#28

結局5等は1つも当たらなかった。


まあ、当たる必要は無かったし最初から1等と3等狙いだって宣言してたし。


欲しい人に当たるのが一番ですよ。




「続いては4等の抽選を始めま~す!


 そうですねぇ、ブルーさん、二人選んじゃってくださいな!」


「ブルーは止めてください! カンダですから!」


「カンダというと、あの680号のですか?!」


「古い話を出しますね?! って言うか、そんな古いマンガの事知ってる人は少ないですよ?! 俺はF-4に乗ってません! 違いますからね?!」




知ってるお前もどうかと思う。


いいから早く二人選べよ。


俺みたいに近くで決めるなよ。コンビが出てくるぞ。




「じゃ、じゃあ……1人はあそこで隠れてるキジマを。


 もう1人はそうだなぁ……あの人にします! 青っぽい紫色の髪の太った縦じまの服着てる商人の人!


 武器とか背負ってて目立ってるし、ヒゲも髪と同じ色だし」




おい、完全にあの人じゃないか。


変なダンジョンに行く人だろ。大冒険してたり勇気ある者の仲間になったりしてる人。




キジマさんは諦めたのか、スゴスゴとステージにやってきた。


観客から「ピンク!」コールが起こっている。


キジマさんはもう、顔が真っ赤になっている。


恨むなら俺をステージに上げたお姉さんとカンダを。俺は関係無いからね?




それとは対照的に、喜びながら商人はやってきた。




「私、タルーンと申します。武具商人をしております」




おおっ、早速PRしてきた!


さすが商人! 何か良い武具を持ってるなら後で買おうかな?


しかしタルーンとは。米国の人?




何だこの会場? ネタな人しかいないのかな?


そうなると、この司会のお姉さんも怪しいな……いや探るのは止めよう。危険な気がする。






4等の抽選が始まった。


ここにも俺は興味が無いので、温泉について考える。


ペアって困ったなぁ。


移動するから赤色冒険者組は連れて行った方がいいだろうな。


って事は3人か。やっぱり俺が余る……。


やはりウエダか? いや、行くならウエダは奥さんとだろう。


そうなると5人……。おぉ! ナミちゃんがいるじゃないか!!


俺・ウエダファミリー・冒険者二人で6人だ!


って事はペアチケットが3枚必要。


で、1等を当てるとして、必要な宝くじの枚数は4枚。


7枚余るな……。いや余ってもいいんだけどね?


2等を当てるか? いやそれでも1枚しか減らないし、運気底上げなんか要らない。


今抽選中の4等を当てる? いやいや、要らないしさすがに可哀相だ。


うん、余らせておこう。




キジマさんが『ぬ』を引いた時はどよめいたが、数字が186だったので観客はホッとしたようだ。


あれっ? 俺の次の番号だから、補助券をあげた女性が当たったんじゃないか?


連番で渡していればの話だけど。




4等の抽選は、俺が当たる事無く無事に終わった。


次はいよいよ3等の抽選だ。3枚は欲しいので3回当てなくては!


俺が3等が欲しいと公言した為、俺の仲間には人を選ぶ権利は無いそうだ。


その時にステージに居たタルーンさんが選ぶ事になったらしい。




タルーンさんが選んだのは、右端にいた女性と左端にいた男性。


右端の女性は補助券をあげた女性だ!


二人はステージに呼ばれて、またお姉さんから一言をお願いされている。




「ケンモチと言います。可愛い嫁が家で待ってるので早く帰りたいです」




うわっ、自慢かよ!


会場からは凄いブーイング! 俺も乗っておこうブーブー!!




「コタニっス! さっき帝王から譲ってもらった宝くじで4等が当たりましたっス! 感謝っス!!」




コタニさん! 余計な事は言わないで!! 補助券譲っただけだから!!


観客が羨ましそうな顔で俺とコタニさんを交互に見ている。


「帝王に貰っただと?!」「やはり女性だからか?」「当たり前だろ?」「くっ俺も女だったなら……」


「お前が女でも帝王は相手にしねぇよ」「なんでだよ?!」「判るだろ?」「てめぇのツラ見ろよ!」


「ピンクは美人、コタニって人は可愛いだろうがよ」「全くだ!」


「帝王もやるなぁ」「夜の帝王ってか?!」




おい! 顔で選んでねぇよ! 濡れ衣だ!! 意義アリ!!


こうなったら、これでもくらえ!!




俺は持っていた余りの宝くじ7枚を紙ヒコーキに折る。




「羨ましそうだから、俺の手持ちの宝くじを何枚か配ってあげよう! そーれ!」




飛ばしてやると、凄い取り合いが始まった。


殴り合いまで発生している……。


俺、またやっちゃったかな?

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