#30

2等のイヤリングはどうでもいい。


くれるなら貰うけど。


そう思ってたら、2等のイヤリングが当たってしまった……。




手持ちの宝くじを使い切ってしまった!


ヒジョーにマズイ!!


鑑定はどうしても欲しいのに!!


俺の運はどうしたんだ?!


確認すると119になっていた。2等で1使った模様。


いやいや、1等が大事なんですよ!とアサイさんとイイクラさんに言いたい。


当たらないなら二人を呪ってやる!!




最後の抽選は、お姉さんが両方押すようだ。




ポチッ・・・ポチッ


コロコロコロ




出た玉をお姉さんが取り読み上げる。




「はい出ました~! またまたまたまた『ぬ』で~す!!」




ポチッ・・・ポチッ


コロコロコロ




「はい! 数字は~~~~~~百~~~~七十~~~~~七!! 177で~~~~す!!


 まさかの3等と同じのが出ました~~~!!」




えっ? あっ?! そうか! 玉は戻すんだったね!!


同じのが出ても不思議じゃないよね!!


アサイさんとイイクラさん、いい仕事したよ!!


手を加えたのかは判らないけど、今は感謝しとこう。




「と~~~いう事は~~~~、またまた帝王さんが大当たりで~~~~す!!!


 では、勝利者インタビューしましょう~! 帝王さんどうぞ~!」


「え~、これだけは言いたいです」


「どうぞ~!!」




「・・・『帝王』と呼ぶな!!!」




観客からのブーイングで抽選会は幕を閉じた。






景品を受け取る為に、別室に案内された俺は2人の人から挨拶をされている。


1人は武具商人のタルーンさん。


もう1人はコタニさんだ。




「いやぁ、帝王さんにお会い出来るとは光栄ですね」


「福田哲司といいます。帝王はやめてください」


「では福田様。私は所子ところごの町で店を出しています。近くにお越しの場合は是非立ち寄りください」


「ありがとうございます。寄らせてもらいます」




「本当にありがたいっス! 助かったっス!」


「いや、余り物だったから感謝されるほどじゃないよ」


「いえ! 今就活中だったので、お金が必要だったっス!」


「えっ? 就活中なの?」


「そうっス! 冒険者してたんっスけど、向いてないな~と思いまして辞めたんっス。


 それで就活してたんっスけど、就職する前にお金がなくなりそうになったんっス!


 命の恩人っス!!」


「いやいや、大げさだなぁ。気にしなくていいよ」


「いえ、気にするっス! 恩返しするっス!


 コタニ20歳、受けた恩は返すっス!!」




コタニさんは、黒髪のセミロングで容姿は可愛いが胸は寂しい。


この容姿なら、すぐ就職とか決まるだろ?


職を求めてカジノの町に来たんだろうなぁ。……まさか遊びに来たんじゃないよね?




「福田さ~ん。福田さ~ん! 帝王!!」




司会のお姉さんが呼んでいる。




「あっ、コタニさんも一緒でしたか~。お二人ともこちらに来てくださ~い!」




何事かと思ったら、景品の受け渡しだった。


一筆必要らしい。


名前を書いたら、お盆に載せて景品を持ってきてくれた。




よし! これで温泉行きだぜ!!


のんびりして仕事の疲れを取るんだ~。


仕事なんかしてないじゃん! とか言うなよっ!!

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