6-1.幼馴染との進展




 翌日、学校の教室で朝っぱらから京介きょうすけのこめかみがストレスでヒクリと痙攣けいれんする。


 二日連続で集めたくもないクラスメイト達の視線が京介に集中している。



「.........おい2人とも、事情を話せ」



 正面には爽やかスマイルを浮かべつつ、困ったような表情を浮かべる優馬。


 そして背中には「うー」っと犬みたいにうなって京介の隠れながら優馬に警戒の視線を向ける心奈。



「昨日帰る時はお前らなんもなかっただろ?」



「......ごめん京介。これ、僕のせいなんだ」



「え?」



「昨日の夜、駅前でばったり九重ここのえさんに会ってさ」



「昨日の夜? 駅前......あー」



 飛鳥と会って別れた後か。



「なんで未来から来たのーって、興味があったからしつこく聞いちゃったんだ。ごめんね九重さん。気分害しちゃったなら謝るよ」



 頭を下げた優馬を見届けて、背中にしがみつく心奈の方に視線を向ける。


 優馬はいい意味でも悪い意味でも探究心が強い。


 一度気になってしまう、どうでもいいことでも考えが止まらなくなることがたまにある。


 その悪癖の被害にあった心奈が警戒心を剥き出しにしているということなんだろう。



「だってさ。こいつ、変に探究心ある時あるから。謝ってることだし、許してやってくれ」



 脇腹あたりから顔を生やす心奈の頭に手を置くと、申し訳なさそうにおずおずと後ろから心奈が出てきて優馬と同じく頭を下げる。



「.........うん。なんか、あたしの方こそごめんね」



「いやいや、僕が全面的に悪いから」



「よし、じゃあこれでこの件終わりな。朝から面倒ごとはマジで勘弁してくれ」



 頭を下げ合う二人の横をすり抜けて自分の席に座り、1時限目で使う教科書を机の中から引っ張り出していると、背後から「あー! そんな事より!」と言う、調子を取り戻した心奈の声が届いて、思わず身体が岩みたいに固まってしまう。



「ちょっと! 昨日の帰りあの後どうなったのさ!?」



「.........ナンノコトデスカー」

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