#58

俺は今、ビッグベアーと対峙している。


こいつの倒し方は何度もシミュレーションしたし、カンダさんとも練習した!


そうだ、俺は倒せる! コイツを倒してレベルを上げるんだ!!




ビッグベアーは俺を攻撃する為に勢いよく立ち上がった!!


そしてその勢いで、崩れかけてた天井から垂れ下がっていた石に頭をぶつけた。


そのまま前のめりに倒れ、痙攣している。


俺は無言で近づき、首を切って倒した……。




ナニコレ?


さっきの俺の決意を返せ!!


1人で盛り上がってて、恥ずかしいわ!!


あっ、レベルが上がった……。




名前:福田哲司


LEVEL:12


HP:80/80(+10)


MP:470/470(+100)


体力:270(+200)


速さ:135(+10)


運:120/120




さっきのビッグベアーはレベル12だったらしい。


やっと12まで上がったよ。


MP・体力・速さ、3ケタになってるのに、やはりHPだけ低いのが気になる。


身代わりの指輪を装備してるので即死は無いが、やはり最低100は欲しい。


そもそも補正が+10しか無いからなぁ。悩ましい……。




やはり道に迷う事無く、6階へ進む階段にたどり着いた。


もしやと思い探してみると、案の定ショートカットの階段を発見する事が出来た。


現在時刻は19時過ぎ。今日はここまでにしようと提案し了承を得た。


4階に繋がってたらヤダなぁ~と思いつつ、階段を登る。


結構長い階段だったので、安心したよ。出たのは1階のある場所だった。


「この先落盤あり。立入禁止。」という立て看板がしてある所だ。


そうなんだ~と思ってスルーしてたけど、こんな秘密があったのね。


知らない者を通らせないように、ウソの看板を設置したんだろうなぁ。




当たり前のようにウエダさんの店に行く。


……いい加減、生活する所も考えないとな。


宿に移るか? 多分反対されるんだろうな。特にナミちゃんに。


俺が出て行く=ポチも出るって事だからね。


ポチも出るよな? 出るよ、俺の従魔だもん、多分……。


家を買う? でも定住するのかと言われると、それもなぁ。


いずれはどこかに定住するだろうけど、今はまだ色んな所に行ってみたい。




ウエダさんの家に着くと、これまた当たり前の様に、晩御飯が用意してあった。


俺だけでなく、カンキジコンビとコタニさんの分まで。


そうなんだよ、出るとなると、コタニさんの事も考えないといけない。


給料払ってるから面倒見なくて良いって考えは出来ないよ。仲間なんだから。




うん、とりあえず、ダンジョンでのレベル上げが終わるまで保留にしよう。


現金は受け取らないから、何らかの形で食費とか宿泊費とか払って滞在させてもらおう。






翌日、今日もダンジョンに行く。


ショートカットを利用して、6階からスタートだ。


6階は夜だった。夜の平原。うん、意味が判らない。


そういう物だとむりやり納得するしかない。




「ここは何が出るの?」


「はい、出ます」


「? 話が合ってないような?」


「出るのですよ」


「何が?」


「ゴーストです」


「お化けが出るって事かよっ!」


「そうです。レベルは15~20ですね。あっ、たまにスケルトンも出るそうですよ」


「おぉ! なかなか強そうだな!」


「実際、ゴーストは強いですよ。物理攻撃は効きにくいですし」


「どうやって倒すの?」


「魔法が基本ですね。そうでないのであれば、憑いてる物を探して壊す事で倒せます」


「へ~。レベル的にはコタニさんと同じくらいか。あれ? コタニさん?」




気づくとコタニさんは後ろにいて、俺の服を掴んでいた。




「お化けはダメっス! お化けはダメっス! お化けはダメっス! お化けはダメっス! お化けはダメっス! お化けはダメっス!」




4階のキジマさんと同じ恐慌状態の人がいました。


まぁ、ドラ○エのような可愛いゴーストじゃないだろうしなぁ。


それに魔法を使える人がいないので、倒すのは大変そうだ。




そうだ! そうだよ! ここで魔法を覚えればいいじゃないか!


平原だから広いし、ダンジョンの6階だから人もいないだろう。


お待たせしました! やっと魔法の本の出番です!


魔法の世界へようこそ!!


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