第21話 こんなテンプレ有ったっけ?

そしてパパは気が付けば牢屋の中だった…「なんで?」

守備隊 「相手側は手を出していないと見ていたもの達から確認が取れた、一方的に殴り掛かったらしいな、そこでしばらく頭を冷やしておけ!」

そう言って去って行った、こっちの話は全く聞いてくれないんだな…

しばらくすると窓の格子にすずちゃんが飛んできた、すずちゃんにママには宿屋に帰るように伝えてほしい、アイルが宿屋に来るはずだから事情を話して来てもらってくれと伝える、「ピピ!」と敬礼するように羽を前に出すとすずちゃんは飛んで行った。


~ママサイド~

守備隊 「見ていた者から一方的に殴り掛かっていたとの情報が確認された。

相手はかなりの重症の者もいる、慰謝料と迷惑料で白金貨一枚の罰金だ!旦那の釈放には、もう白金貨一枚だ!払えなかったら全員奴隷落ちだ!」


そう言われて怒りが収まらないママ、暴れちゃおうかしら?と思っているとすずちゃんが肩に乗った気がした、「ピ!」と小声で鳴くとパパが宿に戻ってアイルを連れてきてと言っていたと伝わってきた。


ママ 「そんな大金持ち歩いていないわ、宿屋に帰って取ってくるわね」


と言って皆を引き連れてさっさと帰って行ってしまった、守備隊員はパパが賄賂を渡さなかった為、冒険者とグルに成って家族を嵌め奴隷にし売ってしまおうと目論んでいた、まさかそんな大金持って居るはずはない、直ぐに泣きついてくると思って居たが、ママがさっさと帰ってしまったので嫌な予感がしたがもうどうしようもない、旦那を置いて逃げる事は無いだろうと思いなおし、大金が手に入ると笑いが止まらなくなっていた。


おと 「パパ置いて帰っちゃうの?」

さき 「ねえママどうするの?」

ママ 「パパがね宿に帰ればアイルが来るだろうって、昨日の魔物の代金持ってね」

おと 「それでお金払うの?なんかムカつくんだけど?」

ママ 「アイルを連れて来いって、アイルさん来たら一緒に守備隊に行って貰いましょう」

さき 「もしアイルさんが一緒に来てくれなかったら?」

ママ 「そうね~どうしちゃおうかしらね?うふふ!」


と意味ありげに笑うママこれ絶対あかん奴だと姉妹は思うのだった…

宿に帰るとダインが待っていた、「お帰りなさいお待ちしておりました」

ママ  「ちょうどよかったわ」

と言うとダインがパパが居ない事に気が付いた、獣人家族の事は宿の店員に聞いていたのだがどうしたのか?と思い聞く


ダイン 「旦那さんはどうされたのかな?昨日の魔物の事でアイル様が話したいと迎えに来たのだが…」

ママ 「旦那の事でちょっと相談があるのよ」

と今日の出来事をダインに話す、買い物中に冒険者らしい者6人に絡まれたこと、危険を感じ叩きのめしたこと、守備隊での事、こちらが悪いことになり白金貨2枚請求されて払えなければ全員奴隷だと言われていると、話を聞いていたダインの顔色が変わっていくのが分かる。

ダイン 「それは本当ですか?」

ママ  「守備隊の詰め所に行けば分かる事よ、旦那は牢屋よ」とママが切れ気味に言う。

ママ  「この事アイルさんに聞いてみて欲しいのよね、あんまり待てないわよ?」

ダイン 「すぐに報告して戻ってきます!」

と言い慌てて戻って行った…

部屋に戻り「完全武装よ」とママが言う、獣人家族に創造神から貰ったピカピカの鎧を着させると、ジョン達は「なんだこの鎧は!金属なのか?着たとたんにピタっとばっちりフィットだ!重さも感じないぞ!」と絶賛、武器もまだ残ってるからと好きなの選んでと出しだす。


ジョン 「では私はこれにしよう」と斧を手に持つ

ハナ  「私はこれで」と盾と短い槍を選んだ

ポチ  「これ良いか?」と剣を手に持つ

タマ  「私は~」と小手にはめるナックル?を選ぶ

ママ  「そんなのも有ったのね~」

さき  「それでどうするの?」

ほし  「パパ捕まっちゃったの帰ってこないの?」と泣きそうだ

ママ  「今アイルさんに確認しに行って貰ってるからその答え次第ね、助けてくれれば良し、助けてくれなかったら守備隊の詰め所襲撃よ!」

おと  「やっぱりか~そうなると思った~!」

さき  「どれ位やって良いの?」

ママ  「手加減は要らないわ!思いっきり暴れましょう!音と咲はパパにだけは気を付けてね。当たらない様にしないとダメよ」

コンコン! 「ダインです!よろしいでしょうか?」

ママ  「どうぞ入って頂戴!」

ダイン 「物騒な話が外まで聞こえてましたよ…アイル様は直接詰め所に向かっております、ご家族は馬車を用意させましたのでこれから向かいましょう」

ママ  「全員乗れる?皆で乗れないなら歩いて行くわ」

ダイン 「お一人御者席に来ていただければ皆さん乗っていただけます」

ジョン 「私がそこに乗ろう」

ママ  「ありがとうジョン、もしもの事が有ったらあなたは自分の家族を守って町を出なさい」

ジョン 「ありがとうございます、そうならない様にしっかりと働きます」

ダイン 「まあ安心してください、アイルさまは話を聞くなり飛び出していきましたから大丈夫ですよ」

ママ  「あらそう?少し残念ねえ…」

ダイン 「…さあ向かいましょう!」

ダインは冷や汗をかきながら苦笑いを浮かべ皆を乗せ馬車をむかわせるのだった。


~パパサイド~

やる事無いし暇だな…そうだ魔力の操作でもするか、目をつむり魔力を意識する、難なく魔力を把握出来た。Lvも上がって魔力も増えたからな、そろそろ攻撃になるような魔法が使えないかな?と思いながら魔力を体の中でぐるぐると回す、スムーズに回せるな、考える余裕もあるなと色々と考えてみる。

