#57

福田哲司


LEVEL:6


HP:50/50(+10)


MP:350/350(+100)


体力:240(+200)


速さ:75(+10)


運:119/120




お分かりだろうか? この弱さが。


レベル6になってもHPがMPの7分の1しかない。


補正が無ければ、ザコですよ。いや、補正があってもザコですね。


体力なんて補正が無ければHPと同じ。


レベルが2も上がったのに、HPと体力は10しか増えない……。


こりゃ素直に武具による補正に頼った方が賢い選択だな。


いや、レベルはちゃんと上げるんですけどね。




スライム退治はもう旨みが無くなったので、次はビッグベアー退治だ。


3階にいるのが10なら、ここなら11ぐらいじゃないかな?


それを1人で倒せるようになれば、やっとレベルが2桁になれる!


1人で倒せれば、の話だけど。




3階ではカンダさんとキジマさんで、1匹を倒していた。とどめだけさせてもらってた。


レベルが高いので1人でも倒せるのだろう。


という事で、ちょっと実践してもらう事にした。




「二人で倒せていたのは、早く確実に倒す為だったんですよ」


「そうなの?」


「迷路は狭いので、早く倒さないと次のが来た時に逃げ場が無くなります。


 確実に倒さないと、雇い主の福田さんに被害が出る可能性がありますし」


「は~、なるほどねぇ」


「広い場所なら1人で戦いますね。警戒の為に一人必要ですから」


「カンダの考えが正しい訳ではありませんよ?臨機応変に対処するのが一番大事です」


「そうなの?」


「はい、ここのような前後にしか道が無い場合、前後に1人づつ配置する方法もあります」


「あぁ、なるほどね。戦ってる時に後ろから敵が来ても良い様にって事だ」


「そうです。今は1人多いので、前に2人が基本ですね」




ふむふむ。勉強になるなぁ。


おっと、講義を受けていたら、ビッグベアーが現れたよ。


四つんばいで歩いていたビッグベアーだが、俺たちに気づくと立ち上がって吠えている。


そこにカンダさんが、剣を振りかぶって走っていく。速い!!


ビッグベアーの爪を生かした右手の振り下ろしを剣でいなしたかと思うと、その勢いのまま首筋を一閃。


ビッグベアーは首から血を噴出させ、前のめりに倒れ動かなくなった。




「こうやって、最初の一撃をかわして首を切るのが一般的ですね」




うん! 無理! 参考にならない!!




「まず、どうやって最初の一撃を避けるのさ?!」


「えっと、、、見てると右手を振り上げるので、それをサッと左に避けるんですよ」


「右手じゃなかったら?」


「サッと右に避けます」




サッてなんだよ?!


擬音で言うんじゃない!


お前はナガ○マさんか!!


しょうがない、ここは常識人のキジマさんに解説してもらおう。




「え~。ビッグベアーが立ち上がって攻撃する場合は、右手か左手のどちらかです。蹴りやタックルはしません。


 なので、振り上げようとしている手がどちらなのかを注視してください。


 振り上げる手が判れば、そちらの方に向かいます。右手ならば右手側、こちらからすれば左に向かいます」


「逆の方が安全じゃないの?」


「動いてない手の方に行くのは安全ですが、攻撃が出来ません。空いている手で防御してくるのです」


「攻撃をする為に移動するのね」


「そうです。後は避ける方法ですが、剣でいなすのは難しいので、しゃがみつつ移動が良いと思います。


 ビッグベアーは身長があるのに手は短いのです。低くなれば当たりにくくなります。


 避けてしまえば、手を振り下ろしている為に首がガラ空きになってます。


 そこを剣で切るのです。振り下ろした手に沿って剣を動かせば首に到達します。


 2cmも切れれば出血ですぐに死にますが、切った後はなるべく離れる方が良いですね」




なんて判りやすい解説なんだ!!


サッにこんな深い意味があったなんて!!


もうカンダさんは、俺の中では脳筋キャラに認定だよ。




とりあえず俺は、脳筋カンダさんを相手にシミュレーションを何度もした。


もう大丈夫でしょう、とお墨付きを貰ったので、後は実践あるのみだ!!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る