#19
「もう夕方だぞ?! アホか? アホなのか?!」
「いやぁ、ブラックジャックをしに行かなきゃ変な名で呼ばれないと思ってな」
「あぁ、どこかで見かけたなぁと思ったらジャックさんじゃないですか!」
「グフッ!!」
「良い攻撃だ、カンダさん! ほら、知れ渡ってるって。諦めろ」
「私はポーカーに居たので……ジャックって何ですか?」
「ほらみろ!! 大丈夫だろ?」
「余計な事を言うな! 今から4階に行くぞ?」
「はい、依頼主様! お口にチャックします!」
「大体、夜は動物が出るから危ないって言ったの、お前だろ?!」
「あぁ、それなら私達が護衛しますよ。当然護衛料は頂きません」
「カンダ、何を考えている?」
「……剣に手を掛けないで下さい。いやぁ、キングの技を見たくて……」
「ほら3対1だ! 行く事に決定だな!」
「判ったよ! 行くよ! 行けば良いんだろ?!」
「「「やったー!!」」」
クソ! 俺はポチと遊ぶつもりだったのに!!
あれっ、ポチがいないぞ? はっ! ナミちゃんもいないじゃないか?!
「あぁ、ポチちゃんですか? ナミと一緒に友達の家へお泊りに行きましたよ?」
ちっくしょーーーーう!!!
はいはい、そういう事でやってきましたよ、カジノの町へ。
ギャンブルするんでしょ? はいはい、換金すれば良いんでしょ?
100万ほど換金してやりますよ。それで良いんでしょ?
ジャックご一行は、1人のやさぐれ者を連れてガチャの店へ到着ですよ。
支配人が入り口で待ち構えていました……。
「フフフ、来られると思っていましたよ。
今日から中級者ガチャですからね。そう、絶対に来ると確信していましたよ!!」
全く来る気は無かったんですけどね。
誘われて中に入ると、ホールの中央に巨大な赤色でツノのあるガチャが鎮座していた……。
おい、直径が10mくらいあるんじゃないか?コレ。
「これこそが、私が徹夜で考えたガチャです!!
中には20万個の『ハズレ』と15個の『当たり』が入っています!!
当たりを引いた場合、こちらのボードにある商品の上から順番にお渡しします!!
当然、お一人様3回までという当社の決まりはそのままで御座います!!
こちらのガチャ、本日は大サービスで1回5万円となっております!!」
そのボードをよく見ると、
1.ヌイグルミ 2.宝くじ5枚 3.お食事券1万円分 4.身代わりの指輪 5.宝くじ10枚
6.選べるカタログ 7.宝くじ100枚 8.異次元のカバン 9.異次元のカバン2
10.HPポーション 11.MPポーション 12.HPポーション(改)
13.MPポーション(改) 14.魔法の本(初級) 15.身代わりの指輪(改)
となっていた。
おい! 汚いぞ!!
1人3回じゃあ当たり続けても、3の『お食事券1万円分』までしか貰えないじゃないか!
しかも最初の当たりはどれも5万円以下じゃないか!!
やめたって言わせないように、良さそうな物はちゃんと入れているが全て後半に並べてある!!
こんな汚い手口、徹夜で考えるなよ……。
くそっ、そっちがその気なら遠慮なくやらせてもらうぜ!
ウエダさんをジャックにまで昇格させた、その名も『ジャック作戦』だ!!
問題は、俺・ウエダ・カンダ・キジマで、4人しかいない。
1人3回なら15番目まで当てるには後1人足りない事だ。
この町で強力してくれそうな知り合い……??
そうだ!!
「ちょっと待ってろ!!」
そう言い残して、俺はガチャの店を出る。
向かう先はそう、ブラックジャックの店だ!!
15分後、俺はオザキ支配人を連れてきた。
「エンドウ君、聞いたよ。なかなか大人気ない事をしてるんだってね」
「何言ってんスか! 大人気ないのは、福田さんですよ!
普通、1等をポンポン当てて帰りますか?! 1回くらいハズレ引いたっていいでしょ!」
「いや、君の言ってる事の意味が判らない……」
「オザキさんはまだ被害にあってないから判らないんですよ!! 悪魔ですよ! この人!!」
「君……お客様に対してヒドイいいようだね……」
「だって地獄を見たんスよ?! 地獄からの使者ですよ?!」
「こりゃダメだ。完全に混乱している。落ち着きたまえ」
オザキ支配人の方が偉いのかな? 年上なのは判るけど。
エンドウ支配人が本音を漏らしだした。……ヒドくね?
まぁ、本当の地獄はこれからなんだけどな、ククク。
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