第41話 謎の獣人たち

夜営を終え朝食を済ませ片づけを終わらせる、何事も無ければ今日中には国境の町エルトワにつくだろう。

パパ  「そう言えばコーダ達の身分証はどうすれば良いかな?」

コーダ 「故郷の大陸では冒険者登録はしてあるが使えるのだろうか?」


コーダ達の冒険者書を見せてもらうと首から下げたタグだった、パパのタグと見比べるが違いは分からない。

パパ  「Cランクであってるか?」

コーダ 「ああCランクだなタグは同じに見えるがどうだろうか?」

パパ  「見せるだけなら入れそうだな一度試してみようかダメならその時だな」

ジョン 「ここから少し南に行けばモー牛が居る地域だがどうする?」

パパ  「一度見てみたいが今テイムしても連れて歩くの大変だよな、帰りにした方がいいよな?」

ジョン 「そうだな町には連れて入れんと思うから帰りの方が良いだろうな」

ママ  「モー牛って凶暴なのかしら?」

ジョン 「普段は温厚で大人しい性格みたいだ、手なずける時は餌を与えてその餌を気に入るとテイムに応じる、気に入らないと大暴れして手が付けれなくなる」

ママ  「パパ何匹位連れて帰るの?」

パパ  「どれ位だろうか?オスとメス2匹ずつ位でどうかな?」


牛何て飼ったことが無いパパには全く見当がつかないので適当だ、まあ飼ってみて少ないようだったらまた捕まえに来れば良いだろう。


そんな話をしているとすずが「ジジ」と警戒するように伝えてきた。

見渡すが魔物は見当たらない、岩場が有るがそこに隠れて居るのかな?

すずが岩場に何人か隠れているとの事だ、こんな道も無い所で待ち伏せでは無いだろう皆に相談してみる。

パパ  「こんな所に待ち伏せている盗賊ではないよな?」

コーダ 「そうだな待ち伏せるなら見渡しの悪い森や崖のある道だろうな」

ジョン 「盗賊どもの隠れ場かも知れないな」

パパ  「有るとしたら隠れ家か気が付かないふりで通り過ぎるか?」

カイト 「それは危険じゃないか?後ろから襲われるかもしれんぞ?」

パパ  「それもそうか…相手が何か分からないから此方から攻撃するのもどうかと思うしな」

ママ  「少し遠く成るけど迂回していきましょうか?」

エルザ 「そうだなここから町までどのくらいか分からないが向こうから近づいて来たら分かるだろうそれが無難だな」

パパ  「じゃあそうしようか」

皆と話して意見が纏めて迂回しようとすると岩場で戦闘が起きている様だった。

コーダ 「どうする?このまま放置してむかうか?」

カイト 「戦闘の様子だけでも確認した方が良くないか?戦争でも起きてたら町に近づいてらいきなり捕まったりするかもしれないし」

パパ  「すずちゃんに見て来てもらおうか?報酬は豆苗でどうだ?」

パパがそう言うとママの肩に止まっていたすずが飛び立っていった、豆苗でよかったみたいだ…安くて助かるよね。


ママが感覚を共有して上空から見渡している様だ、どうやら獣人同士が戦っている様だが片方は兵士かな?岩場に隠れている方が子供たちを匿いながら戦って居て劣勢の様だった。

その事をジョンに伝えると鬼の形相とはこの事だろう一目散に駆け出していくではないか、その後をポチが追って行く。

ほおっておくわけにも行かず皆で後を追う、ジョンは戦闘している中に飛び込むと鎧を着た兵士だろう男に襲い掛かった、戦って居た相手側は見るからに逃亡中であろう獣人たちだ、ポチもジョンの後を追い兵士に切りかかる、20名ほどの兵士だ「こ奴何者だ!そやつらの手助けするなら容赦はせんぞ!」とジョンとポチを取りか囲む、獣人とはいえ人には違いない、子供たちに相手はさせたくないなと思い、皆には獣人の子供たちを守れと言ってママにお願いして子供たちと向かってもらう、襲われていた獣人たちは戸惑っているが助けられていると理解したのか共闘しよう兵士たちに向かい合っていた。


パパ  「状況が理解できないな…コーダ何とかならないか?」

コーダ 「精霊にお願いして霧を出して貰う、その隙に森迄逃げてはどうか?」

パパ  「そうするか!エルザ悪いが子供たちを連れて森迄避難してもらえるか?」

カイト 「俺は相手の獣人に話して逃げるように言って来る」

パパ  「ああ助かるよ」

パパはジョンの元に向かい作戦を伝え、後ろに下がる、相手の兵士は警戒して岩場を囲むように広がりだした。


コーダの魔法で徐々に霧が出てくる、パパの合図で子供たちが逃げ出す、エルザが矢を放ちけん制する、大人達も徐々に下がりだし霧が濃くなったタイミングで森に向けて走り出した、一番後ろをジョンが走っている。

