36.強者
「Bリーグ会場にいた皆さん昨日ぶりです! ギルド広報部のアスロです!! 昨日に引き続き司会を担当します! そしてそして今回は特別ゲスト! 七大パーティーの一角を統べるリーダー、インヨウさんに来てもらいました!」
「皆さんこんにちは。私は七大パーティー【インヤン】のリーダー、インヨウです。今回行われる戦いを皆さんと共に楽しんでいけたらなと思います」
「はい! 皆さん盛り上がっていきましょう!! 今回戦う者たちはBリーグで見事勝利した【ピョコット】とAリーグでたった一人で勝ち上がった七大パーティーの一角のリーダー、メイリンさんです!!!」
闘技場の構造自体はBリーグの闘技場とほとんど同じだが最も違う点は客席の数だろうか。
Bリーグの闘技場とは比べ物にならないくらいの客席数なのにも関わらずそれらが全て埋まっている。
そして少し高い位置には見知らぬ人物達が数人、立派な椅子に座っている。
その中にリーシアさんがいるのが見えたのでもしかしたらあの人達がトップパーティーなのかもしれない。
僕たちパーティーが通ってくる通路の反対側にはすでに待機している人物が一人。
遠すぎてはっきりとは見えないがあれがドッグさんも言っていたトップパーティーのリーダーで唯一参加した人なのだろう。
「今回も皆さんのお役には立てないですけど応援しているので頑張ってください!!!」
「ルル、ありがとう。よし、みんな気合いれるぞ!」
「これよりここまで勝ち上がって来た者達が最後の戦いを繰り広げます!!!!! 皆さん大きな拍手を!!!!」
圧倒されるような拍手と歓声の中、僕たちは中央へと歩き始めた。
トップパーティーのリーダー、一体どれほどなのだろうか。
「あれがトップパーティーのリーダー、メイリンね」
「あの剣、かなり上等なものだ! 一体誰が作ったのかな!?」
「さすがリーダー。は、迫力が凄いです!」
背は僕よりも高くスラッとしたスタイルで誰しもが視界に入れば反応してしまう。
さらに長い黒髪と腹部を少しばかり露出した服装、左肩には黒いケープを身につけている。
それらから感じる雰囲気はこれまで会ってきた人とはまた一段と違う何かを感じた。
「貴方がリーダーのエトか。私はメイリンだ。よろしく」
「こ、こちらこそよろしくお願いします」
「Bリーグを勝ち上がってきた君たちには期待している」
「さぁ、まもなく試合を開始します!!!」
僕たちは少しメイリンさんから距離を取り鞘から剣を抜く準備をする。
メイリンさんはその場から一歩も動くことなく僕たちと同様に鞘から剣を抜く準備をしている。
「それでは開始っ!!!!!!」
合図と共にメイリンが剣を抜きこちらに向かってくることに気がつくことができた。
僕はすぐにその攻撃に対応出来るように剣を構えた。
だがしかし――
「!!!?」
僕はとてつもない力が剣に伝わり吹き飛ばされてしまった。
今のは一体何なんだ。
メイリンさんの今いる立ち位置からでは剣が僕に当たるはずが――。
立ち上がった僕はそこでようやく気づいた。
メイリンさんの剣の刃はこれまで戦ってきた人よりも異様に長い。
剣の刃が長ければ間合いが広がり優位に戦える反面、それを扱うのは至難の業。
それを難なくこなしてみせたメイリンさん。
これがトップのリーダー。
「距離を間違えたのか。私は貴方の腕を斬り裂いたと思ったのだが」
この人やばい人なのかも!?
この闘技場内では致命傷だったり死ぬような攻撃を受けると痛みは感じるけど傷は用意された人形に移る。
だから簡単にそういう発想になるのかもしれないけどメイリンさんの場合は素でそういう事を思っていそうで怖い。
「ナフィー、私達も行くよ!!!」
「それならまっかせて!! ナフィー流 ”
ナフィーさんがメイリンさんに対して剣を振るとまるで双頭の竜が突進しているかのようにぐんぐんと進んでいく。
これまでは空気等を利用した何かだったが今回のは擬似的な斬撃のようにも思える。
「聞いたこともない流派だ。記念に覚えておくとしよう」
そう言ってメイリンさんは軽く剣を振るうとナフィーさんの擬似的な斬撃は空気と一体となって消えた。
「わ、私の攻撃がそんなにも簡単に!!? 研ぎ忘れ!?」
「さすがトップパーティーのリーダーね。でもこれはどう!
ディアはスキルで生成した炎をメイリンさんめがけて不規則な間隔で放った。
最初よりも成長しているディアの炎は速度が格段に上がっているうえにこの量を相手にするとなるとさすがのメイリンさんでもただ剣を振るというわけにもいかないようで爆発を軽快に回避をしている。
「もうぉ! すばしっこいって!!!」
「追尾型の炎、さらに爆発付き。かなり魅力的なスキルだ」
「それはどうも!!!!」
ディアの最後の炎は地面にぶつかると大きな爆発を起こし煙を発生させる。
ここだ!!!
メイリンさんの視界が奪われているこのタイミングに僕はすかさず離れた位置から斬撃を放った。
「私は知っている。貴方がどれだけ鍛錬してきたのかを。そしてそれは形となって現れていることも」
煙を断ち切るように中から激しく紫色に光る斬撃が現れる。
その斬撃は僕の斬撃とぶつかるととてつもない爆発を起こしその衝撃波が観客席まで届いていた。
「い、今のがざ、斬撃……」
僕の斬撃は微かに形となって見える。
その分相手からは多少見づらいが威力が若干下がる。
昔父さんが言っていたが斬撃を放つには努力がいる。
そして斬撃を形と成すためにはさらなる厳しい鍛錬がいると。
「……これがトップに君臨するパーティーのリーダーの実力」
「エト・アルハドール、貴方なら私の行く道を歩めるのかもしれない。それは私にとって嬉しいことであり貴方の未来で役に立つ。だから今ある全力を以って挑むといい」
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