#31

3等のパンフレットをもらった。


・指定された馬車・旅館・食事施設を利用する


・利用時にはこのパンフレットを掲示する


・7歳未満の子供は連れて行っても良い(人数に入れない)


・従魔の参加も可


・旅館は1泊2日。部屋は2人部屋。


となっていた。




あれ~? ナミちゃんは人数に入らないぞ?


そうなると俺の相手がいない事に……。




「温泉旅行っスか。いいですねぇ!!」


「コタニさん! 就職しないか?」


「えっ?! どこにっスか?」


「俺の所に!!」


「・・・プ・プロポーズっスか?! そういうのはもっとお互いを知ってから……」


「えっ? ああ!! 違う違う!! 元冒険者って事らしいから護衛に雇いたいんだ!」


「そうなんでスか?」


「俺、色々な所に行ってみたいんだよね。でもその度に冒険者雇うのもなぁって思ってて。


 専属ならギルドに行く手間も無いでしょ? ちゃんと毎月給料払うから!」


「私、そんなに強くないっスよ? 色も黄緑だったっス」


「たしか、青色→緑→黄緑、だったよね? 問題無い! 俺より上だ!!」


「福田さん、何色なんでスか?」


「青だよ」


「・・・それって、ただ『加入したて』ってだけじゃないっスか!」


「いいじゃないか! そうだ、ボーナスも出すよ!」


「むむう、もう一声っス!」


「う~ん、う~ん、何か無いか……?」


「あっ! じゃあ、福田さんの弟子にしてくださいっス! 帝王の弟子! 憧れるっス!!」


「いいけどさぁ。・・・就職活動中なんだよね。ギャンブルしに来たんじゃないよね?」


フィ~フィ~フィ~




口笛吹いて誤魔化した!!


意外とダメ人間だ、この人!!




「・・・ま、いいや。じゃあ決定って事で良いのね?」


「はいっス! よろしくお願いしますっス!!」




いえ~い、これで俺の相手が出来たぜ!


ただ、少し後ろめたいので、給料は多めにしよう。




「では今日からお願いするっス!」


「えっ? いいの?」


「はいっス! もうお金も無くて宿にも泊まれないっスから!」




出会うのがもう一日遅かったら、この人死んでたんじゃないだろうか……。






この後、カンダキジマペアと合流して、村に帰った。






「温泉ペア宿泊?! さすが師匠!! 良い物当てるねぇ!!」


「いつもお世話になってるから、ウエダさん一家にあげるよ。あぁ勿論カンダさんとキジマさんにもね。


 皆で一緒に温泉行こうぜ!!」


「おぅよ! いつでもいいぜ! 店なんか閉めて張り紙しときゃ問題無しだ!!」


「いいのかよそれで」


「たまには嫁も休まねぇとな!! ところでよぉ、その人、誰だい? さらってきたのか?」


「違うわっ!! 俺の専属護衛になってもらった、コタニさんだよ」


「貴方が話に聞いた兄弟子のジャックさんっスね!! よろしくっス!!」


「ジャックじゃねぇーーーーー!!」




「あのぅ、私達も行っても良いのでしょうか?」


「えっ? キジマさん貰ってくれないの?」


「いえ、貰う理由が無いと言いますか……」


「良いじゃないか。皆で楽しく旅行しようよ。なんなら旅行中の護衛って事にして依頼出してもいいよ?」


「いえっ! そこまでしてもらう訳には!! 判りました。ご一緒させてもらいます」




「哲司兄ちゃん、私も行っていいの?」


「当然! 勿論ポチも一緒だよ?」


「わーい、旅行だー! 温泉だー!!」


『りょこー!! おんせーん!!』




大人は面倒くさいなぁ。それに比べて二人(1人と1匹)は可愛いなぁ。


お兄さん、ナゼナゼしちゃうぞ。




「で、いつ行く?」


「は? 明日でいいじゃねぇか?」


「早っ!! それで皆いいのか?」




周りを見渡すと、皆頷いてた。えっ、この世界ってそんなもんなの?




って事で、明日から温泉旅行です。

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