第45話 元獣王様

店の奥では女将と足を悪くした主人が話して居た、女将はハイポーションをくれると言うのは怪しいと思うが今のふさぎ込んだ旦那の姿は見て居られない、旦那は諦めてそんなウソに騙されるな何されるか分かったもんじゃないと言って居る。

娘のローニャが直せなかったら何も要求しないと言ってたわ、やるだけやってみたら?良く成ったら儲けものでしょ?と説得ししぶしぶだが治療を受ける事に成った。


旦那が足を引きずりながら奥から出てくる、本当に直せるのか?と疑っているパパは治せなかったらポーションで直せなかったらこっそり星に直させるつもりだった。


パパ 「これで治ったらキングクラブを食わせてくれよ?」

主人 「足さえ治ればたらふく食わせてやる!」

女将とローニャは心配そうに此方を見ている、ポーションを取り出し矢傷が有る場所に垂らし残りを飲ませる、傷は綺麗に無くなった。

パパ 「どうだ歩けるか?」


主人は「痛みは無くなった」と恐る恐る足を付くが何とも無い様だ、痛めた方の脚でピョンピョン跳ねている「痛くないぞ!何ともない治っている」と大はしゃぎだ!

女将とローニャは「治って良かったね」と泣き崩れてしまった。


パパ 「約束は守ってくれよ!」

主人 「あんたらはこれからいつ来てもタダで幾らでも食わせてやるよ!」


と言ってさっそく漁の準備だ!と店の奥に走って消えて行った。


パパ 「主人が治って良かったな」

女将 「なんとお礼を言って良いか分かりません!あんなにイキイキした主人を久しぶりに見ました、明日罠を仕掛けに行くと思います明後日にはキングクラブが取れると思いますのでその時に又いらしてください。美味しい料理を準備しておきます!」


ママ 「それは楽しみね!」

おと 「この店破産させる位食べてやる!」

ほし 「かに美味しいよね早く食べたい!」

さき 「2日後か待ちきれないな~」


パパ 「そう言えば逃げた獣人ってのはその後どうなったんだ?」

女将 「川を渡って逃げようとして失敗して西の方に逃げたとか」

ママ 「それにしては橋の警備が厳重過ぎない?」

女将 「獣人じゃ無ければすんなり通れるはずですよ」

パパ 「そうなんだな、可なり警備が厳しいそうだったからな」

女将 「中に隠れれる荷物なんかは見られるかもしれませんね、此方に渡ってしまえば獣王国は手が出せませんからね」

パパ 「そうかありがとう、ではそろそろ帰るよ2日後また寄らせてもらうよ」


良い情報が聞けた、銀狼族の逃げた男も助けてあげたいな、地図ではこの町の西は岩場と沼地が広がって居た。


ママ 「銀狼族の男はタロウ達じゃなさそうよね?」

パパ 「そうだな西に逃げたのなら真逆だしな」

おと 「タロウ達逃がすためにわざと逆ににげたとか?」

さき 「それならその人も助けてあげたいよね?」

パパ 「そうだな明日から南町に渡って西の方みてみるか?」

ほし 「いいよーそうしよう!」

ママ 「じゃあ今日はショッピングしましょうか」


町で買い物をすることになりブラブラと歩き回る家族、必要そうな日用品と獣人たちの服を買い込み夕方に宿にもると夜食にまたフィッシュ魚が出てきたのだった、さすが名物、美味しいが連続はなんか損した気分になった家族だった。


コーダ達と相談して銀狼族の事を話し助けれる様なら助けてあげたいと話をしてコーダ達とは別行動することにした彼らは北側の町で情報を集めてもらう事にしたのだ。

何かあればこの宿で合流することを決めその日は休む事に。


次の日の朝早くに朝食はすませて橋に向かう家族、コーダ達はギルドに何か良い依頼が無いか見に行ってから決めるとの事だ。

橋に付くと止められる、守備隊に冒険者のタグを見せる、何しに行くのか聞かれたので依頼でキングクラブを狙っていると伝えると「頑張れよ!」と言われ通された。

緊張したが簡単に国境を通された、獣人には厳しく取り調べが行われている様だ。


町を観光しながら西門に向かうこちら側にも冒険者ギルドかある、覗いてみようかと思い近づくが混雑している様だったのでそのまま西門を出ようとすると獣人の門番に声を掛けられた「今西側には凶悪犯が出る可能性が有るので注意してください」と相当警戒している様だった。

門番に気を付けると言ってそのまま川沿いを西に、パパが獣人だったら何とか川を渡ろうとするだろうと川沿いを中心に探すことにして進んでいく。

すすちゃんにも協力して貰い岩場迄到着する、沼地がありその周りを岩場が広がっている、沼地の周りの岩場に沿って探すことにパパが沼地に隠れてるのかも?と言うがドロドロに成るのは嫌だろうし何か1mはあるでっかいカエルがピョンピョン跳ねている、あれでは隠れる事は出来ないだろうな…と言う事で岩場を重点的に探すが町の守備隊が探しているけど見つからないのだ簡単に見つかるとは思えなかった。

