38.お断り
純白のコートを来た二人の男女は何も言わずにただこちらに近づいてくる。
彼らが何者なのかはわからない。
ただ善人では無さそうということだけはわかる。
ひとまず怖がってこっちに逃げてきたルルの前に立ち二人の謎の人物の様子を伺う。
「どれが言ってた冒険者かは知らないけどウチは予定通りその後ろに隠れてる猫人族を狙うから」
「俺は多くのデータをあの方に持ち帰るためにも戦わさせてもらうよ」
「好きにすればいいけどそれで死んだりしないでね。迷惑だから」
やはりこの人達の目的はルルのようだ。
「貴方達が何者かはわからないがこれ以上暴れられては困る」
「ウチらを知らないの? ってそれも仕方ないことか」
「俺達は悪質パーティーとやらで呼ばれることが多いからね」
「あんた達がルルを利用しようとした大元のやつらね!!!」
「利用……そういう解釈もできるけど俺達はもっと革新的な活用をするんだよ。あの方の掲げる目的の為にね。おっと、これ以上お喋りをしていたらお叱りを受けかねない。俺はあの方をお支えする
「ウチはフォーコ」
「本当は俺としても手荒なことはしたくないんだけど君たちの様子を見ていると無理そうだからすぐに終わらせようか」
戦闘が本格化する前に二人の力を見ておく必要があるかもしれない。
僕はいつも通りスキルを発動し二人のステータスを見る。
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名前:アルベロ・シュレンガイス
レベル:3
筋力:558
体力:467
耐性:321
敏捷:79
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アルベロシュレンガイス。
もう片方にいる女性とは性格の相性があまり良さそうには見えない男だ。
数値的にはそれほど高いとは思えない。
なんだったらディア一人でも相手をできるほどだ。
しかし彼があの方という人物の部下であるということは何らかの強みがあるに違いない。
それが諜報だとかならばここに出てきているのはおかしい。
つまりは戦闘面に関する何かだろう。
スキル……それに何かがあるのかもしれない。
なぜステータスは見れてスキルは見れないんだろうか。
見れてもよくないか。
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名前:フォーコ・エリンダー
レベル:4
筋力:612
体力:565
耐性:543
敏捷:99
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フォーコ・エリンダー。
アルベロという人物に比べたら彼女の方が優秀だ。
ステータス増加阻害耐性を手に入れた今の僕よりも敏捷は高くやや速度に特化した戦い方でもするのだろうか。
ただここで疑問に思うことがある。
それはアルベロにフォーコ、二人ともこれといった武器を所持していないのだ。
もしかしたらディアやナフィーさんのように短剣をしまい込んでいるのかもしれないが。
「エト、これどうする? ルルを連れて逃げた方がいい?」
「彼らが猫人族を狙っているのならここで別々になるよりも私達で守った方が安全だ」
「確かにそうですね。よし、メイリンさんの言っていた通りに行くぞ。ルルはできるだけ僕たちの後ろに隠れて何かあったら言ってくれ」
「は、はい……」
僕たちが一通り話しを終え再び彼らの方へ視線を向けると何やら手の平を上に向け行動を起こそうとしていた。
「させないよ!! ナフィー流 ”
双頭竜の面影のある疑似的な斬撃を放つナフィーさん。
それに対してアルベロが呟く。
「
彼らの前には太く先端が鋭い木の槍が地面から突如現れナフィーさんの攻撃をそれで防御し耐えた。
「なんか最近途中で消されすぎ!!! ナフィー流 ”
技がかき消されたことに納得がいかなかったのかナフィーさんは再びアルベロ達に向かって放つ。
するとまた同じようにアルベロが呟く。
「
するとアルベロの周りには先程の地面から現れた木の槍よりかは細いが鋭く殺傷性の高そうな木槍が十五本ほど宙に現れる。
そしてその木槍は狙う気がないのかと思うほどてきとうに放たれたが確実にナフィーさんの技をかき消しさらにはルルまで狙ってきた。
「
「!?」
ディアのおかげもあってアルベロの木槍は誰にも当たることなく被害ゼロで収まった。
それにしてもスキルを二つも持っているなんて。
いやもしかしたら――。
「貴方が使うそれは応用スキルか」
応用スキル。
なんとなくでしか知らないがその様な類のスキルが存在する。
例えばアルアルにいた謎の男が使用していた
簡単に言えば元となるスキルを場に応じて利になる手段へと変化させるというものだ。
応用スキルは元のスキルが何でもいいというわけでもない。
例えばディアの場合だと
もしかしたら性能面を変化させるということはできるかもしれないが
応用スキルの使用を可能とする元のスキルはアルベロの場合はおそらく”木”なのだろう。
どんな場面でも臨機応変に対応できる応用スキルだがそれ故に工夫の思考、センスが必要になってくる。
まぁ、つまりは応用スキルを使いこなせているだけで弱くはないということだけは確かだ。
「そんな手数攻めのてきとうなスキルじゃ、私達には届かないから!!」
「ふふ、言われてるじゃん」
「一応は仲間なのに何笑ってるんだよ」
「だって事実でしょ?」
何やら彼らは言い合っているようだ。
そこにディアが割って入るように
「
ディアとフォーコの放った二つの炎は爆発を起こした。
しかしディアにはまだ炎が残っている。
つまりは何度防がれようとも手数で押し切れる。
「そんな手数攻めのてきとうなスキルじゃ、ウチには届かないから」
「なっ……!!」
「
フォーコから放たれた一つの炎の弾はディアの炎に近づくと分裂し残る炎にぶつかり強制的に爆発を起こした。
「私のスキルがっ!!!」
「また応用スキル!?」
「抵抗するのはやめておいた方がいいよ。これは俺からの最後の忠告だ」
「その忠告を聞かなかったら?」
「もちろん頷かせるまでさ。俺達でね!」
するとフォーコとアルベロの周りに十人ほどのコートについているフードを深く被る者たちがいきなり現れた。
「さぁ、どうする?」
「そうだな、もちろん――」
「お断りよ!!!!!!!!」
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