#59

魔法の本(初級)をアイテムボックスから取り出す。


読むだけで魔法が覚えれるというスグレ物だ。


運が悪いと魔法が暴走するかもしれないらしいが、俺には関係無い話だね。


階段の所だけは明るいので、本を読む事ができる。




表紙には『スライムでも覚えれる魔法1(初級)』と書いてある……。


さすがにちょっとイラっとした。


その下には『残り回数「4」』とカウントダウンが表示されてた。


どういう意味なんだろうか?


気にはなるが、とりあえず読んでみる事にする。




『はじめに。


 表紙にある数字は本に込められている魔力の残り回数です。


 「0」になったら読んでも覚える事が出来ませんので、魔力を補充してもらってください。




 魔力が0の人は読んでも覚える事は出来ません。


 貴方がもし魔力0の人なら、売ってお金に換える事をオススメします。




 この本は読む事で、貴方の魔力を使用して魔法を発動させます。


 魔力が少ない時に読むと、暴走する事があるので止めましょう。




 貴方の魔力を使用し、読んでいると内容を強制的に頭に入れます。


 脳のキャパが一杯の人は、他の記憶が無くなるかもしれません。』




……なかなか怖い書物のようだね。


現在『残り回数「4」』となっているので、4回は使用出来るようだ。


1つの魔法を覚えるのに1使うのか、1冊読むのに1使うのかは不明。そういうのを書いとけよ。




目次を見ると、『一つの魔法を覚える度に残り回数が1減ります。』と書いてあった……。


改めて目次を見る。




『注1:一つの魔法を覚える度に残り回数が1減ります。


 注2:読めない文字等が出てきますが、読んでるつもりで目で追ってください。




 1.生活魔法


   明かりを灯す:P.08


   水を生み出す:P.12


   火を生み出す:P.16


 2.攻撃魔法


   火の矢を出す:P.20


 3.支援魔法


   夜目が利くようになる:P.30




 2巻へ続く』




なるほど。全部で5つの魔法が覚えれるのか。4回分しか無いのにな!


この中で今使えそうなのは「明かりを灯す」「火の矢を出す」かな?


水や火を生み出すのも便利そうだが、アイテムがあるから今は要らない。


まてよ、今4人居るじゃんか。全員が「火の矢」を覚えたら便利じゃね?


あっ、その前にMPがあるのか皆に聞いてみなきゃ!




「この本で5つ魔法が覚えれるみたいだ」


「そうなんっスか? でも残り回数4ってなってるっスよ?」


「そうなんだ。書いてあるのは5つなんだけど、覚えれるのは4つまで」


「何を諦めるのですか?」


「いやいや、俺1人で全部使うよりもさ、全員で攻撃魔法を覚えようよ」


「え~っ! 魔法を覚えるって高額な事なんですよ?!」


「いいじゃないか。攻撃魔法を覚えてくれたら、俺の護衛もやりやすくなるでしょ?


 ダンジョンは4階も残ってるんだしさ」


「そう言われると弱いなぁ……」


「はいはい、決まり決まり。所で、覚えるのに魔力が必要らしいけど、皆魔力はあるの?」




カンダさんはMPが30、キジマさんは200、コタニさんは510、問題無いな。


というかコタニさん、MP多い!!


この人、冒険者よりも魔法使いの方が合ってたんじゃないだろうか?!


就職よりも魔法使いの門を叩けば良かっただろうに。選択が間違ってるよ!!




「じゃあ、まず最初に俺が読んでみるよ」


「判りました。暴走に備えて、階段で待機してます」




20ページを開いてみる。


『「火の矢」を出す魔法。


 使用する魔力は10。発生キーワードは「ファイヤーアロー」。


 キーワードを唱えた時に見ていた物を目標に飛んでいく。魔法で作った矢だと思ってOKだよ。


 追加で魔力を5使えば「ブレイク」というキーワードで破裂し霧散させる事が出来る。


 目を閉じていたり、暗闇の中では目標が定まらない為に発動しない。


 射程は50mほどで、弓矢と違い一直線に飛んでいく。




 *=6‘@382~¥Ωθ?*ム!”・・・』




説明が終わると、変な文字の羅列が書いてあった。


目次に書いてあった通りに、読んでるつもりで目で追っていく。


最後まで読んだ時、チクリと一瞬頭痛がしたがそれだけだった。


これで覚えたのだろうか?




少し先に進み、たいまつに火をつけて地面に刺し皆の所に戻る。




「覚えたっスか?」


「多分。アレを的にしてちょっと実験してみるから」




皆ワクワクしてるように見える。そういう俺もワクワクしてるけどさ。




叫ぶのは恥ずかしいので、軽く唱えてみた。


叫んだのに発動しなかったらバカみたいじゃん?




「ファイヤーアロー!」




俺の右上に長さ30cmくらいの火の矢が現れて、たいまつに向かって飛んでいった!


スゲー!! コレで俺も魔法使いだ! ありがとうございます!!

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