私も家族も自分達のスキルを使いこなせて居ない、とっさにスキルを無意識に使えないのだ、スキルの事を忘れている事もある。異世界に来てまだ数日だ、今までスキルなど無かったのだ、慣れるまで帰ったら練習あるのみだな。

今回もほしに悪意の事を確認出来れば、このような事には成らなかったかも知れない。日本で言う警察の様なものだろうと、守備隊の事を信じすぎて言う事を聞きすぎたな…日本の感覚から切り替えないと、ここは異世界だ獣人を見れば分かるが隙を見せれば、相手に良い様にやられてしまうだろう。

私の判断一つで家族が危険になる、気を引き締めねば…


騒がしくなりドタドタと誰かが走って来た、ガチャガチャと鍵を開けている。


アイル 「遅くなってすまない!大丈夫か?…何をしているんだ?凄い魔力を練っている様だが…」


ん?練習の事かなそう言えば魔力がモヤモヤ~と見えるって言ってたかな…ここは張ったりかましてやるかな。八つ当たり位良いだろう…


パパ  「アイルか間に合って良かったなもう少し遅かったら魔法が発動するところだったぞ」

アイル 「それは勘弁してくれ!その魔力で放たれた魔法など被害が想像できん!」


その魔力?大した事ないと思うのだが?そこまでビビる魔力か?もう少しビビらせるかな…


パパ  「うちの子供の方が魔力は高いぞ操作はいまいちだが、私に何かあれば迷わずぶっ放せと言ってある町が半壊で済めばいいな」


アイル 「ヒロを処罰などさせない!安心してくれ直ぐにここから出てくれ」

パパ  「私をここに放り込んだ守備隊の人間を連れてきてくれ、少し話をさせて貰おうか」

アイル 「ここでは何だ移動しよう!おい!守備隊長!話は聞いていたなその者を連れて来い!」


「は!」わかりましたと言って走って行った。部屋に付くと直ぐに2人の男が入って来た一人はさっき尋問され此処に放り込んだ奴と守備隊長だな。


パパ   「顔色がかなり悪いが大丈夫か?」と声を掛けるが黙り込んでる。

守備隊長 「アイル殿この男が尋問を担当したものです」

アイル  「ヒロこの者で有ってるか?」

パパ   「ああ忘れもしないこの顔だな」


隊員はガタガタと震えている。顔も真っ青だな、このままにしておけば、そのままお陀仏するんじゃないか?


パパ   「訪ねたい事が有るので答えてくれ、良いか?」


何も言わず顔を上下に振っている、何かこっちが悪いみたいだな…


パパ   「家族が絡まれていると通報を受けて守備隊が来たと言っていたよな?この町では絡まれた家族を守るために戦う事は犯罪なのか?」

守備隊長 「この者の報告では困っている家族に助けようとした冒険者が声を掛けて話して居たら、この者が乱入、抵抗をしない者たちを、いきなり殴り飛ばしたと、報告がされております」


アイル  「それは事実なのか?目撃者は?」

守備隊長 「何人かの話は現場で聞いたとの事で確認済みだと」

パパ   「その話を聞いたのは誰だ?」


聞き込みをしたと言う隊員はすぐに来た。

隊員「私が聞き込みをしました、周りで見ていた者たちに話を聞きのほぼ話は一致しております」と話し出した。家族が絡まれていた事、助けに人を守備隊に走らせていた事、主人らしき男性2人が助けに来た事、周りを取り囲んだ冒険者たちの事、その後の主人たちが一気に冒険者たちを殴り倒した事、その後守備隊が来て皆を連行した事、その事を取り調べをした隊員に報告した事。以上であります!


アイル 「ありがとう!下がって良いぞ」


「は!」っと言って隊員は出て行った。


パパ  「私が初めに説明した事と、ほぼ同じだ。大分話が変わってるよな?取り調べの部屋では何も聞かれなかった、今思えば様子がおかしかった、賄賂を求めてたんだな?、そして私が賄賂を出さなかったのででっち上げて此方が悪い事にした。そんな感じか?相手の冒険者から話を聞いてるそぶりは無かったが、大方向こうの冒険者とは仲間なのだろうな、こうやって何人もの人を陥れてきた感じか?。私が家族を守るためにした事は犯罪なのか?」


アイル 「いや正当防衛にあたるな、犯罪ではない」

パパ  「それにしてもこの前の事と言いここの守備隊は大分腐っているようだが?この町は大丈夫なのか?これまで被害にあった人も救ってくれよ?」

アイル 「前回同様ヒロには迷惑をかけたな、徹底的に調べ上げて膿を出すことにするよ、被害者は分かり次第救済しよう」

パパ  「善良な市民を守るためにもしっかりやってくれよ」と念を押しておく

守備隊長が苦虫を嚙み潰したような顔をしていた…

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る