#18

昼飯も食べたので3階の攻略にチャレンジする。


階段を下りると、天井までの壁があった。


その中央には幅2mくらいの通路がある。


20mも進むとT字路になっていた。


うん、これ迷路だな。




「3階は迷路だそうですよ。出てくるモンスターは、スライム・コウモリ・ビッグベアーです」




カンダさんがギルド情報を教えてくれた。


キジマさんもやってきて補足してくれた。




「ここの迷路は1日ごとに正解ルートが変わるそうですよ。なのでマップは無いんだそうです。


 どうしますか? 方法としては、右の壁に右手をあてて歩くというのがありますが」




あぁ、聞いた事ある。


でもそれって、手をあててる側がループしてない前提だけどね。


後、落とし穴とかあったら意味無い。




ここは俺らしく、天に運を任せて進もう。




「ここは俺に任せてくれない?」


「いいですよ。進んだルートはキジマがマッピングするので、何時でも帰れますし」


「ありがとう。じゃあ頑張ってみるよ」


「「??」」




二人とも何を頑張るの?って顔してる。


別に物理的に頑張る訳じゃないからね。運任せでクリアを目指すだけ。


物理的にって何かって? 壁を破壊して一直線に進む事だよ? 俺には無理だけどさ。




とりあえず、右に進む。


コウモリが現れた!! こちらに向かってくる!!


怖いので剣を振り回したら、コウモリが当たって落ちた……。


消えたので倒したようだ。どうも俺は戦闘をしている気にならないなぁ。


コウモリのドロップは『コウモリの羽』だった。やはりレアらしい。




今度は十字路に来た。気の向くままに進んでみる。


前→左→コウモリ→前→前→左→スライム→コウモリ→右→右→ビッグベアー。


ビッグベアーはそのまま熊だった。


カンダさんが対戦して、瀕死の状態になった所で俺がトドメを刺すだけ。




こんなんで良いのでしょうか?


そんな事を考えていたらレベルが上がった!


やっとレベル4になったよ~。まだHPは40だけどね……。


ちなみにビッグベアーのドロップは熊肉でした。美味いのかな?




この調子で進む。


前→前→左→ビッグベアー→ビッグベアー→右→ビッグベアー→スライム→前→ビッグベアー→左→ビッグベアー。


最後のビッグベアーを倒した先には下に降りる階段があった。


攻略成功!


そしてキジマさん、マッピングお疲れ!




とりあえず、階段で休憩。


ふと横を見ると、岩陰で判りにくいけど人が通れるほどの穴がある事に気づいた。


たいまつに火を点けて中を照らしてみると、登り階段がある!


どうやらショートカットのようだ。


そしてキジマさん、本当にマッピングお疲れ! もう必要無くなっちゃった。




「カンダさん、4階はどんな感じ?」


「4階はまた平原ですね。出てくるモンスターは虫系です」


「…………む……し………………??」


「どうした? キジマさん?」


「無理ーーー! 虫無理ーーー!! 虫イヤ虫イヤ虫イヤ!!」


「いや、モンスターだよ?」


「だって足が6本だよ? 触覚あるし! 腹がブヨブヨだったり?! ヒィィィィィ!!」


「嫌いなわりに詳しいね?」


「虫虫虫むしむしむし無視無視無理無理無理!!!」


「……帰ろうか」




俺達は穴を通って2階に戻った……。


2階にあった大きな木の洞うろに出るんだな。これはギルド情報には無かったみたい。


まあ知ってても教えてくれなかったかもしれないし、冒険者が報告してないかもしれないし。




ダンジョンを出たら、外はもうすぐ夕方って時間になってる。


とりあえずギルドに行って依頼達成を報告しなくちゃ。




「お。お帰り。依頼達成か?」


「はい。達成です」


「あの、福田さん。ちょっといいですか?」


「いいよ、なに?」


「明日もダンジョンに行きますか?」


「その予定だけど?」


「じゃあ俺達もお供しますよ」


「えっ、いいの? じゃあお願いしようかな?」


「おいおい、お前ら、ギルドの職員の前で堂々と『飛ばし勧誘』してんじゃねぇよ!」


「あぁ、すみません」


「飛ばし勧誘?」


「ギルドを通さず、直接交渉する事だよ。やってるヤツは多いとは思うが、あまり推奨はしねぇ」


「信用の問題とかお金の問題とか、色々問題が起きるからね。信用出来ないと危ないんですよ」


「あぁ、なるほど。じゃあギルドを通しましょうか。良いですよね? カンダさん?」


「問題無いですよ。よろしくお願いします」




依頼達成報告を終わり、また依頼を出す事に。


その間に、カンダさん達は報酬を受け取っていた。




「福田さん、ドロップ品はどうしますか?」




キジマさんがカバンを持ち上げながら聞いてきた。




「知り合いの所に売ろうかな~と思ってるんだけど、ダメ?」


「ギルドでも買取しますけど大丈夫ですよ。では、そこまで付き合いますよ」


「じゃあ行きましょうか」




ウエダさんの所に売るつもりなんだよね。


なんだかんだとお世話になってるし。




そういえばドロップ品は折半って決めてたが、全部俺ので良いってさ。


聞けば、レアドロップ出したのは全部俺だからだそうな。


ノーマルドロップは売値が安いから、必要無いみたい。数も少ないしね。




ウエダさんの店に入ると、珍しくウエダさんが店番をしていた。




「お? 師匠、帰ったか。よし、カジノの町に行こうぜ!!」


お前は病気か??

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る