SS 孤独の飲酒



あたしは今夜も1人、酒場にやってきた・・・


席について、さて、何を頼もうか考える・・・

すると、店の壁に名物の白ワイン入荷の木札がついていたのだ。


「すみません、白ワインをくださいな~」


「あ・・・ごめんなさい。それ、来月からなんですよ」


がーんだわさ・・・出鼻をくじかれたのよさ


「じゃあ、赤ワインは・・・」


「ごめんなさい。赤ワインも無いんです」


はぁ~・・・どうするかねぇ・・・

焦るんじゃないのよ。

あたしは喉が渇いてるだけなのだわさ。


「じゃあ、白ビールで・・・」


ふと、違うお客さんが目に入る。


「黒ビール臭ぇ~~」


「あ、ホント」


「仕込みに焙煎したんじゃないのォ?」


思わずあたしも


「後、黒ビールも」


「はあ・・・」


しばらくして、白ビールと黒ビールが運ばれて来た・・・

う~ん、白ビールと黒ビールでビールがダブってしまった。


まあ、仕方がない。

まずは白ビールを1口。


「うん、うまい」


次は黒ビールを1口。


「ほ~、いいじゃないかねぇ。こういうのでいいのよさこういうので」


お店のおまけでナッツが出されたのよさ。

これは、飲み始めたばかりなのにビール不足が当選確実なのよさ。


ナッツを食べ、白ビールをあおる。


「うん、うまいビールだわさ。いかにもビールってビールだわさ」


すると、店の中が騒がしい・・・

客が喧嘩を始めたようだわさ。

あたしは止めに行くのよ。


「なんだあんたは!?」


酔って判断力が無い客だわさ・・・


「いいかねぇ・・・酒を飲む時はね、誰にも邪魔されず、自由で、なんというか救われてなければダメなのよさ。1人で静かで豊かで・・・」


「何を言ってやがる!出ていけ!」


強気で迫る客にあたしは素早く腕を取り、関節技をキメるのよさ。


「があああああああ!痛っイイ!お・・・折れるう~~~」


すると、店員が駆けつけたのよ。


「あ・・・やめて! それ以上いけない」


「・・・・・・」


今日はあまりよく飲めなかったのよさ・・・

だけど、ここだけが酒場ではないのよ・・・

そんなあたしは、歩きながら酒を飲む算段をするのだわさ。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る