3分も経たないうちにすずちゃんが「ピピ」と鳴き飛び立った。

どうやら見つけたらしい、カップラーメンが出来るより早く見つけたな。

町の守備隊は何処を探していたんだろうな…岩場の隙間に人が一人、入れるか入れないかの隙間が有った、上手く隠されている。

ママ達は此処で待っててもらいパパが名かに入る事に、その隙間を抜けると洞窟になっており広い空間が有った、ママに入ってくるように伝える、音がまず入って来た、次に星と咲最後にママが入って来た、「まあ中は凄く広いのね」と驚いている。


皆に注意して進むぞと隊列を組む、パパ、咲、星、ママ、音の並び順で進んでいく、ママと音に後ろを任せたのは外から来る可能性も有るから念の為だ、慎重に進んでいくと話し声が聞こえて来た、止まって様子を伺うが此方の事はもうバレているだろうジョン達はかなり耳も目も鼻も良かったパパ達が先に気が付くのは考えられなかったのでパパが声を掛ける「誰かい居るのか?居たら返事をしてくれ?」と返事は帰って来ないが何かを相談している様だった。


「危害を加えるつもりはないんだ話を聞いて貰えないか?」と少しづつ歩いていく「そこで止まれ!」と剣を構えた獣人が出てきた、ぞろぞろと奥にもまだ居るような気配がする、「お前たちは何者だ?ここは人族が来るような場所じゃない帰れ!」とかなり敵対的だ、「あんたたちは銀狼族で間違いないか?」とパパが聞くと皆が一斉に剣を抜き襲い掛かって来そうだった。


パパ 「待ってくれ私たちは銀狼族のジョンに頼まれて銀狼族を助ける為に探しているんだ」と両手を上げて攻撃する気はないと示す。


「ジョンだと?嘘を言うな!奴らはサシャ共和国で死んだと聞いたぞ」

パパ 「嘘じゃないジョンの家族のハナ、ポチ、タマ、それにタロウにジロー、ベンの家族にコテツの家族、コムギさんに娘二人にコハルさんだったかなその人たちを保護したところだ」


獣人の男 「なに!コムギにサクラにカエデ二人とも生きているのか!?」

パパ   「保護したのは最近だが元気に家で暮らして居るよ」

獣人の男 「そうか、それは良かった」そう言って涙をながす男

パパ   「数日前にこの町の反対側で警備隊に襲われそうになって居たんだそこをジョンが助けたんだ」

あの時の一段の中にコムギ達がが居たんだなと悔しそうな表情で言って居た。

やっと信じてくれたようで剣を下して警戒はを解いてくれた。


この集団はエルトワに逃げてくる銀狼族を助けてここで匿っている集団だと言う事だ、北に脱出しようとする者は大半はエルトワにくる、守備隊もそれが分かっているので町には簡単に入れるが橋で捕まってしまうらしい。

一回町に入ると逃げ出すのは難しく大半が捕まってしまう、今回も町に入ろうとしていたので寸前で騒ぎを起こし町に近づかない様にしたんだとか、森の方に逃げてしまったので合流出来なくて無事を祈るしかなかった、今は森の中の私たちの家に匿っていると伝えるとそこは安全なのか?と聞かれたので此処よりは全然安全だと伝える、良かったら来たい者は来れば良いと伝えるがみな渋い顔だ。


どうやらけが人が居てここから動けない様だ。

そのけが人を見せてくれと言うと皆顔を見渡して悩んでいる様子だったのでポーションを渡すが普通のポーションは試したが効果が無かったと言う、試しにそのポーションを飲ませるように言うと一人かポーションを持って奥に向かって行った。

暫くすると肩を借りながら獣人が此方に来た、「オオー獣王様!」と皆が喜んでいる「貰ったポーションで体は回復したが足の欠損はどうしようもないんだ、だがありがとう死ななくてすんだよ」と言ってお礼を言われる。

この人が前の獣王みたいだ、その獣王様に奥に来いと言われて向かう。

奥に向かうとそこは戦場の病院の様だった、腕が無い者、全身切り傷だらけで意識の無い者、子供も傷で苦しんでいた。

30人ほどの集団だが半数以上は動けそうにない。

パパがママを見るとママがうなずく「これから起きる事は秘密にして貰いたいのだが良いだろうか?」とパパが銀狼族に問いかける片足の男が「あなた方は銀狼族の恩人だ秘密は守ろう、良いな皆!」と言うと皆がうなずいていた。

パパ 「ほしちゃんこの人達ケガしてて可哀そうだから直して上げれないかな?」

ほし 「みんな痛そうで可哀そうだね」

ママ 「ママからもお願いするわ皆を助けてあげて欲しいの」

ほし 「わかった!やってみるね」そう言って目を閉じるといつになく真剣な表情で「みんな元気になって!痛いの痛いの飛んでイケー」とスッテッキを振り上げると辺りがキラキラと光り、けが人を包み込む切り傷が消えていく、「えい」と気合を入れると光が強くなり無くなった手が足が再生していく、その光景を皆呆然と見ていた、

皆の傷が癒え欠損が回復している。

光が消えるとほしが倒れ込む「ほしちゃん大丈夫!」とママが駆け寄る、「すうすう」と寝息が聞こえる、一気に魔力を使って疲れて寝てしまったようだ、よかった…

傷が癒え喜び合って居た獣人達が一斉に膝をつき頭をさげる、「このような奇跡を起こせるのは聖女様しか考えられん!このご恩は我が一族血肉一片に成ろうともお返しいたします!」 

いやそう言うの要らないかな~忘れてくれないかな?

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