9-1.女心と遊園地のお誘いと




「京介ー!」



 授業後だっていうのに、かなりのハイテンションの優馬に肩を叩かれた。



「なんだよ。無駄にテンション高いなー」



 ちょっと鬱陶うっとうしい優馬の方を向いた時に、不意に窓際の自席に座って校庭に視線を送る心奈の姿が目に入った。


 体育で飛鳥を保健室に送ってから心奈と一度も話しをしていない。


 話そうとしても他の友達の所に行ってしまうし、目が合っても逸らされてしまう。


 明らかに避けられてる。原因はよっぽど保健室に飛鳥を担いで行った事だろう。


 だが避けられる意味がわからない。


 心奈は京介と飛鳥の恋を応援すると言った。だから二人の距離が縮むことを望んでくれているはずだ。


 なんで何にも言ってくれない? なんで避ける? 心奈を思うと、なんでかモヤモヤしてしまう。



「どしたの、九重さん見て固まっちゃって」



「別に......てか見てねぇし」



「そう言いつつ、今も九重さんに釘付けだよ?」



「.........なあ優馬、オレなんか変な事したか?」



「さあ、どうだろうね? なんにも心当たりないの?」



 言われて頭に浮かんだのは、やはりさっきの体育。そして飛鳥に肩を貸して体育館から出て行った時のことだ。


 去り際、心奈は確かに笑っていた。でもいつもの太陽みたいな笑顔ではなかった。


 やっぱり心奈は怒っているのだろうか。


 だけど心奈は京介を別の誰かにくっつける為に未来からやってきたと言っていた。


 つまり心奈以外の女子、飛鳥と接近する事に嫌悪感を抱かないはずだ。はず、なんだけど......



「京介でもそんな顔するんだね」



「うっせぇ」



 クスクス笑う優馬に目を細める。



「京介は女心全然わかってないからなー」



「悪かったな。彼女いない歴イコール人生の寂しい男で」



「ははっ。そんなこと言ったら僕もそうだな。人の気持ちなんてさ、きっと考えてもわかんないよ」



「まあ、そうなんだけどさ......」



「と、なればやる事は1つだ」



「うん?」



 様になるイケメンウインクを一つ落とした優馬が窓の方を向いてすっと右手を挙げる。



「おーい! 九重さーん! 京介が九重さんと話せなくて寂しいって!」



「うおおおいっ!?」


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