4.パーティー募集

 これからどうしようか。リーシアさん達が言っていたようにパーティーを組むためにメンバーを探すべきなんだろうけど本当に組めるのか?

 いや、まずそれより先にギルドに行って魔石を換金してもらう方が先か。そのあとは……ダンジョンにでも行くとするか。


 僕はやけに重たいリュックを背負ったままギルドへと向かった。


***


 片手でギルドの扉を開く。

 中には既に様々な人達が集まっていた。

 僕はキョロキョロしながら受付まで歩いていく。


「あ、エトさん! おはようございます!」

「おはようございます」


 この明るい女性は受付のルリアさんだ。

 僕がこの都市に来て困っている時に助けてもらい色々な手続きをしてくれた人でもある。恩人だ。

 

「そう言えばいつも来てくださってるのに昨日は来ませんでしたよね? 誰かと出かけてたりしたんですか?」

「あ、いやそういうわけじゃなくて。実は五階層に落ちちゃってボスと戦ってたんです」

「えっ!! エトさんって確かまだレベル1でしたよね……大丈夫だったんですか?」

「もう終わりだって思ってたんですけどリーシアさんって人が援護してくれてなんとか倒せて……それで疲れで一日くらい寝込んでたみたいなんです。それで昨日は来れなくて」

「そ、そんな大変なことが……! 公共ダンジョンの修正依頼を出しておきます! それよりリーシアさんってあのリーシアさんですよね!」

「この都市に何人いるかは知りませんけど多分そのリーシアさんだと思います。でもそれがどうしたんですか?」


 ルリアさんはやけにテンションが高かった。

 そんなにリーシアさんに興味があるのだろうか。

 僕はひとまず重いリュックをカウンターに置き会話を続ける。


「エトさん知らないんですか! リーシアさんはこのダンジョン都市でいくつかあるトップパーティーの一つのリーダーなんですよ!」


 確かにリーシアさんはあの五階層のボスの攻撃をいとも簡単に跳ね返していたし尋常じゃない強さを持っていることはなんとなくわかっていたけどまさかそこまでの人物だったとは……。

 もしかして僕とんでもない人にとんでもない恩を持ってしまってる?!


「あぁ〜私もリーシアさんの住んでいる屋敷に一度でも良いから入ってみたいですよ……」

「中、凄かったですよ」

「……入ったんですか?」

「起きたらいました。はい」

「な、なんでエトさんはそんなに気に入られてるんですか!! もういっそパーティーに参加させてもらえるんじゃないですか?!」

「流石にそれはないと思いますけど……レベル1ですし……」

「でも戦闘向けではありませんがエトさんのスキルは珍しいものなので重宝されると思いますよ!」

「そうだと良いんですけど……。あ、そう言えばパネルにこんなのが表示されてるんですけど何かわかりますか?」


 僕はそう言ってルリアさんにステータスの書かれたパネルを見せる。

 そして ”未習得の為、表示不可” と書かれた部分を指でさす。

 う〜んとした表情をしていたルリアさんだったがしばらくして何やら話し始めた。


「私はレベルをあげるとかしないのでよくわからないんですけど、ここに来る人達の話しだとこの表示は新スキルの解放が出来る時に付くそうですよ。でも新スキルを獲得するのはレベルが上がった時に低確率で……とか言っていた気がするんですけどね」

「まだレベル1なんですけどなんで手に入ったんですかね?」

「専門的なことはわかりませんがエトさんがレベルの上がらない体質だったりするんじゃないですか?」


 そんな体質あってたまるか!!

 必死にレベル上げをしても上がらないとか……。

 でもドッグさんが言っていたように結局はレベルだけじゃなくてスキルや技量がものを言う世界だからそこまでレベルにこだわらなくてもいいのかもしれない。


 なら今の僕が目指すべきことはレベル上げではなくとてつもなくステータスを上げることだな。


「でもレベルが全てじゃないですからね! 結局のところは技術、知識とステータスが物を言う世界ですから。あ、長話をしちゃいましたね。すいません、それじゃあ換金しますので少々お待ち下さい」


 ルリアさんはそう言うとリュックに入っていた魔石を取り出して一つ一つ丁寧に籠の中に入れていく。全てを入れ終わると籠を持って後ろの方へと向かっていた。

 そしてしばらくしてルリアさんは布袋を持ってこっちに戻ってきた。


「それではこちらが今回の報酬です! 五階層ボス――アーブルを倒したので報酬はさらに増えてますよ!!」

「ありがとうございます! あ、それとパーティーを組もうかと考えてるんですけどどうすればいいんですか?」

「パーティー結成ですね。でしたら色々と書類に書いてもらってあちらの掲示板で募集をすることが出来ますよ。あとはエトさんご自身でスカウトするという方法もありますが……どうしますか?」

「じゃあ、一応掲示板に募集をしときます」

「わかりました。では今書類を持ってきますので待っていてください」


 ルリアさんは急いで後ろに向かい無数にある棚のうちひとつを引っ張り中のものを取り出す。

 そしてこちらに戻ってきて近くにあったペンとともに目の前に出してきた。


「ではこちらにお名前とレベル、ステータス、スキルを記入したあと加入条件を記載して最後にパーティーの拠点となる所在地を書いてください」


 僕はペンを持ちスラスラと書き始める。

 名前、レベル、ステータス、スキルを書き終えたところで次は加入条件だ。

 やっぱりそれなりに強い人が来てほしいって思いばかりで厳しい条件にしたら絶対来ないだろうしかといってあまりにも低すぎたら変なやつが来るだろうし、条件は普通とかでいいか。

 レベルはさすがに2以上にしておこう。ステータスは普通、スキルは特に問わないっと。

 それと拠点はとりあえず僕の家でいいか。

 書類に書き終えてルリアさんに提出した。


「では後ほど掲示しておきますね! それでエトさんは今日どうされるんですか?」

「今日もダンジョンでレベル上げとスキルが何なのかを試してきます!」

「そうですか! ではお気をつけて!」


 僕は硬貨の入った布袋をリュックに入れてギルドをあとにした。






@@@@@@@

読んでいただきありがとうございます。

もしよろしければいいねや★★★、フォローをお願いします!

今後の励みになりますのでぜひ!


確認はしていますがもし誤字脱字や矛盾などがありましたら遠慮なく指摘してください。

よろしくお願いします。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る