11-1.飛鳥の想い
「うわ......凄い人だな」
優馬の言う通り昼時ということもあってか、キッチンカーの集まった広場には大勢の人で溢れかえっていた。
気分はさっきよりかなりマシになったのだが、まだ快復とまではいかなかった。、
「ねえ京介大丈夫? 顔色悪いけど」
「お、おう。大丈夫」
俯き気味だった京介の顔を覗き込んできた飛鳥に思わず反射的に顔を逸らしてしまった。
変な風に取られていないか不安になってすぐに飛鳥の方に向き直ると、眉を八の字に曲げてちょっとだけ口を尖らせていた。
「ふーん。ならいいけど」
機嫌は、よくなさそうだ。
「ご、ごめん。急に覗き込まれてびっくりしてさ」
「あそ。てか京介、気になってる事聞いていい?」
「お、おう。なんだよ改まって......」
「
「え?」
なんで突然心奈の話するんだ?
相変わらず機嫌の悪そうな表情を崩さない飛鳥に愛想笑いして答える。
「んー、話すようになったのは本当最近だよ」
「それであんな仲良いわけ?」
「仲、いいか......?」
合わないわけではないが、とぽそりと呟くと突然飛鳥に腕に抱きつかれた。
「お、おい飛鳥!? 急にどうした!?」
「.........なんとなく」
「なんとなくって......」
心臓が壊れるんじゃないかってくらい激しく脈打っている。
好きな女の子に腕に抱きつかれている。
密着しているせいか隣から強烈に香る飛鳥の匂いが頭をクラクラさせる。
なんとなくでこんな事されたらたまったもんじゃないんだが。
「おい飛鳥......」
「京介の心臓、すっごいバクバクしてる」
「はあっ!?」
意地の悪そうな表情で見上げてきた飛鳥から慌てて距離を取ると、お腹を押さえた飛鳥に笑われてしまった。
「あははっ。京介、顔真っ赤だよっ!」
いつぶりだろう。こんな飛鳥の顔を見たのは。
小さい頃当たり前に見ていたのに、いつの間か見たくても見られなくなってしまった飛鳥の笑顔。
この顔が見れただけ今日ここに来た甲斐があったのかもしれない。
「どうしたの? バカにされてるのに固まってにも言ってこないなんて、京介らしくない」
「うっせえな。ほら行くぞ! グズグズしてるとどんどん混んじまう」
「うん。ねぇ京介?」
「ん?」
「私ね、ずっと京介の事好きだったんだよ」
未来からやってきたオレの妻(自称)が、君じゃない他の誰かに無理やりくっつけようとしてくる件 @HEHEI
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