17.おかえり
「ただいま〜!! 私が帰ってきたわよ!」
「もう帰ってきたのか」
「もうちょっとゆっくりしてから帰ってこようと思ったのに早く帰ってきてあげたんだから喜んで」
「てか、まだ朝早いんだから静かにな。んじゃあおやすみ」
「もう起きなさいって!!!」
ディアは僕が一生懸命温めた布団を引っ張り放り投げた。
その瞬間に僕の体は冷たい空気にさらされ眠気が一気に吹き飛んだ。
「そう言えばナフィーのとこに行ったんだって?」
「あぁ、お礼をするついでに剣を作ってもらってる」
「行くなら私がいるときに行ってよ! 私も会いたかったのに」
「場所はわかってるんだからいつでも行けるだろ」
「それもそっか。ってそれよりお客さんが来てるよ!」
「ディア、今日なんか会話が色々と忙しいぞ」
「良いから!!」
荷物整理とやらをしにどこかに行っていたディアが次の日になると帰ってきたのだがやたらとテンションがおかしい。
もとからおかしかったのかもしれないが余計におかしい。
なにかあったのか。
そんなことを思いながら寝起きの僕はディアに連れられて一階に降りていく。
下に着くとルルの姿がありその隣には申し訳無さそうな表情をしているナフィーさんが座っていた。
「どうしたんですか?」
「す、すすすいませぇぇぇん!!!!」
「えっ!?」
ナフィーさんは椅子から立ち上がると凄い勢いで頭を下げてそういった。
しかし僕からするといきなりのことでさっぱりわからない。
「私がこの家に帰って来る途中でたまたま会ってね、エトを探してるって言うから連れてきたのよ」
「そうなのか。それでどうして僕を探してたんですか?」
するとナフィーさんはもじもじしながら顔を下に向けていた。
しばらくして僕の顔をちらっと見ては下を向くという謎の動作は数回繰り返した後最後にはしっかりと僕の顔を見て口を開いた。
「素材が足らなかった〜」
「…………?」
「一番大切な素材がないことを忘れてた」
「……はい?」
「あ、いや別になくても作れはするんだけどお父さんを納得できるようなものはそれがないと作れなくて」
「はい」
「なので取ってきます!」
「はい。はい? 一人で行くんですか?」
「鍛冶職人たるもの素材は自分の目で見て良し悪しを判断しなきゃなので!」
僕は鍛冶職人ではないから鍛冶職人の常識とかはよくわからない。
確かに素材の良し悪しは職人が見たほうがはるかに精度が高いのは間違いない。
きっとだが素材というのはダンジョンにあるのだろう。
ダンジョンは魔石以外にも様々な素材などがあったりする。
でもそんなところにナフィーさんが一人で行くにはあまりにも危険すぎる。
何よりあまりにも効率が悪い。
「僕もその素材探し手伝いますよ」
「え! 本当にいいの?」
「僕が作って欲しいと頼んだわけですし。手伝えることがあるなら手伝いますよ。それにナフィーさんがクレイドさんに認められて欲しいですから」
「あの人が言っていた通りみたい。お人好しなんて冒険者には必要ないのに。でもそれが君の良さなのかもしれない。よしっ! じゃあ、早速行こう!!」
あの人って誰のことなのだろうか。
疑問を抱きながら僕はダンジョンに向かう準備を始めた。
***
僕は家を出ていつも通りダンジョンに向かう道を進んでいったのだが後ろにいたナフィーさんに「あれ、どこ行くの」となぜか止められた。
ダンジョンはこっちの方向なのにどこへ行くのと言われても困ると思っていた僕だがすぐにナフィーさんの言っていたことの意味がわかった。
どうやらナフィーさんが作る剣の素材は公共ダンジョンというところにはないそうで家から少し歩いたところにあるリヒトリア小規模ダンジョンにあるそうだ。
そして僕達は今、そのリヒトリア小規模ダンジョンの前までやってきている。
名前の通りこのダンジョンは十階層までしかない。
しかしこのダンジョンには問題があった。いや僕に問題がある。
なんとこのダンジョン、推奨レベルが2以上なのだ。
つまりレベル1だとボコボコにされるということだ。
周りにはこころ強い仲間はいるもののそんなボコボコにされるところを見られるのは絶対にご免だ。
だから出来るだけ魔物の行動を見極めて慎重に行動していこうと思う。
「じゃあ行くよ〜! いざリヒトリア小規模ダンジョン攻略の旅へ〜!!!」
「お〜〜!」
「お、お〜?」
「エトはノリが悪いね〜?」
「おー」
僕達はリヒトリア小規模ダンジョンの中へと進みだした。
@@@@@@@
読んでいただきありがとうございます。
もしよろしければいいねや★★★、フォローをお願いします!
今後の励みになりますのでぜひ!
確認はしていますがもし誤字脱字や矛盾などがありましたら遠慮なく指摘してください。
よろしくお願いします!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます