#29

宝くじを配った事で、俺の手持ちは『ぬ-175』~『ぬ-178』の4枚になった。


あれっ?今更思ったけど、1回でも外れたら予備が無いからダメじゃね?


……ノリで行動するとダメだね。ノリのご利用は計画的に。




3等の抽選が始まった。


文字を出すのはケンモチさんの仕事になった。




ポチッ・・・ポチッ


コロコロコロ




出た玉をお姉さんが取り読み上げる。




「はい出ました~! 『ぬ』で~す!!」




来た!


5枚の内の3枚を当てなきゃいけないんだ。


最初から出てくれるのはありがたい!




コタニさんが数字の方のボタンを押す。




ポチッ・・・ポチッ


コロコロコロ




「はい! 数字は~~~~~~百~~~~七十~~~~~九!! 179で~~~~す!!」




あっ、配ったヤツじゃねぇか!!


ヤバイ、そういえば祈って無かった!!


会場を見ると殴り合いで勝利したのか、顔面をボコボコにした薄い人がガッツポーズをしていた。


温泉で髪よりも顔を治した方がいいよ。


おっと人の事よりも祈らなくては! ムニャムニャ。




ポチッ・・・ポチッ


コロコロコロ




「はい出ました~!! またまた『ぬ』で~す!!」




何個入ってるのか知らないけど、文字の数だけ入ってるなら51個はあるはず。


なのにも関わらず、ちゃんと『ぬ』が出るのが運の力なのか。




ポチッ・・・ポチッ


コロコロコロ




「はい! 数字は~~~~~~百~~~~七十~~~~~五!! 175で~~~~す!!


 あっ! 帝王さん、当た~~~り~~~!!」




やったぜ! まずは1枚GET!!






その後、誰もが予想した通り、連続で2枚GETしました。




観客からは、


「こんなに『ぬ』ばっかり出るか?!」「普通は出ないだろ?」「確率計算したら凄い数字になるぞ?」


「世の中にはそんなモノでは計れない事があるんだよ」「まぁ帝王だからなぁ」


「俺さ、逆に『ぬ』を持ってるヤツが気の毒になってきたよ」「ん?なんでだ?」


「帝王が居るから『ぬ』が出るだろ?そこで喜べるけどさ、数字は帝王のせいでハズレるじゃん?」「うんうん」


「それってさ、ぬか喜びじゃん。上げて落とすみたいな」


「「「「「あ~たしかに」」」」」


との声が。




ぬか喜びは俺のせいじゃないよ?! 違うよ多分。違うよね?




ま・まぁ、3等の残りは1枚。


そう言うんなら、違う文字にしましょう。


『違う文字出ろ!!』と祈る。


俺に利が無いので、この祈りは成功するか判らないけども。




ポチッ・・・ポチッ


コロコロコロ




「出ました~!! 最後の文字は『ぬ』で~す!!」




え~また『ぬ』なの?


祈りは失敗か。


そうか! 今、幸運を使ったから運は減ってるはず。


それを戻す為には不幸が必要。


って事は不幸になれって祈ればいいのか?とりあえずやってみる。


『不幸になれ~。でも精神的な不幸で肉体的には被害が無い不幸で~。』




祈りだした瞬間、お姉さんの眉間にしわが寄った。




「んんん? すみませ~ん! 見間違えてました~! 文字は『め』で~す!!」




あっ、成功した……。


さっきの観客の意見ではないが、ぬか喜びパターンだ。


たしかにこれはガッカリだな。


普通にハズレるよりもダメージがデカい。


こっそり運を見てみると、120に戻っていた。


ぬか喜びパターンは戻り幅が大きいらしい。




しかし、こういう抽選の場合は『ぬ』『め』みたいなのは省いておけよ。


ナンバープレートでもそうなってるはずだぞ?


『ね』『れ』『わ』とか、『き』『さ』とか、『は』『ほ』とかさ。


今回はそれで助かったけど。




さ、運も戻った事だし、後は1等と2等の抽選を残すのみだね!

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