第49話 戦は準備で決まる
日が暮れたのよさ。
村を守る柵は少し建てられた程度で、今夜は夜警を強化する事になったのよさ。
あたし達は村の小屋を借りて、そこで寝泊まりする事になったのよ。
万が一、強盗団が攻めて来てもいいようにねぇ~・・・
夜中、ふと目が覚めて、あたしゃ~小屋の外に出たのよ。
松明を持って警備しているのは、村の人達だわさ。
見張りが休息に使う小屋の前では、5人の村人が集まって、何か話していたのよさ。
あたしゃ、ちっと気になってね、声をかけて見たのよさ。
「こんばんは。様子はいかがかねぇ?」
「あ、勇者の仲間の魔法使いさん」
「マジョリンだわさ。気楽に呼んでほしいのよさ」
焚火を囲う村の人達は何か飲んでいるようだったのよさ。
「マジョリンさん。今の所、強盗団が出てくる様子は無いですね。今夜はなんとかしのげそうですよ」
「それはよかったのよさ。ところで、何を飲んでいるのかねぇ~・・・」
お酒なら、少しわけてもらおうかねぇ~・・・
「あ、これですか?これはコガネムシのスープですよ」
うげぇー
あたしゃ~、それは苦手だわさ・・・
「夜警をするんで、元気付けにいいんですよ。いかがです?」
「あ~・・遠慮しておくのだわさ・・・」
しかし、妙な感じがするのよねぇ~・・・
なんか、空気がしっとりとしているようなのよ。
夜だからかねぇ~・・・
カンカンカンカン!!
村の異常を知らせる鐘が鳴らされたのよさ!
「盗賊が来たぞ!」
夜警の村人達は大慌てで寝ている村人達を叩き起こそうとしたのよさ。
でも、寝ている村人達は目を覚まさないのよさ。
どんなに大声を上げても、叩いても、踏んだり蹴ったりしてもぐっすり寝ているのよさ。
あたしはハレル達を起こしに走って小屋に戻ったのよさ。
プロテイウスは大きないびきをあげているし、ハレルもぐっすり寝ているのよさ。
せめて、メメシアだけでも起きてと、あたしは歯ぎしりをしながら寝ているメメシアの頬を叩いたのよ。
でも、全然目を覚まさないのよさ・・・
これは、強盗団の魔女が広範囲に熟睡させる魔法をかけているのだろうねぇ・・・
何かいい解決方法は無いかねぇ・・・
ふと、あたしは聖水の事を思い出して、樽の中の聖水をカップに注いで、メメシアの顔面にぶっかけたのよさ。
「ぎゃっ!!!」
メメシアは目を覚ましたのよさ!
「何をするのですか!?あなたは異端者ですか!?」
「メメシア!大変!強盗団が現れたのよさ!今、寝ている人達を起こそうとしても、全然目を覚まさないのよさ!」
「だからって、なんですか?変な水、かけないでください」
「それは聖水だわさ・・・」
「冷静で的確な判断ですね」
「だわさ・・・」
兎に角、ハレルとプロテイウスにも聖水をぶっかけて、叩き起こしたのよさ。
まだ、目を覚まさない村の人達の為に、夜警の人達に聖水を配らせたのよさ。
そんで、丘の上に強盗団が集まっているって事で、あたし達は見張り台の上に上がって見てみたのよさ。
すると、夜の闇の中、点々と松明のあかりが見えるのよさ。
ぼんやりと見える人影からして、かなりの人数って思われるのよねぇ・・・
「こりゃ、攻め込まれたら守り切れないのよさ・・・」
あたし達は村の偉い人に話して、子供達を優先的に山の城へ非難させるようにしたのよさ。
村人達は慌てて山へ逃げて行くのよさ。
あたし達と共に戦うと決めて、剣や弓、槍や農具を持ってこの場に残った武装村民は20人。
兎に角あたし達は、村の入り口に陣取り、強盗団を迎え撃とうとしたのよさ。
背後を見ると、山城へ向かう村人達の列の松明の灯りがちらちらと見えるのよさ。
「ハレル!強盗団に何か動きはありましたか!?」
ヘーニッヒとリキムントが5人の兵士を引き連れて、馬に乗って駆けつけてくれたのよさ。
「ヘーニッヒ。ここでボクらがなるべく食い止めますが、抑え込む人数に限界があります。やつらは子供達を狙うはずです。今、城へ非難している人達の安全を確保してください」
「しかし、この戦力では・・・」
「ボク達は大丈夫です。それより城です。城が陥落しては、村の人達を守り切れません。だから、ヘーニッヒは、何かあったら城に籠って戦ってください」
「・・・わかりました。お互い、最善を尽くしましょう」
そう言って、ヘーニッヒとリキムントは、兵士を引き連れ、非難する住民達の誘導に向かったのよさ。
しばらく、盗賊団とにらみ合いが続いたのよさ。
村人達は全員起こせたようだけど、まだ、非難が完了していないのよ。
すると、盗賊団に動きがあったのよさ。
ぞろぞろと村に向かってうごきだしたのだわさ。
あたし達は身構えて、攻撃に備えたのよ。
武装した村民も、弓矢を構えるのよさ・・・
あたしも魔力をため、強力な魔法を放つ準備を行うのよさ。
うおおおおおっと言う声を上げて、強盗団が走り出したのよさ。
村民達は弓矢を放ったのよ。
バヒュヒュッと音を立て、矢が射出され、そして、強盗団の頭上に降り注いだの。
でも、強盗団はひるむ事無く、突き進んできたのだわさ。
そして、近付いてきた強盗団の姿が徐々に見えてくるのよ。
それは、異様に手足の筋肉が膨れ上がったり、妙に足が長かったり、頭が肥大化している異形の盗賊共だったのよさ。
やつらは矢が刺さった程度じゃ止まる事も無く、進んでくるのよ。
恐れをなした村民が、武器を捨てて逃げ始めるのよさ。
なんとか踏みとどまった村民の数はわずかなものだったのよ。
「メッサーヴィントホーゼ!!」
あたしは竜巻魔法を放ったのよさ。
鋭い刃のように、あらゆるものを切り刻む風の刃はうずを巻き、異形の軍勢を飲み込んだのよさ。
竜巻に飲み込まれた異形の盗賊は、バラバラになって宙に舞ったが、それを抜けて出て来た盗賊もいるわけで、あたしが討ち逃した盗賊は、プロテイウスとハレルが剣で斬り倒したのよさ。
後、メメシアもメイスを持ち出して、ボコボコと異形の盗賊を殴り倒しているのよ。
なんとか第一波は撃退に成功したのよさ。
でも、盗賊本隊はゆっくりと迫りつつあったの。
あたしらの戦いはこれからだわさ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます