幕間①
駅前の混み合う雑踏の中をあてもなく歩く。
胸が、苦しい。
きっとこれは心臓のせいじゃない。
「.........あたし、何やってんだろ」
この感情が何か知っている。
嫉妬だ。
京介が飛鳥を追いかけた瞬間、感情が悲鳴を上げたのがわかった。
「あたし以外の誰かと幸せにするって言ったのに......」
頭でそう思っていても、気持ちの整理が上手くいかない。
今日、京介に出会ってからもそうだ。
好きになっちゃダメなのに、好きにさせちゃいけなのに、裏腹な行動を取ってしまう。
「ダメ......やっぱりあたし、京ちゃんが好き......」
光り輝く街並が涙で
「京ちゃんを幸せにするためにこの時代まで来たのに......」
からかうとすぐに照れる京介が、ハンバーグを美味しいと食べてくれる京介が、ぶっきらぼうで無愛想だけど優しい京介が、たまらなく愛おしい。
「ほんとあたし、何やってんだろ......京ちゃん......」
「あれ、
「......今、市くん?」
「え、泣いてる? 大丈夫?」
「え、や、これはその、目にホコリが入っちゃっただけで......えへへ。ごめんごめん、なんでもないよ」
慌てて涙を拭って
「そっか。一人で泣いてるみたいだったから心配したよ」
「心配させちゃってごめんね。じゃあまた明日学校で」
「ちょっと待って」
横をすり抜けた背中に声をかけられて振り返る。
「君、未来から来たって言ったよね?」
「うん。あははっ、やっぱり信用できない?」
笑って
「いや、信じるよ。でもなんだってこの時代に?」
「......2023年のクリスマスの夜に京ちゃんが亡くなる未来を変えたくて......その、あたしのせいで京ちゃん亡くなっちゃうから、あたし以外の誰かと幸せになってもらおうと思って......」
泣いていたせいだろうか、緩くなった唇がポツリポツリと言葉を紡ぎ出す。
突拍子のない話に笑われると思ったが、今市の表情は相変わらず変わらず無表情で、少し怖い。
「なるほどそれでこの時代に。ねぇ九重さん、ひとつ、聞いてもいいかな?」
重苦しい間。
問い詰められるような雰囲気に思わず心奈の喉がこくりと小さく鳴く。
「なんで京介は亡くなったのかな?」
「え?」
「病死? 事故死? それとも殺害?」
「え、えっと......」
「言いづらくて言えないのかな? そうでなければすぐに言えないのはおかしいと思うけど」
視線を泳がせて言い
「ねぇ、令和5年のクリスマス。本当に亡くなったのは、誰?」
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