第5話 レベルアップ
新たに仲間となったクロトを引き連れ、ブルースライムを探す。暫くして2匹のブルースライムを発見した。
「緑魔法を試してみよう。クロト、俺が1匹を魔法で攻撃するから、もう片方を頼む。お前の戦いぶりを見せてくれ」
クロトはコクコク頷く。魔力供給による強化が施されている今なら、通常のブルースライムに引けは取らないはずだ。緑魔法については、メルフィーナから初歩的なものをいくつか教えてもらっている。クロトの契約と召喚であと一発分しかMPはないのだが、回復アイテムもあるのだ。スライム相手ならなんとかなる。
「
F級緑魔法【
「クロト、行け!」
クロトは猛スピードで走り抜け、ブルースライムに突進を仕掛ける。この突進で相手は吹き飛ばされ、倒れてしまった。契約前と素早さが全く違う。S級の召喚ともなると、強化の上がり幅も大きいのだろうか。
『S級の召喚による強化ですと、全ステータスに+100の補正が付きます』
ひゃ、100もか!? クロトのステータスを鑑定眼で確認する。
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クロト 0歳 性別なし ブルースライム
レベル:1
称号 :なし
HP :105/105(+100)
MP :100/100(+100)
筋力 :101(+100)
耐久 :101(+100)
敏捷 :102(+100)
魔力 :101(+100)
幸運 :102(+100)
スキル:打撃耐性
補助効果:召喚術/魔力供給(S級)
スキルポイント:0
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強くなり過ぎだろこれ… 召喚士が国から重宝される訳だ。レベル1のスライムを配下にしてこの強さである。軍隊に運用すれば即戦力だ。
『少々訂正があります。S級召喚術を所持しているのは、現在あなた様だけです。他の有象無象はB級・C級が精々で、その強化値も+10~20程度です。スライムを配下にする程度では即戦力にはなり得ません』
マジか。レベル1でこのスキルを所持するのも十分チートだな。それにメルフィーナに褒められたのって初めてじゃないか? ちょっと嬉しい。
しばらくして、クロトがブルースライムの3匹目を倒したところで、ファンファーレが鳴り響いた。これはアレか! 定番のアレなんだな!? 目の前にステータス画面が現れる。
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レベルアップ! レベル1 ⇒ レベル2
ケルヴィン 23歳 男 人間 召喚士
レベル:2
称号 :なし
HP :20/20(+10)
MP :23/35(+20)
筋力 :3(+2)
耐久 :3(+2)
敏捷 :9(+6)
魔力 :15(+10)
幸運 :12(+8)
スキル:召喚術(S級) 空き:8
緑魔法(F級)
鑑定眼(S級)
成長率倍化
スキルポイント倍化
経験値共有化
スキルポイント:100
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おお、パッシブスキルのおかげで成長が著しいぞ。ガンガンMPを消費する予定の俺にとっては嬉しい限りだ。スキルポイントも100入っている。
『ステータス画面からスキルの項目に移ってください。スキルポイントを使うことで、新たなスキルを得ることができます』
「ところでさ、この世界ではステータス画面とか一般的に知られているのか? レベルアップ時に勝手に現れたけど」
『知られています。本来はステータスと念じることで目の前に現れる仕様です。こちらの画面から自分のステータスの確認、スキルの取得、パーティ操作を行うことができます。ただし、他人のステータス画面は見ることができません』
他人のステータスを見るには鑑定眼が必要ってことね。それにしても随分ゲーム的なことが浸透している世界なんだな。生まれてずっとそんな調子じゃ疑問にも思わないのか。
「それでは、スキルを開くとしますか」
ステータス画面からスキル項目を開く。画面びっしりにスキルの名前と効果、必要ポイントが並んだ。全部でいくつあるんだよ。
『全てのスキルはまだ表示されません。条件を達成しなければ取得できないスキルもありますので』
「召喚術は普通に取得できたじゃないか」
『普通ではなく特別処置です。転生前に選んで頂いたスキル項目は言わばボーナスです』
「この世界ではそのボーナスもなしってことか。まあ仕方ない」
クロトに辺りの警戒をさせて、スキル項目を流し読みする。
「……なあ、取得に必要なスキルポイント少なくないか? F級スキルなんて10ポイントだぞ」
『スキルポイントには生まれながらに持つ才能値ポイントと、レベルアップ時に手に入る成長ポイントがあります。人によりその値は違いますが、一般的な才能値ポイントは50、成長ポイントは5です』
「おい、俺の成長ポイント100だぞ。倍化を考慮しても数字がおかしい」
『ちなみに転生前に使用したのは才能値ポイントです。スキルによって前後はしますが、必要なポイントの目安はF級が10、E級が20、D級が40、C級が80、B級が160、A級が320、S級が640です。低級のスキルから順々に取得する必要がありますので、S級の取得には計1270ポイント必要ですね』
「……一般人はレベル100になってもB級までしか取れないな」
『……そうですね』
「……俺、レベル1でS級2つも持ってるんですけど」
『……ほら、記憶も代償にしましたし』
チートにチートを重ねて今の俺がいる訳ですね。この世界の異世界人は皆バグってるんだと信じたい。いるかは知らんけど。
『あくまで一般人の場合です。中には人外や魔王と恐れられる者もいます』
気にしないことにしよう。ステータスの上がり幅はスキルに比べれば可愛いものだし。変なことをしない限り目立つことはないだろう。とりあえず、スキルの取得は帰ってゆっくり確認しよう。クロトに指示を出しながら、残りの討伐に向かう。
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