪意までは持って居ない様だった。
「名前聞いても良いか?」先頭を歩いて居る獣人の男にパパがそう話しかねた。「ああすまないな自己紹介がまだだった、私は狐族の稲荷と言うよろしく頼む」
稲荷と名乗った狐族の女がこのパーティーのリーダーの様だ、稲荷が前を歩いて居るとフサフサの尻尾がユラユラとしていてモフモフしたくなる衝動を抑えるのに必死なパパだった。
パパ 「森の中で狩でもしていたのか?」
稲荷 「ああ…そうだな食料を調達したかったが最近コブリンが増えて食い荒らされている様で中々見つからないんだ」
パパ 「さっきの集団がそのコブリンなのか?」
稲荷 「その一部だろうな、少し前に成るが上位種のゴブリンが森の奥から出てきた様でな、ここいらの一帯のゴブリンを率いだしたようなんだ」
パパは此れも自分達のせいかな?と思ってしまった、この森の奥には家族の拠点が有るのは間違いないのだ、ゴドワの町では氾濫迄起こしてしまったのだ、此方に逃げて来た魔物が居ても不思議ではない、心当たりが在りすぎて変な汗をかいて必死に誤魔化そうとするパパ
パパ 「そのジョ…上位種はどんなゴブリンなんだ?」と声が少し上ずってしまう
稲荷 「レッドゴブリンだと思われる、コブリンに襲われると後方に数匹居るのを見かけるんだ」
ああ~前に音が道を作るときにやり過ぎて一匹だけ死んでいたな、一匹だけでおかしいな?と思って居たがその時の群れが此方に逃げ出したんだな…
だとすると此処を真っ直ぐ東に向かうと家族の家のあたりにぶち当たりそうだな、また道を一気に繋げてしまえば家までの移動が速くなるな。
パパ 「レッドゴブリンか中々に厄介なのが出て来たんだな」
稲荷 「村にも被害が出始めていてな、コブリンを見ては倒すようにはして居たんだ、そうしたら今日の様に徒党を組んで最近は襲って来るようになったんだ」
パパ 「レッドコブリンは頭も良いしな被害が大きくなる前に討伐した方が良さそうだな」
稲荷 「村では戦えるものは少ないんだ、徒党を組んで襲われたら追いかえすのが精いっぱいだな」
村が見える所まで来たが品疎な木の柵が有るだけの集落だった、此れでは防備は期待できないだろう、畑も荒らされていて村人の獣人達も痩せて元気が無い様だ。
パパ 「これは酷いな食料は足りているのか?」
稲荷 「恥ずかしながら足りてはいないな今日の狩りが頼りな者もいるだろう…」
パパ 「いつもこんな状態なのか?いつ死んでも不思議じゃない様子だが」
稲荷 「元々が貧しい村だったがレッドコブリンが率いだして状況が悪化したんだ」
パパとママは顔を見ると頷く、100人は居ないだろう村で炊き出しをすることにしたのだ、村の中央の広場に食料をだして準備しだした、稲荷に頼んで手伝える者を呼んで盛大に料理をしだしたのだ、良い匂いがしだすと自然と村人が集まって来る。
パパは稲荷と咲を呼び村の柵の方に歩いていく「稲荷この柵の外側に塀を作っても良いか」と尋ねると稲荷は首を傾げながら「ああ畑を壊さないなら大丈夫だ」と言う。
パパ 「さき家程立派じゃなくていい塀とお堀に川からの水路を村の周りに作ってくれないか」
さき 「ちょっと待ってね、水路は柵の周りをぐるっと回って川から川に返す感じで良い?」
パパ 「そうだな…村に中にも畑の方に小さい水路を引いとくと便利だろうな」
さき 「塀の高さは家の高さ位有れば良いよね?人が一人歩けるくらいで」
パパ 「ここら辺ならそれで十分だろう、入り口は2か所で森の出口と奥に行ける感じで作っておいてく」
さき 「分かったじゃあ行くね~」
そう言って咲は目をつむり杖をかざすと「ムムムムム」と集中している。
