第48話 そこに愛はあるのだろうか?
町一番(?)商人のリーソクさんはしばらくして、部屋に戻ってきたのよさ。
「考えた結果、資金を用意することに決めたよ。だが、全額をいっぺんに渡すわけにはいかない。傭兵隊の隊長か、会計係をここに連れてきてほしい。そうすれば私がその者とどのように支払うのか話し合う事にする。それでよいか?」
「リーソクさん、あいがとうございます!」
「お礼はまだいい。いいかヘーニッヒ。お前にとって、今回の事件は始まりに過ぎない。これを乗り越えたとしても、苦悩の日々が続くだろう」
「・・・はい」
「困った時は相談に来い。いいな?変に一人で抱え込むなよ」
こうしてあたし達はやるべき事をやったのだわさ。
そしたらできたのよ、できあがりなのよさ。
でもまだ終わりじゃないのよさ。
あたし達は町の外の粉ひき所で、馬とハンスを回収して、馬に乗って山道をかけて城へ戻ったのよさ。
城の周りにはまだ、傭兵達がたむろしていて、投石器を組み上げていたのよさ。
どこからか程よい大きさの石を持ってきて、いつでも投石できる感じなのよねぇ・・・
あたし達は傭兵達に道をあけてもらい、城の中に駆け込んだのよ。
「ヘーニッヒ!無事に戻ってきたか!」
「ハレル!マジョリン!」
リキムントとメメシアが駆け寄ってきたのよさ。
プロテイウスは城壁の上で傭兵隊ににらみをきかせていたのよさ。
そんで、ちらりとあたしらを見て、軽く手を振ったのよ。
まったく、傭兵の時の気持ちが蘇ってしまったのかねぇ~・・・
その後、リキムントとヘーニッヒは、傭兵隊と対談したのよさ。
上手く話はまとまったらしく、傭兵隊は町に向かって行ったのよねぇ~・・・
投石器を残して・・・
「本当に、なんと感謝を述べればいいのやら・・・」
リキムントは目に涙を浮かべてお礼の言葉を述べまくったのよさ。
「ハレル。君と仲間達の助けが無かったら、きっとぼくは挫折していた。本当にありがとう」
っと、ヘーニッヒはハレルにお礼を言うのよさ。
「だが、まだ終わりじゃないぜ。本当の脅威はまだ、目前に迫りつつあるんだ」
そうなのよねぇ・・・
困った話だけど、黒魔術盗賊団をどうにかしなければならないのよさ・・・
「まあ、まずは、傭兵共の置き土産を解体しねえとな」
そんな時だったのよさ。
「大変です!今、盗賊団に捕らわれて、そこから逃げてきたと言う人達がふもとの村に現れました!」
「人達?それは、何人いるのだ?」
「3人です!話があると、この城に向かっています!」
「城に?話し?何か怪しいのよさ」
ヘーニッヒとリキムントは顔を見合わせるのよさ。
「もしかしたら、ぼくの父は捕らわれているのかもしれない・・・だから、人質交渉に送ってきたのかもしれない」
そうよねぇ・・・
あたし達は人の話を聞いただけだし、本当はまだ、生きているかもしれないのよさ。
相手は盗賊、交渉で金を得ようと考えているのかもしれないねぇ・・・
でも、身代金は支払う余裕が無いのよさ・・・
「落ち着いて考えてみろ。相手はまじめに交渉してどうにかなるような連中とは思えないぜ。ふもとの村で捕まえておくべきだと思うぞ」
っと、プロテイウスはいつもより頭が回転しているようなのよさ。
傭兵の時の感ってやつかねぇ~・・・
「でも、この城にも地下牢はあるから、そこに捕えておけば、色々話を聞き出せるかも」
「話を聞くぐらいなら、ふもとの村でもできるだろう。今やこの城が防衛の要だぜ。冷静に考えるべきだ。もし、強盗団の密偵だった場合、この跳ね橋を下げられたらどうしようもないんだぜ」
「ボクも慎重に対応した方がいいと思うよ。それに、人の姿を犬に変化させる事が出来る相手だし、正体は強盗団の仲間の可能性もある」
っと、ハレルはプロテイウスの意見に賛同したのよさ。
「そうですね。その為の聖水があります。これをかけて、正体がわかるかもしれません」
こうして、ふもとの村まで行き、強盗団から逃れた人達に会う事になったのよさ。
ヘーニッヒとリキムントも一緒にさ。
聖水の入った樽はまた、プロテイウスが背負って、あたし達は山を下りたのよさ。
逃れた人達は村の長の家でかくまわれていたのよさ。
「ああ、騎士様!私達の話を聞いてほ」
ばしゃっ!!
「ぎゃあああああ!み、水!?」
「聖水です!」
メメシアは逃れた人達にいきなり聖水をぶっかけたんだけど、変な反応は無かったのよさ。
「どうやら、変化魔法による変装では無いようですね」
「へ・・・クシュン!」
「くしゃみ!?これは黒魔術の影響が!?」
「いや、あんたが水ぶっかけたからだわさ」
「あ、あの、騎士様、大変なんですよ!各地の盗賊が集まって来ているんですよ!噂を聞きつけて、黒魔術強盗団の仲間になりたいと言って、かなりの人数になるんですよ!」
「そうなのですか・・・」
「私達は他の盗賊達が集まって来て、どんちゃん騒ぎを始めた隙に逃げ出して来ました・・・」
警備が緩すぎ流石強盗団だわさ。
「強盗団は強力な黒魔術を使う為に、生贄を必要とします。特に幼子は・・・その心臓を使われます・・・」
「子供の心臓を・・・」
「強盗団の頭領は、幼子の心臓を食らい、魔力を養っているようです。だから、財産以外に人も多くさらうのです」
「そんな・・・村の子供達は今、何処にいますか?」
村人達に案内され、村の子供達が集まる広場に行ってみたのよさ。
広場の真ん中に長いリボンが付いた棒が立ててあって、子供達がリボンを持って、某の周りをくるくる回って遊んでいたのよさ。
「あれは・・・何という遊びですか?」
「あれは、メイポールを使って、好き勝手に遊んでいるだけです」
「あんなに引っ張って、棒が倒れたりして危険じゃないのかねぇ・・・?」
「ストロングにホールドされているので、大丈夫かと思います」
子供達は結構な人数がいるのよさ。
これは、狙われる可能性があるって感じなのよねぇ~・・・
「とにかく、村の防衛を強化する。柵を建て、強盗の侵入に対処しよう」
ヘーニッヒの指示で、村人達は動き出したのよさ。
さて、どうなることやら・・・
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