追い掛けようとする兵士に向かってパパが矢を射かけると警戒して動きが鈍る、パパも森に向けて走り出す、たまにコーダと交代でけん制の魔法と矢を撃ち足を鈍らせると遠くの方からエルザも援護の矢を放っていた。

辺りが霧で見えなくなる頃には森に入り奥に進み皆と合流する。

とりあえずまだ追って来るかもしれないので川沿い迄出てきた道を皆を引き連れて戻っていく。

一時間ほど戻った所で、すずちゃんに警戒を任せ休憩だ、獣人の子供が限界を迎え歩けなくなってしまったのだ、食事もまともに取って居なかったのだろう弱り切って居るのが分かる。

いきなりこの状態での食事は危険だろう、ママに桃を出して切って貰うと子供にまずはそれを食べさせる、疲れが取れ不思議そうに体を見回している獣人の子供たち、ケガをしている大人にはポーションを飲ませ回復させるてから桃を食べさせる、それから食事を出して食べさせる、ゆっくり食べるように行っておく。


パパ  「さてジョン事情を聞かせてもらおうか?」

ジョン 「皆を危険な状況にしてしまった済まない、この者たちは私の同族の銀狼族の生き残りだ」


良く見ると確かにみな似ている、パパ達は耳の形と尻尾と髪の毛の色で見分けるしかない後はほぼ人と同じだからだ、まだ異世界に来て間もないし他の獣人と接する機会が無かったので違いが良く分からないのだ。


パパ  「そういう事だったのか、でもよく気が付いたな」

ジョン 「匂いが同族の物だったからな兵士と戦って居ると聞いて弾圧がまだ続いて居るのだと分かった助けねばと思い飛び出してしまった本当に済まない」

パパ  「そう気にするな同族を助ける為に来たんだろう?まだまだ居るだろうが取り敢えずはこれだけの仲間を助けられたんだ良かったじゃないか」

コーダ 「そうですよジョンさん私も仲間が襲われていたら同じことをしたでしょう気になされずに」

ジョン 「皆ありがとう!ポチも良く戦ったな!」

ジョンに褒められてポチは嬉しそうだ、尻尾が取れそうな位に振っている。


銀狼族の男 「もしかして隊長ではないですか?生きていたんですね!」

ジョン 「お前はタロウか!お前も良く生きていたな!」

と言って泣きながら再開を喜んでいた、名前は相変わらず犬っぽかった…

パパ  「ジョンは隊長なのか?」

ジョン 「まあ若いころだな…」

タロウが話し出すジョンは銀狼族の中ではその当時の銀狼族の獣王に次ぐ2番目の実力者で獣王に使える親衛隊長だった。

ある日休暇で村に帰ると魔物の氾濫に合い銀狼族の村を守って奮闘し大けがを負ってしまう、ケガの影響で復帰は出来なかった、手の力が半減し戻らなかったのだ、それで大工に成り生計を立てていたが、銀狼族の獣王が王位決定戦の前に夜襲を受け足を負傷し負けてしまう。

白虎族が王位に就くと銀狼族への弾圧が始まりみな生き別れ今に至るとの事、タロウは仲間と合流して隠れながらやっと国境までたどり着いたが国境が渡れずに、あの岩場に隠れて脱出のチャンスをうかがっていたが、今日居場所がばれて襲われたと言う事だ。

タロウ 「隊長腕はもうなおったのですか?先ほどの戦いを見て居たら怪我の影響は無さそうでしたが」

ジョン 「ああもう大丈夫だ、此処に居る山内家の家族に助けられてな、腕も直してくれたんだよ、私たち家族の命の恩人だ」

タロウ 「それはまた隊長を助けて下さりありがとうございます!それから私たち迄世話になってしまって、銀狼族の恩人と言ってもいい位ですね」

パパ  「まあ成り行きでそうなっただけだそう気にするな、これから行く当ては無いんだろう?家まで連れて行くか?あそこなら安全だ」

ジョン 「良いのか?こんな人数だが」

大人8人の子供6人の銀狼族だまあこれ位なら何とかなるだろう

パパ  「ジョンが家さえ作ればなんとかなるだろう?」

ジョン 「それは任せてくれ得意分野だ!」

パパ  「では一回戻ろうか、このまま町に行ってもつかまりそうだしなほとぼりが冷めるのを待とうか」

ジョン 「モー牛だけ捕まえに行くか?」

ママ  「そうね牛だけは欲しいわね」

モー牛を捕まえて一度家に戻る事にした一行、獣人たちはコーダ達エルフ達に任せてもしもの時は先に家まで戻れと言っておく、ジョンとポチに案内されてモー牛の生息域迄向かう、パパ達家族だった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る