32.パーティー対抗戦③
ガチデカチマスとの戦いが終わり僕たちはしばらくの休憩をもらいゆっくり休んだ。
そしてついに始まる勝者決定戦。
これを勝てば晴れてAリーグで勝ち上がった人と戦う事ができる。
僕が目指すものに近づけるかもしれない。
だから最後まで全力でやるのみ。
「皆さんおまたせしました!! いよいよBリーグ勝者決定戦です! 果たしてどちらが勝つのか!! これよりピョコット、アルアルが最終の地に登場します!!!!」
僕たちは今日一の歓声と拍手の中、中心へと歩いていく。
「まさか助けたあのパーティーと戦うことになるなんてね」
「なんだか心苦しいです」
「それは仕方ないことだ。僕たちはただ勝とう」
両パーティーが中心に集まったがあちらは話しかけてくることはなかった。
だがあの名前のわからない男だけはずっと僕のことを見てきている。
何か気に触るようなことをしてしまっただろうか。
「それでは行きますよぉ!!!! 開始!!!!!」
「しゃっあ来たぜ。恩人と戦うなんて気が引けるがこれは戦い。そんなのは無効ってことで行こうぜ!」
「こっちとしてもそっちの方が楽なので」
「しゃっ行くぞ!!!!!」
ルグリアさん、アリアさん、フィアさんは一斉にこちらに向かって走ってくる。
同時に僕の隣にいたディアとナフィーさんも走っていく。
そしてその場には僕とこの謎の男だけが残った。
「やろうか」
「あぁ」
走り男の近くまで行き剣を振るった。
しかしそれは防がれてしまう。
だがここから、ここから次に繋げる。
「おらぁあああ!」
僕は何度も何度も剣を斬りつけるが男はそれにしっかりと反応をし攻撃を防いでくる。
まるで僕の攻撃が読まれているかのようだ。
「――ッ!」
やはり何度攻撃をしても防がれる。
これは相手の次の行動を予測するとかいうスキルなのだろうか。
そうだとするなら非常に厄介だ。
たとえどんな奇想天外な策を考案しようともそれらはこの男の考えうる内。
試合開始してまだ時間が経っていないが早速困ったことになってしまった。
「どうしたんだ。もっと来ないのか。何を迷ってるんだ」
「面倒くさいスキルを使ってくるから困ってるんだよ」
「スキル……?」
僕は一度男から離れてどうするべきか考えることにした。
「よくわからないことを言うようになったんだな。エト」
「……!!!?」
なぜこの男は僕の自己紹介よりも前から名前を知っていたんだ。
一体どこで知ったというのだ。
いや落ち着け。
今はそんなことを考えている場合ではない。
この状況の打開策を考えないと。
「そうか。スキル。早く決着をつけないとあっちが暇になるからか」
そう言われ僕は後ろの方で戦っているディア達を見た。
すると現在ディアはルグリアさんと戦っているようでナフィーさんはフィアさんを脱落させアリアさんと戦っているみたいだ。
「そうみたいだな」
「じゃあ、行こう」
男は剣を横向きにし左手の手のひらを柄から剣先までまるで撫でるように動かす。
「
徐々に剣が凍りついたようになり最終的には全体が氷化していた。
僕はとっさにスキルを使い男のステータスを見ようとした時、男が剣を何もないところに振った。
すると地面から尖った氷がこちらに向かって出現し始め僕の足を凍らせた。
こうなってはステータスを見ている場合ではない。
動けなくなった以上、この氷をどうにかしないと。
「行くぞ。エト」
「――ッ!!!!」
男がこっちに剣を向けて走ってくる。
急いで氷を壊す為に剣で殴るが少しかけるくらいでヒビがはいるなんてことはなかった。
みんなが頑張っているのにこんなところで終わるわけにはいかない。
今は氷をどうこうするというよりもあの男をどうにかする方を優先するべきだ。
僕は剣を横に振り走ってくる男めがけて斬撃を放った。
「!?」
斬撃は男に当たったがどうやらギリギリのところで剣で防ぎ耐えたようで致命的なダメージを与えることは出来なかった。
「斬撃……。さすがエトだ。エトはそうでないと」
「僕はそんなことを言われるような人物じゃないと思うけどな」
普通の攻撃では壊すことの出来なかった氷に斬撃を放つと氷は弾け散った。
「続きをしよう。あの戦いの続きを!!」
「よくわからないが受けてたとう」
***
***
「
「おらぁあああ!!!!!」
ドカーンッ!!!!
ディアのスキルで生成された炎はルグリアの剣に絶ち切られ途中で爆発を起こした。
「くっ、対処してもしなくてもどっちにしろダメージを喰らうとはな。これじゃあ近距離の俺は不利でしかねぇ」
「でしょ! さぁ、まだまだあるんだから覚悟しなさい!!」
「随分面倒くさい戦いになりそうだがそれを感じるのはそっちもだぜ」
「どういうことよ」
「まぁ、見ておくんだな。
ルグリアが声に発して言うがディアの目には変わりのないルグリアしか映っていない。
ただ微かにルグリアから感じる雰囲気が変化したことだけしかわからない。
「何をしたのよ!」
「だからお楽しみだ! その為の観戦禁止だったんだからな!!! さぁ、来い!! お前の面倒くさいスキルと俺の面倒くさいスキル、面倒くさい同士のぶつかり合いだ!!!」
「誰が面倒くさい人よ!!!!!」
ディアは余っていた炎を全てルグリアに向かって放った。
しかしルグリアはその炎に対して反応出来るはずなのにも関わらず何の抵抗もしようとしない。
そして炎はルグリアに直撃し大爆発を起こした。
徐々に消える煙の中には少し痛がっているルグリアの姿があった。
「おいおい、これでもこのダメージ受けるなんてどんな火力してんだそのスキル」
「私のスキルが全然通用してない……!! 一体なんで!」
「ようやく俺の言葉を理解したか。俺の面倒くさいスキル、
「そういうことね。なら……その鎧が限界を迎えるまで攻撃するだけよ!!
ドカーンッ!!!
ディアは一斉に炎を放つ。
「……やっぱりちょっとは対処しないときついな。さすが面倒くさいスキルだぜ」
「面倒くさくないし!!」
「でもスキルを使ってる時は案外隙だらけになるみたいだな」
「えっ……?」
するとディアの頬からスーッと血が垂れ始める。
「い、いつの間に!?」
「爆発の時に他に用意してた短剣投げてダメージ与えようと思ったらまさかの爆発で軌道をずらされるなんてな」
「……」
「これでわかったか? たとえ面倒くさいのぶつかりあいでももろいそっちの方が先に散るんだ。勝負ありだな」
「勝たせない……」
「俺の勝ちだ」
「勝たせない勝たせない……ディアもエトも戦ってる、ルルも見てる。それなのに負けられるわけがないでしょ!!!!」
「ならすぐにこの戦いを終わらせてどっちが面倒くさかったかわからせてやる!!!」
「だから私は面倒くさい人間じゃないって!!!!!!!!!」
ルグリアはディアに向かって走り出しディアはスキルを発動した。
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