10-3.遊園地





「「うぇえええ.........」」



 遊園地内の芝生広場で京介と心奈は並んでベンチに座り込み、胃から込み上げてくる不快な胃酸の逆流に耐えきれずに仲良くえずいていた。



「京ちゃん......回し過ぎだよ......」



「お前だって、そっちがその気なら、あたしだって本気で回してやるって、乗り気だったじゃねぇか......ううっ!?」



 2人で全力で回したコーヒーカップは、この遊園地の絶叫ジェットコースターを超えた。


 そして終えた今はただただ気持ち悪い。酷いバス酔いになった気分だ。



「2人とも大丈夫?」



「......ごめん優馬。ダメそう」



「コーヒーカップであんな思いっきり回すやついる? 外から見てて、2人が乗ってたカップだけ異常だったよ」



「マジですまん......」



「しょうがないなぁ。企画者の京介は罰としてみんなの飲み物買ってきて」



「おま......鬼かよ」



 こっちはこうやって話してるのでさえ精一杯だってのに。まあ、自業自得なんだけど。


 せめてもの抗議の視線を優馬に送ってみると、さわやかなアイドル顔負けのウインクを返された。



「鬼で結構。ごめんだけど夢咲さん、京介と一緒に行ってくれる?」



「え、私?」



 自分を指差す飛鳥に優馬が頷く。



「うん。戦犯者といえども、さすがに1人は心配だからさ。僕は心奈ちゃんのこと見てるから」



「まあ、別に、いいけど......」



 優馬......おまえ、マジで、イケメン。


 やっと飛鳥と2人っきりになれる。


 そう思っただけでさっきまで身体をむしばんでいた気持ち悪さが少しだけ引いたような気がした。



「ごめんな飛鳥」



「ううん。じゃあ行く?」



「ああ。よろしく頼む」



 ベンチから立ち上がって飛鳥の横に並んで少し歩くと背中から優馬の声が届いた。



「おーい! 二人とも! ちょうど昼時で混み合ってるところ悪いんだけど、昼ごはんも調達してきてくれる? ちょっと遅くなってもいいからさ!」



 優馬......今度昼飯奢るわ。


 心の中でガッツポーズを浮かべた京介は、振り向いて親友に手を挙げて応じた。

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