第3話 惑星エデン~生物進化

 彼らはこの惑星にエデンと名付け、超大陸をパンゲア・エデン、超海洋をパンサラッサ・エデンと名付けた。

 

 基地が周回を始めたことで地上に潮汐力が作用し、地殻に亀裂が入り、大陸、地溝、海溝が生まれた。この地軸を安定させる作業の間、地殻を全体を覆う高潮と引き潮が何度も繰り返され、地殻に亀裂が入り、大規模な地殻変動が始まった。

 分裂を開始した大陸に遮られ海流が複雑に入り組み気候を生まれた。季節風が生じ、潮汐運動が広大な干潟をつくり、海洋生物の陸上進出が始まった。

 赤道直下から温暖な気候の一帯には緑が繁茂し、高気圧帯には砂漠と草原が、高山と極地には積もった氷雪で永久凍土と氷河が生まれ、多種多様な生物の揺り篭となった。


 エデンが公転軌道を数万数千万周回する間に、地表には環境に適応した生き物で満ち溢れ、進化を始めた。

 その際、地球とは少し違う進化があった。

 一つは地球では哺乳類は恐竜の絶滅後に台頭したが、ここでは恐竜の繁栄と哺乳類の台頭が平行して起きた。

 ジャイアントイパクトで再構成された月が徐々に離れて行く形で重力が安定していった地球と異なる環境で発生したせいか、恐竜は早い段階で鳥類へと分化を始めた。結果、安定陸塊パンゲア・エデンを母体とするエクウス大陸では恐竜と鳥類が共存する竜鳥生態系が出現したのだ。アフリカ獣類に該当する系統も発生したが、恐竜との生存競争に敗れ絶滅した。

 プレート継ぎ目に当たる海溝に沿った極北のターパン諸島では海豹、海豚、鯨などの祖先に当たる生物が一部海に活路を見いだしたがここも海竜と競合し、海洋性哺乳類への進化は閉ざされた。

 陸地の分割、移動が起きてすぐににパンゲア・エデンから分離したため恐竜の生息数が比較的少なかった島大陸ハフリンガーでは、逆の現象が起きた。恐竜が哺乳類に駆逐された。ちょうど、地球の南半球の陸塊で有袋類が繁栄したのと似た状況に当たるかもしれない。

 このハフリンガー島大陸にはウサギネズミの齧歯類、ウシヒツジヤギ系家畜系偶蹄目、馬、駱駝、犀などの奇蹄目、いわゆる北方真獣類の祖先が生息していた。その中に、最終的に人類に至る種と肉食目の間の種に交雑が発生し、双方の特徴を持つ獣人が誕生した。彼らは獣人にミアキスヒューマンと名付け、興味と好奇心を持って観測を始めた。地球にはこのような生物は存在しなかったからだ。鳥に進化した小型獣脚類と始祖鳥の仲間がかろうじて生き残った島大陸ハフリンガーでは、充分な広さと温暖な気候に恵まれて、人類と獣人は目覚ましい進化を遂げていった。

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