「ズゴゴゴゴゴゴー」と地響きが鳴り地面を削り水路が出来ていく、その削った土を使い壁が出来上がっていく、Lvが上がった影響か一度やって居てイメージがしやすかったのか家族の家より規模は小さいが立派なお堀と塀が出来上がった。
それを見ていた稲荷は目を見開き固まっている。
パパ 「これで見張りはし易くなっただろう、入り口二か所固めれば簡単には侵入出来ないだろう」
さき 「これ位で良いかな?」
パパ 「ああ十分だな、後は畑を何とかすれば良いだろう」
さき 「今ある作物はダメになってるよね?耕しちゃう?」
パパ 「まだ大丈夫か?出来たらお願いしようかな」
さき 「まだ大丈夫だよ!任せといて!」
今度は杖を杖をかざしただけだったが立派な畑が出来上がっている。
さき 「出来たよ~もう良いよね?」
パパ 「ああ大丈夫だ!ありがとう、後はママに種を植えて貰ってほしに育てて貰えば良いな」
そう言って家族のいる場所に戻って行った。呆然と固まってその場で家族を見送くる稲荷を置いて「私は夢でも見ているのか?」と現実が受け止めれない稲荷だった。
村の中央ではママが皆に説明している様だった、一時はパニックになりかけた様だ。
ママ 「パパ一言欲しかったわ!皆が驚いて大変だったんだから!」
パパ 「それは済まなかったな…皆ご飯に夢中で気が付かないかと思ってね」
ママ 「気が付かない訳ないじゃないの!」
パパ 「悪い悪い!皆さん驚かしてすいませんでした!危険は無いので腹いっぱい食べてくださいね」
そう言ってママにもう一度謝ると畑の種まきを頼むのだった、ついでにすずちゃんに手ごろな肉になる様な鳥こっちに連れてきて暮れと頼む、「狩っても良いのだよ」と言うと「ピピ」と言って飛んで行った、「任せといて!だって心当たりが在るそうよ?」首を傾げながら言っている。
パパ 「この村では麦と何を育てているんだろうな?」
村人 「麦が8割の主食です、後の2割は個人がそれぞれ野菜を作って居るので特には決まって居ません」
パパ 「では今回は救済なので麦とジャガイモを蒔いておけば飢える事は無いだろう野菜は個人でそれぞれ植えて貰えば良いから」
ママ 「では早速植えてきちゃうわね、その後はほしちゃんに任せるわね」
ほし 「元気にすればいいんだよね?任せといて!」
おと 「私は護衛かな~暇だしついて行くね、咲もいこ~」
パパ 「これで食料の目途も立ったかな?村の警備はそちらでやってくれよ?」
いつの間にか戻って来ていた稲荷にパパが言う
稲荷 「ああそれは任せてくれ!何から何まで感謝する!」
パパ 「それにしても何だってこんな森の中でひっそりと生活しているんだ?」
稲荷 「この村の者たちは方々の町から逃げ出したもの達で出来た村なんだ」
パパ 「前の王の頃からあるのか?」
稲荷 「いや前の王の時はこのような村は無かっただろう、今の王に成って自治を認められている族長達への弾圧が激しく成ってな、弱い物は逃げるしかなくなったんだ特に前王率いる銀狼族への弾圧が激しく行われてそれはもう酷い物だったよ」
パパ 「銀狼族以外にも弾圧が有ったんだな」
稲荷 「銀狼族を匿ったり守ったりした部族が攻撃されたな、今では銀狼族はすっかり減ってしまって滅多に見る事は無くなってしまったな」
パパ 「そうなんだな銀狼族の知り合いがいてな、獣王国に居たら助けてやってくれと頼まれていたんだが、町に行っても居なさそうだな」
稲荷 「何人かは奴隷として居るかもしれないが助け出すのは無理かもしれないな白虎族に知れたら銀狼族を売っただけでもどうなるか分からんからな」
そんな話をしていると一人の獣人が何やら叫んで走ってやって来た「コカトリスの群れが攻めて来たぞー!逃げろー!」
コカトリスと言う凶悪な魔物の襲撃があったのだ!
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