#46

「私も同じ武具屋に行ったのですが、これと言って目ぼしい物はありませんでした。


 しかし、そこで発見したのがコレ『魔法の本2(初級)』です。


 たしか1冊お持ちだったと思うので、続巻を買いました」


「おぉ! たしかに!! まだ全然読んでないけどね……」


「良かったです。同じ本だったら返品しなくてはと思っていたので」


「いやあ~、助かるよ。すっかり忘れてたし!」


「この本1冊で19万9800円もしました」


「高っ!! 本って高いんだなぁ……」


「いえ、普通の本は1万円くらいですよ? コレは魔法の本ですから」


「ん? 何が違うの?」


「本自体にも魔法がかけられているのです。なので、読むだけで覚える事が出来ます」




DVD付きの本みたいな感じか?


でも読むだけで覚えれるなら便利だな。




「覚えたら10万くらいで買い取ってくれます。実質10万円の本という事になりますね」




そりゃそうか。覚えてしまえばもう必要無いもんな。


リサイクル、大事です。




ん? キジマさんはたしか20万のカードだったはず。


残り200円だけど、自分の物を買えたのか?




「で、キジマさん。自分の物は?」


「それなんですが、実は私も魔法を覚えたくて。1巻と一緒に読み終わったら使わせてもらいたいのです。


 なので、福田さんの物でもあり、自分も物でもある。……こういうのは反則でしょうか?」


「いや、たしかに自分の物を買ったとも言えるね。セーフです!」




上手い事考えるなぁ。


人の金で自分の物を買うっていうのがイヤだったんだろうね。脱帽です。




最後にコタニさんの発表だが、これは割愛させてもらう。


最終結果は、


1位:コタニさん(残金0円)


2位:キジマさん(残金200円)


3位:奥さん(残金1800円)


4位:カンダさん(残金2200円)


5位:ウエダさん(残金2500円)


となった。




「優勝は残金0円のコタニさんで~す! 拍手~!」


「「「「わ~パチパチパチ」」」」


「では賞品の『運気底上げのイヤリング』の授与で~す!」


「本当にコレ、貰って良いっスか?!」


「当然だよ。優勝したんだから。俺には必要無いみたいだしね」


「ありがたく頂戴するっス! 大切にするっス!!」




「という事で~、罰ゲームは、ウエダさんに決~定~~!!」


「ちっきしょ~!!」




残金のあるカードと買ってきてもらった物を受け取り、ゲームは終了した。


いやあ、やっぱり1人では気づかないし、忘れてたりするねぇ。


仲間ってありがたい!




「昼飯を食べてから罰ゲームは実行しましょうね~!」




って事で昼飯にする事にした。


このホテルには食堂が併設されており、そこで食事ができるそうだ。


どうせならと行ってみるとそこは食堂なんて物ではなく、はっきり言ってレストランだった。


これまた凄く豪華で美味しい料理を頂いたが、支払いはホテル代に含むとの事。


なんかタカってるみたいで非常に悪い気がする……。




食事を終えて出てきた俺達を、従業員の人が呼び止めた。




「サガワと連絡が取れましたので、お知らせに参りました」


「あっ、ありがとうございます」


「今日の夕方にお伺いするとの事でございます。よろしいでしょうか?」


「判りました。17時までには戻ってきます」


「お待ちしております」




サガワさんと会うアポが取れた。


夕方じゃあ町長さんは無理だろう。


ま、部屋を替えてもらえれば、町長さんには会わなくても良いか。


それよりも今は罰ゲームの方が重要だぜ!

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