第三章 パーティー対抗戦
26.パーティー対抗戦予選
「そう言えばパーティーの名前決めないと」
「そうそう!! 私がいいのを思いついてあげるからちょっと待って。一旦髪結ばないと」
「私は皆さんが決めた名前ならなんでも気に入ります!」
僕の家も最初にここに来た時に比べて随分騒がしくなった。
正式にナフィーさんが僕たちのパーティーに入ってくれることになりあのあと眠りから覚めたあとみんなでギルドに行きルルとナフィーさんのパーティー登録をしてもらった。
これにてパーティー対抗戦の予選の参加条件を満たしたのだがパーティー名を考えてほしいとルリアさんに言われた。
別になくともギルド側が勝手に決めるので面倒ならいいですけどとも言われたがさすがに自分のパーティーの名前をギルドの人に決められるのは少し嫌だし、ださいのになっても困るので自分たちで考えることにした。
そして今、僕の家でテーブルを囲むように僕を含めた四人が椅子に座っている。
「エト! ぼーっとしてないで考えてよ」
「そんなこと言われても思いつかないからしょうがないだろ」
「これあなたのパーティーなんだからしっかり」
「逆にないのか? 良い名前」
「もちろん考えてあるわよ。エディルナってのはどう? それぞれの名前の一文字目をとって合わせたのよ。案外良いでしょ!」
「良いのかもしれないけど、もしここに新しい人が来たらその度にパーティーの名前が長くなっていくぞ」
「そ、それはどうにかすればいいのよ」
「よし、却下」
次に髪を結んで本気でパーティー名を考えているナフィーさんに話を振った。
「なにか良いの思いつきました?」
「待ってね。今出そうだから凄いのが、出る。あっ!! クローバーとか良いんじゃない! うんうん、いい感じ」
「良いんですけど五人目来たらどうするんですか」
「そ、そうだな〜、クローバーワンとか???」
「却下で」
次にみんなの話をずっと笑顔で楽しそうに聞いているルルにもパーティーの名前の案がないかと聞いてみることにした。
「ルル、なんかないか?」
「私にそんないい名前はつけられないですけどひとつくらいなら考えました!」
「おっ、なんだ?」
「キャットキャットとか……」
「可愛いわね」
「うんうん、可愛い」
「確かに可愛いな。だがしかしキャットなのはルルくらいだしな」
するとディアがこちらを見て話しかけてくる。
「で、散々私達の案を却下してきたけどエトはなにかないの?」
「そうだなぁ」
ん〜全く思いつかない。
こういうなにか名前をつけるなんて機会がそもそもなかったしそのセンスが恐らく欠如している。
このままみんなにもっと時間をあげていい案を出させるのがいいのかもしれない。
「ね〜、早く言ってよ! リーダーでしょ!」
そういいながら体を動かすディアの頭にあるトレンドマークの赤いリボンカチューシャが前後左右に揺れている。
それはまるで動物の耳がぴょこぴょこと動いてるように思える。
ぴょこぴょこ……ぴょこぴょこ。
「ピョコ……ピョコット」
「ちょっと……何よそれ!!」
「いや、ディアの頭のがそんな感じに揺れてたから」
「私のことは見なくていいからなにか良いのを早く言ってよ!」
すると静かだったルルがいきなり椅子から降りた。
「そ、それ可愛いです! それがいいです!!!」
「あ、え、え??」
「え?!」
「さすがに……」
「だ、ダメですか……?」
「よし、これで行こう」
耳をしゅんとさせ目を輝かせるルルに敵う者など誰一人としておらず満場一致で僕らのパーティー名は『ピョコット』になった。
案外そこまで悪くないのかもしれない。
可愛い要素を入れつつそこまでださくない。
「それじゃギルドに伝えに行こうよ!」
「そうだな」
***
「あ、エトさん! もしかしてパーティー名が決まったんですか?」
「一応決まりました。色々話し合って色々あってそれでまぁ、ピョコットって名前になりました」
「ピョコット……ですか?」
「はい、ピョコットです」
「物凄く可愛い名前ですね! これは女性人気間違いなしですよ!」
「そうですかね。まぁ、これでお願いします。それでこれからはどうすれば良いんですか?」
「はい! 参加登録がこれにて完全に完了しましたのでこれからは予選突破を目指して頑張って頂きます。ちなみにですが予選期間は残り二日ですので頑張ってください!」
残り二日しかないのか。
でも一応、ナフィーさんと一緒に行ったリヒトリア小規模ダンジョンで手に入れた魔石はルリアさんの言っていた通りに残してあるしそれに剣を作る時に余ったセレンティバイトを少しナフィーさんから貰ったので多少の余裕はあると思う。
でもそれで隙を突かれては話にならない。
ここはもう少し回収しに向かうとしよう。
「あ! 今魔石等を持っているなら集計致しますよ!」
「本当ですか? じゃあ、お願いします」
僕はルルに「リュックをお願い」と言いそれに頷いたルルはリュックを背中から手に移動させそれを受付に置いた。
ルリアさんはそのリュックを受け取ると「しばらくお待ち下さい」と言い奥へと歩いていった。
「高い得点になっているといいですね!」
「私達のパーティーは最近結成されたパーティーのリーグ、所謂Bリーグに属してるしそれの予選となればこの強いメンバーならきっと高得点高順位間違いなしよ!!」
「それにセレンティバイトも一応入ってるからそれなりになると思う」
「でももしかしたら他にもとんでもない新規パーティーがあるかもしれないしな」
「心配しすぎよ! こうもっと自信を持って!!」
僕たちが会話をしているとリュックを持ったルリアさんが「おまたせしました」と言いながらこちらに戻ってきた。
「あ、こちらお返ししますね。中に硬貨を入れておきました」
「ありがとうございます」
「それで得点なのですが魔石個数四十九のうち品質Cが八個、品質Bが三十一個、品質Aが十個でした。それと魔宝石が少々。一応これをご覧ください」
そう言うとルリアさんは紙に色々と書かれたものを差し出してきた。
「こちらは得点計算に関することが記載されている紙です。魔石は個数が得点、魔宝石は一個あたり五点、品質Cは一個あたり一点、品質Bは一個あたり三点、品質Aは一個あたり五点です。なのでエトさん達の現在の得点は二百五点ですね」
「ちなみにその得点は順位で言うと何位ですか?」
「そうですね。エトさん達のいるBリーグですと三十四パーティーのうちで三位です! 二位が【アルアル】で二百十五点、一位が【ガチデカチマス】で二百四十点です」
Bリーグの上位のパーティー、どこも変なパーティー名ばっかな気がするんだが。
ま、それより一位との差が少しあるからこれをどうにか縮めていかないとな。
「予選突破は上位十パーティーですので頑張ってください!!」
「色々とありがとうございます。よしっそれじゃあダンジョンでも行くか!!!」
「賛成!!」
「どこまでもついていきます!」
「私、頑張っちゃう!!」
僕たちはさらに順位をあげるために今日もダンジョンへと向かった。
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